日米関係はずっと堅固でいられるのか?

日米関係、歴史を辿れば不思議な経緯を辿ってきたと思います。ペリー来航でみたアメリカの蒸気船の大きさ、ひいてはアメリカは日本よりすさまじく進んでいるのではないかという懸念は日本を開国させたきっかけの一つであります。つまり見たことがない化け物が海の向こうにはいるのだ、と。

日本人は外国からの侵攻を本格的に意識するようになり、それもあって幕末から明治にかけて欧米に学びに行く人が続出、異国の文化がどれほど違っているか、帰国者はその驚きと日本との違いを日本に伝え、日本社会に構造的変化をあたえてきました。

次いで私が注目したのは満州開発。日本は苦労して満州を占拠したのですが、広大な土地を日本人だけで開発するには限界があることは目に見えていました。そこで南満鉄の日米共同経営案(小村寿太郎が蹴ったハリマン計画)が浮上したり岸信介や日産を創業した鮎川義介らがアメリカを巻き込むことを企てますが、アメリカは日本の拡大政策に懸念を示し、むしろ対立軸の関係となり、日本は単独で満州開発をします。このころから日米関係は悪化の一途を辿り、最終的に日米開戦となるのですが、ルーズベルトの日本人に対する強烈な差別意識がアメリカ全般に一種のプロパガンダのように広がったことは否めません。

歴史にレバタラは禁物ですが、仮に満州をアメリカと共同開発していれば世界情勢や歴史は今と相当変わっていた可能性はあったかもしれません。

その後、大戦と戦後というレジームチェンジと言ってもよい日本の激変期を経てアメリカへの意識が全く変わります。異論があるかもしれませんが、一種の主従関係がそこに生まれ現在に至ったと考えています。その主従関係の戦後80年を見ると基本は日本はアメリカのスタイルや知恵、考え方を受け入れ、日本はそれらのアイディアをもとに作り上げた様々な工業製品をアメリカに輸出する構図が出来ました。アメリカは不満でしたが、一方で日本を利用することも見出します。1つは日本が儲かった金でアメリカの借金である国債を引き受け続けること、2つ目は日本がアメリカに出来ない製造能力や品質をアメリカに提供し、恩返しをすること、3つ目はアジア地区の橋頭保となり、中国、ロシアの膨張政策を止めることであります。

ではこの3つが現代においてアメリカの満足されうる水準にあるのか、と言えば大いなる疑問が残る状況になってきています。まず、日本は自国通貨防衛のためにアメリカ国債を売却せざるを得ないのです。それも巨額の売却を極めて短い間に行っています。ブリッジウォーターの創業者、レイダリオ氏は日本はアメリカ国債を売りたがっているとブルームバーグのインタビューにコメントしています。アメリカの国債市場をささえる日本と中国の売却が市場に不安定感を及ぼした公算は大いにあると思います。

次いで製造品質です。日本は確かに特上の品質を提供しています。が、それが商売の見地で圧倒的世界トップかと言えば他国の能力とマーケティングが飛躍的に発展、日本の優位性が薄れたことは否めません。つまり日本だけしかできないブルーオーシャンからレッドオーシャン化し、「超優等生」からただの「優等生の一国」に格落ちしている点です。

3つ目のアジア地区の橋頭保ですが、これはさらに疑問符がつきます。なぜなら日本を不戦国家としたのがアメリカのGHQであり、アジアを守るということが憲法上からも、そして国民の意識からも遠いのであります。

ならばアメリカのメリットは何処にあるか、です。

アメリカは自国のメリットがあってこそ相互関係を維持する国です。トランプ氏はかなり極端な大統領ですが、トランプが変わり者というわけではなく、アメリカ色が濃く出すぎているだけであり、歴代の大統領と基本的なスタンスは変わっていないと思います。とすれば今後、どのような大統領が出てこようとも日米関係を維持するには交互関係のギブアンドテイクを維持する必要があるのです。

アメリカと日本を恋愛関係だとすれば日本がスキスキと言っても向こうが「じゃあ、お前は何をしてくれるんだい」といわれて「尽くすから」といっても国防は限界があるし、国債は円防衛で売らねばならないし、技術力も他国と差別化がしにくいなら「あと何ができるの?」と言われかねないのであります。

ただ、アメリカも日本を失いたくはないはずなのです。まず、アジアの一角で絶対的な信頼関係を結んでいること、地政学的に太平洋の重要な場所に位置していること、日本人のひたむきさとまじめさを通じた期待感であります。

特に地政学的な意味合いは大きいと思うのですが、今後、アメリカが世界の中でどう君臨したいのか、その青写真に変化が起きるのか、これが日米関係の将来を占うと思います。

少なくとも戦後続いた現在の日米関係が将来永遠に続く保証はありません。日米が結びついたきっかけは「戦ったことによるご縁」でありました。今後、アメリカにとってもっと魅力的な国が出てくれば「浮気」されることもあるでしょう。

日米首脳会談での高市首相とトランプ大統領 ホワイトハウスXより 2026年9月

日本の自立は私が大学生の時から思い続けてきたことです。それは極めて難しく、長い道のりです。少なくとも私が意識してから40年は変わっていません。ただ、最近ほんの少しだけ萌芽を感じるのです。それはアメリカのスタンスの変化もあるのでしょう。日本人の世代変わりもあるのでしょう。

多分、日米関係が今日明日、どうなる話ではないのですが、少しずつ、双方が違う道を歩み、いつの間にか恋愛から「竹馬の友」になっていくのだと思っています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月7日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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