「予算カット」という簗農水相の発言は事後報告を「盛った」手柄話

簗農林水産相の「道路予算を大幅にカットした」発言が騒ぎになっているが、10月2日夕方の記者会見で、簗氏は発言したことを認め、「あれは事後に国交省に問い合わせて聞いた話だった」と弁明した。

簗農水相(時事通信)

予算配分は発言の1カ月半前に決まっていた

国土交通省が2026年度の予算配分を公表したのは4月7日である。同省は、社会資本整備総合交付金などについて、地域の実情や要望、事業の必要性、緊急性などに基づいて配分すると説明している。

問題の簗氏の発言は5月24日である。実際、那須烏山市への道路関係の交付金は前年約6535万円から約2426万円へ約63%減、那珂川町も約4934万円から約2262万円へ約54%減った。簗氏が会合で語った「64%減」「54%減」という数字とほぼ一致する。

つまり簗氏が発言した時点では、「いくら削られたか」はすでに確定していた。4月7日の配分決定より前に簗氏が国交省へ働きかけた可能性まで否定されたわけではないが、井林辰憲国交相は「ご指摘の発言のような形で道路予算が削減された事実はございません」と明言した。

「俺が切った」と手柄話にしたのではないか

そう考えると、もっと単純な説明が成り立つ。国交省が通常の行政手続きで道路予算を配分した。その結果、たまたま簗氏を支持しなかった2自治体への配分が大幅に減った。それを後から知った簗氏が、支援者を前に「私がカットしました」と自分の政治力の成果であるかのように話したのだろう。

いわば「事後報告を盛った」のである。国会議員が地元でよくやる「この道路は私がつくった」「この予算は私が取ってきた」という手柄話の裏返しだ。実際には役所が制度に従って決めた予算でも、地元では政治家が自分の実績として語る。

問題は「予算を私物化できる」と有権者に思わせたこと

簗氏の発言は「自民党議員を応援すれば予算が来る。逆らえば減らされる」というメッセージになっている。実際にはそんな権限がなかったのだとすれば、これは「利益誘導」より単に「利益誘導できる政治家を演じた」だけだ。

霞ヶ関の常識では、比例復活したような小物議員が介入しても、国交省が聞くことはありえない。調査で介入の事実が出てこなければ、これは小物政治家が持ってもいない権力を持っているように盛っただけの話である。

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