韓国とウクライナのいざこざ:ゼレンスキー氏は大統領の資質を維持しているのか

珍しい問題が生じました。ゼレンスキー氏が口を滑らせた、というより自慢げに国連で不必要なことを発言したために韓国が切れまくっている、という話です。

ゼレンスキー大統領 ウクライナ政府HPより

ゼレンスキー氏は先のニューヨークでの国連総会で「北朝鮮軍の戦争捕虜2人を大韓民国に送った」と唐突に述べました。この一言、よく考えなくても「あれ、なんか変じゃない?」と思うと思います。なぜ、北朝鮮の捕虜が北朝鮮ではなく韓国に送られたか、そしてそれをなぜゼレンスキー氏が自慢げに述べたのか、です。

前者の点についてはやや専門的になるのですが、韓国の憲法では北朝鮮の人も韓国の人という解釈があるのです。韓国憲法の第3条に「大韓民国の領土は、韓半島(朝鮮半島)及びその付属島嶼とする」とあります。これは戦後に生まれた半島統一の名残で、北朝鮮にも同様の定めがあったのですが、金正恩氏がその憲法は改正しています。韓国の憲法第3条を受けて韓国の司法では朝鮮半島で生まれた人は誰でも韓国の人という法解釈がなされています。これで韓国が北朝鮮人を受け入れる法的根拠が成立します。

次いでウクライナが確保した北朝鮮人2名は捕虜になった瞬間、憔悴し、自殺を試みるほどだったのですが、次第に落ち着き、最後は自分は韓国に行きたいと亡命を求めたのです。となれば韓国としては当然受け入れます。ただし、本件は事態が繊細な問題を内包するために「非公開、内密に行う」ことで外交ルートでは合意していたとされます。

が、ゼレンスキー氏は北朝鮮人捕虜は韓国に行きたがっている、これは北朝鮮に戻る価値がないような国だ、と言わんばかりのプロパガンダをしたとも解せます。本人は朝鮮半島問題の繊細さなど全く知らない鈍感さがあったともいえ、「言ってやったぜ」ぐらいの感覚だったと思います。

懸念されるのはこの2人の北朝鮮兵士の家族の処遇であります。ゼレンスキー氏は顔写真まで公開してしまったので北朝鮮政府の激怒ぶりは想像できます。同国は連座制を取っているため、当然、この兵士の家族は厳しい弾圧ないし、処罰を受けることが目に見えています。韓国が「非公開、内密」としたのはこの兵士を行方不明扱いにしてしまいたかったのです。

これを受けて韓国は駐ウクライナ大使を召還させました。大使召還というのは国交断絶の一歩手前ぐらいの話なので極めて重い話であり、韓国からの支援が欲しかったウクライナとしては大失敗ということになります。

さて、この話はウクライナのちょっとしたミスぐらいのレベルで処理されると思います。が、私はこのところ、ゼレンスキー氏は大統領としての資質を維持しているのか疑問なのであります。以前にも何度も書いたように国家と国民が疲弊の一途を辿っている中、戦争を止める努力を十分にしているとは思えず、むしろ戦争が維持されることでゼレンスキー氏の身分が保証されるような状況にも見えなくはないのです。

ウクライナは世界でも名だたる不正、賄賂、背任天国であり、一言で言えば世界の中でも結構目立つ不良な国であります。ゼレンスキー氏自身からはそのような不正の話はないのですが、戦争を続けること自体がゼレンスキー氏の身分を維持できる状態にあるのではないかという気がしないでもありません。氏は多分、自分が辞めたらウクライナが内部崩壊すると考えていると思いますが、それは言い換えれば既に国家の体をなしていないとも言えないでしょうか?

戦争を止め、大統領選をやり、ゼレンスキー氏が選挙で敗北した瞬間にただの人となる、そこでより暗殺されやすい環境が生まれるということかと思います。ならば大統領選後、氏がアメリカに亡命し保護を受けるという確約があれば外交が変わるかもしれません。

ドイツで躍進している極右政党、AfDは左派政党のBSWと共同でドイツはウクライナへの支援を止めるべきだと述べています。自国の疲弊、100万人にも上るウクライナ難民の受け入れコスト、長引く戦争支援への厭戦気分がドイツ国内に生まれているからでしょう。AfDの現在の勢いを考えるとこの発言が政権に直接的影響はあたえないものの何時までも支援できない限界論は現実味があります。昨日、フランスの話をしましたが、同国も学校施設すら修繕できないのにウクライナの支援をしている場合か、という気持ちは当然にしてあるはずです。

私はウクライナの戦争はあるきっかけで終わるのだと思いますが、それは物理的な支援と共に西側諸国との信頼関係が揺らいだ時だと考えています。その多くは各国政府が政府の判断としてやっていることであり、国民にその是非を問うたわけではないのです。その歯車に乱れが生じれば戦争を維持できないとも言えるのです。よってゼレンスキー氏は幕引きをもう少し積極的に考え、その仲介をしかるべき国に依頼すべきなのです。問題はトランプ氏も国内選挙を抱え、欧州各国もガタガタの中、仲介できる国がほとんどない、という厳しい状況こそが本当の問題なのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月9日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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