14万票差を「SNSのおぞましさ」のせいにするデニー玉城陣営に欠ける自己検証

9月13日に投開票された沖縄県知事選は、古謝玄太氏が42万3124票を獲得し、玉城デニー氏の27万6060票を14万7064票差で破った。古謝氏の得票率は59.42%。12年ぶりの県政交代である。

これほど明確な結果を前にすれば、玉城陣営がまず検証すべきなのは、8年間の県政運営がなぜ有権者に支持されなかったのかという点だろう。

ところが玉城氏は選挙中から、SNS上のデマや誹謗中傷を問題視し、選挙後も県知事としての最後の定例会見でも規制強化を求める姿勢を示した。

【参照リンク】玉城デニー沖縄県知事「SNSのおぞましさ対処を」 最後の定例会見 日本経済新聞

もちろん、候補者を装う偽情報や悪質な加工動画、根拠のない中傷は許されない。だが問題は、玉城陣営自身の情報発信にも疑問を持たれる事例があったことだ。

相手陣営のデマだけを問題にするのか

選挙期間中、玉城氏の公式Xには、自民党本部と別候補の間に「裏取引」があったと受け取れる投稿が掲載され、後に削除された。陣営側はスタッフによる誤投稿だったと説明したが、SNS上の未確認情報が選挙をゆがめるというのであれば、その基準は相手側だけでなく自分たちにも適用されるべきだ。

【参照リンク】玉城デニー知事、他人のフェイクには厳しく自分の「裏取引」投稿は手違いで済ますご都合主義 アゴラ

玉城デニー知事、他人のフェイクには厳しく自分の「裏取引」投稿は手違いで済ますご都合主義
沖縄県知事選のさなか、現職の玉城デニー知事の公式SNSから看過できない投稿が発信された。9月1日、玉城氏の公式Xに、自民党本部が知事選への立候補を取りやめた下地幹郎氏と「裏取引をした」と断定する投稿が掲載された。「令和の琉球処分」「沖縄の自...

自陣営の問題発信は「ミス」で済ませながら、自分たちへの批判には「デマ規制」を求めるのであれば、ダブルスタンダードとの批判を免れない。

さらに、14万7000票を超える大差を「SNSの影響」で説明するのも無理がある。古謝氏は42万票を超える支持を集め、玉城氏は前回選挙から大きく票を減らした。ここには情報空間だけでは説明できない県政への評価がある。

辺野古事故を十分に検証したのか

その象徴が、3月に辺野古沖で起きた同志社国際高校のボート転覆事故である。女子高校生と船長の2人が死亡した重大事故だった。

事故そのものは発生直後から報じられたが、その後、第三者委員会によって事前の下見不足、引率体制の不備、事故船に教員が乗っていなかったことなど、安全管理上の重大な問題が明らかになった。

こうした事実について、全国のテレビや新聞がどこまで継続的に検証しただろうか。

SNSには誤情報も多い。一方で、既存メディアが大きく扱わない問題を掘り起こす役割も果たしている。「SNSは危険、マスメディアは安全」という単純な構図では現実を説明できない。

規制論より先に敗因の検証を

玉城氏がデマ対策を求めること自体は理解できる。しかし規制を論じるなら、自陣営の発信にも、既存メディアの報道姿勢にも同じ厳しさを向けるべきだ。

そして何より、今回の選挙結果は42万対27万である。

有権者がなぜ県政交代を選んだのか。経済、雇用、基地問題、県政運営への評価を冷静に検証することなく、「SNSのデマ」を前面に出せば、県民の選択そのものを軽視しているようにも映る。

SNSを疑う前に、自分たちの発信を疑い、既存メディアの報道を疑い、そして8年間の県政を検証する。それが敗れた側の最初の仕事ではないだろうか。

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