奈良は観光地としてもっと人気化できる

内藤 忍

京都から近鉄の特急でわずか30分ほどにありながら、観光客の数や滞在時間で大きく差をつけられているのが奈良です。

奈良にやってくる観光客は京都のようにインバウンド問題が起きるほど多くは無く、しかもその大半が日帰りで帰ってしまうと聞きます。

東大寺、興福寺、唐招提寺をはじめとするたくさんのお寺に国宝や重要文化財が溢れ、街中では鹿と触れ合ったりでき、歴史的には京都よりも由緒ある奈良。

そんな奈良を観光地としてもっと人気化させるには何が必要なのでしょうか。

私は京都と奈良は毎回セットで足を運び、奈良では決まったホテルに一泊するようにしています。

奈良に宿泊する理由は「わざわざでも行きたい」と思える素晴らしい和食店があり(写真)、食事の後に慌ただしく日帰りしたくないからです。

もしそのお店が存在しなかったら、私も日帰りで奈良から帰ってしまっていたでしょう。いや、もしかしたらそもそも奈良に来ていなかったかもしれません。

奈良には少なくて京都にたくさんあるものは「わざわざそこを目的に出かけたくなるお店」です。

魅力的で価値を感じる飲食店が少なければ、わざわざ出かけて滞在する理由は生まれません。

また、奈良は泊まりたいと思える宿泊施設も少なく同じホテルにいつも泊まっています。

これは泊まる人が少ないからホテルができないのか、ホテルが無いから泊まれないのかという鶏と卵の関係かもしれませんが、選択肢が増えて欲しいものです。

さらに、奈良の名産品といえば、柿の葉寿司、そうめん、奈良漬けといったものが思い浮かびますが、どれも地味な存在です。

旅の目的になるような華やかで誰もが欲しくなる上質な食文化を提供する必要があります。

単なる歴史遺産の街に甘んじるのではなく、魅力的なご当地グルメを発掘し、洗練された形で売り出していくべきでしょう。

わざわざ訪れる価値のある飲食店をはじめとする食のコンテンツが充実すれば、宿泊する人が増え魅力的なホテルも増えていきます。

今はオーバーツーリズムもまだ少なく落ち着いた街並みの奈良は個人的には大好きな街です。ただ観光地としてさらに街全体の価値を高めていくには既存の観光コンテンツの延長から脱却するブレイクスルーが必要でしょう。

Wako Megumi/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年10月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント