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関東圏にいる方は、おそらくこの看板を知っていると思います。
高速道路から見えるビル屋上や野原、電車など、至るところで、この独特の配色で、きぬた先生の顔がドーンと出ている広告に出くわします。
「なんでこんなに広告を出すんだろう?」
と思ってしまいますよね。
しかも、きぬた歯科は、チェーン店ではありません。
西八王子に1軒だけある、個人経営の歯科医院です。
実は2024年11月、『永井経営塾』のゲストライブで、に「きぬた歯科」のきぬた先生と対談したことがあります。(写真はその時の様子です)
この時、きぬた先生が周到にマーケティングコミュニケーション戦略を考えていることに感服しました。
そして2026年10月5日、ついに日経MJでも特集されました。
年間2億5000万円を「看板」に投じるきぬた歯科 患者激減からの逆転劇
なんと年間2.5億円を投じて、250か所に看板広告を展開しているのです。
普通の歯科医院は、年間売上は5,000万円程度。その5倍です。
看板広告を出すきっかけは、2012年にインプラント治療のトラブルが話題になったことでした。当時の世の中はインプラント批判一色で、インプラント治療が多いきぬた医院では、新規来院がピタリと止まりました。
そこできぬた先生は、過去10年間、患者に「何を見て、当院に来たか」と尋ねた記録データを見ました。
当時の同院は、Web広告に年間1,200万円、看板広告は高速道路に3か所だけで年間75万円をかけていました。
分析結果は、Web広告を見た来店患者数と、看板広告を見た来店患者数は、ほぼ同じでした。
つまり看板広告は、Web広告の1/16のコストで、同じ数の患者を連れてきているのです。
しかも、まだ誰もこの効果に気づいていません。
「これはすごいことになる」と考えたきぬた先生は、2012年2月に分析後、早速3月から週1か所のペースで看板広告を増やし始め、年末までに36か所に看板を設置しました。
するとピタリと止まった新規患者は、目に見えて増え始めました。
ちなみに当時の看板は今のスタイルではなく、治療のビフォーアフターを比較したものでした。
インパクトがあったのですが、インパクトが強すぎて、通学中の児童が怖がったり、「自宅から見えて食事が喉を通らない」という苦情が殺到しました。
そこでクリエイティブを変更し、今の顔出し看板になりました。
きぬた先生いわく、
「人は視線に敏感。誰かに見られていれば気配を感じる。正面を向いた写真でないと意味がない」
配色も、当初は黄色地に黒や紺の文字でしたが、黄色い看板が増え始めたので、現在の3色構成に切り替えました。
ちなみに、こうした設計は全て自分でやっており、外部のクリエイターや広告会社に丸投げしてません。
「事業主の立場に立てるクリエイターが意外のほど少ない」
…というのが理由です。
同院の患者数は伸び続けており、売り上げ・利益も過去最高を更新し続けていますが、看板の数は、この数年間、最盛期よりも減っています。
この状況について、きぬた先生は「他社が看板広告の真似をしすぎているから」と分析しています。
きぬた歯科の大成功で、あの独特の配色で顔出しする医院が増えています。
こうしてマネされることで、きぬた歯科が想起される機会が増えているのです。
もはや「顔出しの病院看板=きぬた歯科」と多くの人の脳内に刷りこまれているのですね。
いわば「宅配便=クロネコヤマトの宅急便」、「ネット検索=グーグル」、「ハンバーガー=マック」、「しょうゆ=キッコーマン」というのと同じレベルで、「顔出し看板の病院=きぬた歯科」となっているのです。
現代では、ネット広告を出すのがとても簡単になってます。このため広告主の立場から見ると、ネット広告はレッドオーシャン状態です。
さらに悪いことに、ユーザーから見ると「ネット広告って、あの×を押さなきゃいけないウザいやつ?」くらいにしか思われていません。
きぬた歯科は、既に2012年にこのことを数字で把握した上で、250か所に看板広告を展開しているのです。
これまで「すべてデジタルとネットに移行する」と言われてきましたが、きぬた歯科の成功は、リアルの世界の大切さを改めて教えてくれます。
編集部より:この記事はマーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚氏のオフィシャルサイト(2026年10月13日のエントリー)より転載させていただきました。永井孝尚氏のメルマガのご登録はこちらから。







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