相続税の課税割合が過去最高の10.4%:相続放棄も年32万件超に急増した日本の相続事情

国税庁が2025年12月に公表した「令和6年分相続税の申告事績の概要」によると、2024年(令和6年)に亡くなった人のうち相続税が課税された割合(課税割合)は10.4%となり、統計で初めて1割を超えて過去最高を更新しました。

死亡者数約160万人に対し、課税対象となった被相続人は16.7万人で、前年の9.9%から0.5%ポイント上昇しました。同時に、家庭裁判所への相続放棄の申述も過去最多を更新し、日本の相続を取り巻く負担の重さが浮き彫りになっています。

課税割合10.4%の詳細と過去最高の税額

2024年分の主な数字は以下の通り:

  • 被相続人数(死亡者数):160万5,378人(前年比+1.9%)
  • 相続税の申告書の提出に係る被相続人数:16万6,730人(同+7.1%)
  • 課税割合:10.4%(前年9.9%、+0.5ポイント)
  • 課税価格の総額:23兆3,846億円(同+8.1%)
  • 申告税額の総額:3兆2,446億円(同+8.0%)
  • 被相続人1人当たり課税価格:約1億4,025万円
  • 被相続人1人当たり税額:約1,946万円

相続財産の構成比では、現金・預貯金等が34.9%で最多となり、土地(30.2%)を上回りました。有価証券は17.8%と上昇傾向にあり、家屋は4.8%、その他が12.3%となっています。かつて土地中心だった相続財産が、金融資産へシフトしている様子がうかがえます。

なぜ課税割合は上昇し続けているのか

課税割合の上昇の主因は、2015年の相続税改正による基礎控除の引き下げです。改正前は「5,000万円+法定相続人1人あたり1,000万円」だったものが、「3,000万円+法定相続人1人あたり600万円」へと縮小されました。

これにより課税割合は2024年の4.4%から平成27年の8.0%へと一気に倍増し、その後も緩やかな上昇を続けて令和6年に10.4%に達しました。

加えて近年の地価上昇や株高、高齢者世帯の資産蓄積、少子化による法定相続人の減少(基礎控除額の縮小につながる)が重なっています。東京など都市部では特に顕著で、東京都の課税割合は20.0%と全国平均の約2倍に達し、都道府県で最高となった。都心部の一部区では30〜40%近い水準も見られます。(税のしるべ)

相続放棄の大きな原因は「負動産」

他方、相続そのものを放棄する動きも加速しています。最高裁判所の司法統計によると、2025年の相続放棄の申述受理(新受)件数は32万件で過去最多を更新しました。2024年から約4.8%増で、2015年と比べると約1.7倍に達しています。死亡者1人あたりの件数も増加しており、単なる死亡者増を超えた伸びです。

主な理由として挙げられるのは、借金の相続拒否のほか、地方の実家や山林、使い道のない土地・建物といった負動産の存在です。維持費や固定資産税がかかり、売却も難しい不動産を引き継ぎたくないケースが目立ちます。

2024年4月から始まった相続登記の義務化も、放置されがちだった不動産の問題を表面化させ、放棄を後押ししていると指摘されています。核家族化や疎遠な親族関係の増加も背景にあります。

相続放棄はプラス・マイナスすべての財産を放棄する手続きで、相続を知ってから原則3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。相続税の課税対象は死亡者の約1割にとどまるため、放棄の主因が税負担そのものとは限りませんが、不動産評価の上昇や全体的な手続き負担の増大が、相続をめぐる判断を難しくしている点は共通です。

「相続税を廃止せよ」という声も多いが…

「相続税を廃止せよ」という意見も根強い。竹中平蔵氏もその一人です。

これに対して相続税の軽減や廃止は「金持ち優遇だ」という反論も多いが、問題は相続税をなくしたら誰が恩恵を受けるのかということです。

日本の相続人の平均年齢は68.9歳で、相続のほとんどは老老相続です。相続税の廃止は老人優遇の税制改正で、現役世代にはメリットがありません。それより贈与税を廃止して、生前贈与を促進してはどうでしょうか。

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