小説を書いて商業出版にこぎ着けても、印税が入ると生活保護費が減り、手元のお金が増えない――作家の塩野さちさんが執筆活動の休止を表明しました。その後、「働けるなら生活保護なんかもらうな」と批判が広がり、Xのアカウントも削除しました。

生活保護は「固定給」ではない
生活保護は、国の基準で計算した最低生活費に収入が届かない場合、不足分を支給する制度ですから、収入が増えれば保護費が減ること自体は、制度の原則に沿っています。
印税が没収されるわけではなく、自分で賄える生活費が増えた分、公費による補填が減るという関係です。保護費をそのまま受け取り、印税も全額上乗せしてほしいという要求は理解を得にくい。www.mhlw.go.jp
ただ今回、塩野さんが訴えたのは、印税が財産収入として扱われ、生活保護が減らされるという問題でした。給与などの就労収入には、必要経費に加えて勤労控除が認められていますが、財産収入には控除が認められていないのです。
収入が増えた分だけ給付が減り、使えるお金が変わらないのでは、労働意欲がなくなります。自立を助けるための生活保護が、自立を阻害しているのです。また国会でも議論になった医療扶助が1.9兆円も全額無料になっている制度も、モラルハザードをまねいています。
「働けば所得が増える」制度へ
そこで検討に値するのが、ベーシックインカムのように、働いても給付額の減らないしくみです。税負担を考慮する必要はあるが、給付を維持する設計なら、稼いだ分だけ手取りを増やしやすい。
もちろん全国民への一律給付には大きな財源が必要であり、医療や障害など個別の支援をどう保障するかという課題も残ります。現実的には、低所得者への給付を所得の増加に応じてゆるやかに減らす給付つき税額控除も選択肢でしょう。
塩野さんを批判しても、生活保護で労働意欲を失う人はなくなりません。生活を保障しながら、働けば暮らしがよくなる。その両立こそ、今回の騒動から考えるべき制度改革の論点です。







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