カプセルを開けるな:「薬のかたち」には理由がある

薬は水で飲む。お茶でもスポーツドリンクでもドリンク剤でもなく、水。白湯ならもちろんいい。結論はこれで終わりなのだが、それでは記事にならないので少し粘る。

「お茶じゃだめなの?」は、本当によく聞かれる。1つずつ答えていたらきりがない。だから「基本は水」と言い切ってしまう。理由は単純で、薬は開発の段階で、水に溶かして試験をしているからだ。水か白湯で飲まなければ、想定どおりの効き目が出ない。そういう話である。

『お気に入りドラッグストア活用術』(寺脇令子 (著)  /Clover出版)

量はコップ1杯以上。錠剤(基本は7歳以上、1回1~4錠ほど)も粉薬も、そこは同じだ。温度にうるさい決まりはないが、氷水と沸かしたての熱湯はやめておこう。常識の範囲で。

さて、ここからが本題である。どうしても言っておきたいことがある。

カプセルを開けて、中身だけ飲まないでほしい。

飲みにくいから開ける。気持ちはわかる。わかるが、カプセルには理由がある。苦くて飲めたものではない、だから包んでいる。それだけでも開けるべきではないのに、今のカプセルはもっと手が込んでいる。材質と大きさが工夫されていて、体の中でゆっくり溶ける薬と、すぐに溶ける薬が混ざっていることもある。箱に「持続性」とあったら、それは飾りの言葉ではない。本当に時間差で溶けるように作ってあるのだ。

「薬をいかに効率よく体に届けるか」。これをドラッグデリバリーシステム(DDS)という。製薬会社が研究を重ねてきた、その成果を、カプセルを開けた瞬間に台無しにしている。もったいない、という言葉では足りない。

話を戻す。ほかの剤型は手短にいく。

粉薬は、大人なら「1回1包」がほとんど。子どもは半分や3分の1が多い。薬が先でも水が先でもいい。口に残ったら飲みきる。粒は「散剤<細粒<顆粒」の順に大きくなる。

シロップは薄めない。付属のカップで測って、そのまま。子ども用を大人が一気飲みするのは論外である。

チュアブルは「噛める」という意味の英語で、噛んでも、口の中で溶かしてもいい。ラムネ味やオレンジ味がついている。フィルム剤は薄くて、すぐ溶ける。どちらも水なしで飲めるが、吸収を考えれば後から水を一口。

そういえば、坐薬である。「座って飲んだ」という笑い話があるくらい誤解されている。肛門に入れる薬だ。胃腸を通らないから胃に負担がかからず、しかも早く効く。子どもの解熱剤や痔の薬で重宝するのはそのためだ。地味だが、実はかなり優秀。

効き目の速さで並べると、坐薬を除いて、フィルム剤、シロップ剤、チュアブル剤、カプセル剤、錠剤の順になる。早く効いてほしいなら、かたちで選ぶという手もある。

錠剤も粉も苦手なら、「ゼリー状オブラート」を試してほしい。ゼリーの上に薬を載せ、包むようにして口へ。混ぜてはいけない。苦味が残って、かえって飲み込めなくなる。

かたちの違いは、飲みやすさの違いではない。効き方の違いだ。……と、ここまで書いて思う。カプセルを開ける人は、たぶんこの記事を読んでも開ける。それでも書いておく。

※ここでは、本編のエピソードをラノベ調コラムに編集し直しています。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

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