日本の1人当たりGDPは韓国の8割に:円安で貧しくなる日本人

国際通貨基金(IMF)が10月13日に発表した世界経済見通しによると、2026年の韓国の1人当たり名目GDPは約4万3511ドルとなり、日本の約3万5400ドルを約23%上回る見通しだ。

かつて日本よりはるかに貧しかった韓国が、今や日本を大きく引き離している。この逆転をもたらした大きな要因の一つが円安である。

韓国の李在明大統領と共に奈良県を訪問した高市総理 首相官邸HPより 日韓首脳会談 2025年

円安で目減りする日本人の所得

2026年の名目GDP総額は韓国が約2.25兆ドル、日本が約4.34兆ドルと見込まれる。日本の人口は韓国の約2.4倍だが、経済規模は約1.9倍しかない。

ただし、ドル換算のGDPは為替相場によって大きく変わる。仮に日本の1人当たりGDPが円建てで550万円なら、1ドル155円では約3万5500ドルだが、110円なら5万ドルになる。

つまり円安は、国内のGDPが変わらなくても、日本人の所得をドル換算で大幅に減らす。韓国との差は生産性だけでなく、為替レートの違いも反映している。

しかし、為替による目減りは単なる統計上の問題ではない。海外旅行や留学、輸入品など、日本人が海外の財やサービスを購入する際の負担は実際に増えている。

円安は輸出企業を潤しても家計を苦しめる

日本では長年、円安は輸出に有利で経済にプラスだと説明されてきた。確かに自動車などの輸出企業は円安によって円換算の利益が増え、海外子会社の利益も膨らむ。

しかし、日本はエネルギーや食料の多くを輸入に依存している。円安は輸入価格を押し上げ、電気代やガソリン代、食品価格の上昇を通じて家計を圧迫する。

企業収益が増えても、賃金の上昇が物価に追いつかなければ、国民の実質所得は減ってしまう。円安で企業が儲かることと、日本人が豊かになることは同じではない。

金融緩和への依存が招いた円の弱体化

長年の日銀の超低金利政策も、円安を招いた要因の一つだ。米国などとの金利差が広がり、円を売って高金利通貨を買う動きが強まった。

もちろん為替は金利差だけで決まるものではない。しかし、金融緩和と財政出動で景気を刺激し続けても、生産性が上がらなければ、円の購買力を長期的に支えることはできない。

一方、韓国や台湾はAI向け半導体の世界的需要を取り込み、成長産業で競争力を高めている。日本も円安による価格競争力に頼るのではなく、技術革新によって付加価値を高める必要がある。

AI革命に乗った韓国、取り残された日本

さらに深刻なのは成長率の違いだ。IMFは2026年の実質GDP成長率を韓国3.3%、日本0.7%、台湾10.7%と予測している。

韓国と台湾の成長を牽引しているのは、世界的なAI投資ブームである。韓国のサムスン電子やSKハイニックスはAI向け半導体で存在感を高め、台湾のTSMCは先端半導体製造で圧倒的な競争力を持つ。

IMFによれば、韓国と台湾はAI関連機器の純貿易の約62%を占める。両国はAI革命の主要な供給拠点になっているのだ。

日本にも半導体製造装置や素材などの強みはある。しかし、それらを経済全体の高成長につなげられていない。

必要なのは円安頼みからの脱却

政府は「強い経済」を掲げて財政支出を拡大しようとしている。しかし、補助金や給付金で物価高を一時的に和らげても、円安そのものの問題は解決しない。

必要なのは金融政策の正常化と財政規律の回復、そして労働市場改革や規制緩和による生産性の向上である。

円高になれば自動的に日本が豊かになるわけではない。だが、円安を放置して輸出企業の利益ばかりを重視する政策では、国民の購買力は高まらない。

日本人が問うべきなのはGDPの世界順位ではなく、なぜ自分たちの稼いだ円で買えるものが減っているのか、という問題である。

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