先日、竹中平蔵氏が「終身雇用制度にメスを入れろ、正社員の解雇ハードルを下げろ」と動画で発言し、炎上中です。
前回の「正社員をなくせ」という発言に多大な反響をいただいたが、一部の切り取りや感情論による見当違いな批判にはもはや議論の体をなしていないと断ぜざるを得ず、この国が抱える思考停止の根深さを痛感してしまう。
私が一貫して主張しているのは、正社員の権利を単に奪うことではない。
正規と非正規という、この歪んだ「二重構造そのもの」を解体せよということだ。1979年の東京高裁判例以降、正社員を過剰に保護しすぎた結果、企業はその重荷を避けるために非正規社員を調整弁として増やし続けてきた。
若者の就職難は、上の世代の正社員が守られすぎたことによる弊害だ。
この過度な保護(既得権)こそが、格差を固定化させた元凶だ。当然ながら、解雇を野放図に自由化せよと言っているのではない。
大企業の組合だけが守られ中小企業が泣き寝入りする不条理を正すためにも、OECD諸国で標準となっている明確な金銭解決ルールを法制化すべきだ。
職務を明確にするジョブ型へと舵を切り、給付付き税額控除などの強固なセーフティネットを整備することで、正社員も理不尽な残業や転勤から解放され、誰もが公正に働ける土台が整う。正社員の既得権を聖域視したまま財政をばらまいても、日本経済が再生することは絶対にない。
動画では、耳当たりの良い綺麗事を排し、この国が直面する雇用の歪みと不可避な現状を本音で語った。YouTube #竹中平蔵 の #平ちゃんねる
【反論】「正社員をなくせ」の何が悪い?守られた既得権を解体せよ 正規・非正規の区別をなくせば格差はなくなり日本経済は再生する 【反論】「正社員をなくせ」の何が悪い?守られた既得権を解体せよ 正規・非正規の区別をなくせば格差はなくなり日本経済は再生する前回の「正社員をなくせ」という発言に多大な反響をいただいたが、一部の切り取りや感情論による見当違いな批判にはもはや議論の体をなしていないと断ぜざるを得ず、この国が抱える思考停止の根深さを痛感してしまう。私が一貫して主張しているのは、正社員の...— 竹中 平蔵 (@HeizoTakenaka) October 12, 2026
一応言っておくとですね、たぶん経済学者の99%くらいは氏と同意見だと思います(マル経除く)。
あと、OECDのような国際機関からも何度も「日本は守られすぎている正社員と、不利益を押し付けられている非正規雇用の2重構造をどうにかしろ」という是正勧告も受けています。
要するに、なんということのない正論なわけですね。
というわけで、今更ここで論点を再検証なんてことはしません(X上でいろんな識者がいっぱいやってくれてますし)。
ただ、個人的にはあることが気になったんですね。それは「どうも青筋立てて竹中発言を叩いてる人たちって、現在自分たちが置かれている状況が全く理解できてないんじゃないか」ということです。
我々を取り巻く状況の変化とはなにか。そして、そもそも彼らは何と必死に戦っているのか。
いい機会なのでまとめておきましょう。

竹中平蔵氏
インフレでボーナスステージの主役は労働者から企業へ
いつも言っているように、日本企業は終身雇用なので正社員を解雇するのはまず不可能です。
なんて書くと「手順さえ踏めばできる」と付け焼刃の知識で反論する人がいるんですが、その“手順”なるものがいかなるものかと言えば、だいたいこんな感じです。
【参考リンク】「あるべき論」で業務空転 若手社員の解雇訴訟 「そもそも一般的に請求とは…」 9年指導、改善見られず
まあ9年はちょっと長いなと思いますが、とりあえず3~5年位は「業務命令を出したけどやろうとしなかった」という日々の証拠を書類で積み重ねる必要はあるでしょう。
あと「適性に合った職に異動させたもののやはり勤務態度に改善が見られなかった」という証拠もある程度必要でしょう。
当然ながら相手は非協力的な態度に終始するでしょうし、本業に加えてそういう非生産的な業務をこなすのは相当メンタル削られるはずです。
でも、そこまでやっても裁判やって勝てるかどうかは時の運なんですよね。だから普通の会社は諦めて飼い殺しにしますよ(苦笑)
「日本企業だってやろうと思えば解雇はできる」って言ってる人は実務何にも知らない人なのでスルーしてOKです。
そして解雇に加え、賃下げも同様に高いハードルが課されます。つまり、一度上げてしまった賃金にはまず手を付けられないということになります。
物価の上がらないデフレ時には、これらは労働者にとっては強力な城壁と言っていいでしょう。
なぜか以前の日本には「人生が上手くいかない理由を全部デフレのせいにする人」が少なからずいましたけど、少なくとも企業側から見ると、デフレ期は労働者(それもどちらかというとパっとしない)にとってのボーナスステージだったんですね。
ただし、これがインフレ局面になると状況は一変します。
日本企業はクビも賃下げも出来ませんが、賃金を据え置くことは自由ですから。辞めてほしい人、絶対にこいつは辞められないだろうと足元を見ている人の賃金はずっと据え置いて、実質賃金を引き下げられるわけです。
そう、こと人件費の分配という点に関しては、インフレ期は企業にとってのボーナスステージなんですね。
そうした状況の変化は、プレイヤーの行動にも変化をもたらしています。
「賃金は下げられない」という防壁が崩れたわけですから、何があってもしがみついてさえいれば安心という時代ではありません。
それに気づいた中高年たちは、自分から転職市場に打って出るようになりました。
ただじっと座っていてもじりじり実質の賃金が減っていくのだから、まだ給料が高く、体力のあるうちに行動に移すという判断は合理的でしょう。
【参考リンク】中高年に広がる転職、4割が年収アップ 高齢化・人手不足が呼び水
そして、自社の中高年社員の変化に気付いた企業サイドも、早期退職制度で積極的に支援をしています。自社内で70歳まで消化試合やられるより、新天地で活躍してもらった方が双方にとってメリット大ですから。
【参考リンク】25年度の早期希望退職募集、2万人超と高水準 黒字リストラが8割
最近の早期退職募集に、2000年代のものと違い悲壮感がないのは、やる気と体力のある人を送り出してあげる前向きなイベントだからですね。
そうそう、「最近の新人は残業や転勤を敬遠しがちだ」みたいなニュースを誰でも一度は目にしたことがあるはず。
【参考リンク】就活生の半数以上が「大手」希望 「転勤の多い会社」は敬遠傾向強まる マイナビ調査
あれなんかも根っこは同じなんですね。
もう大手に入社したって自分たちを守ってくれる防壁は存在しない
→滅私奉公したって後からいくらでも踏み倒される
→だったら最初から滅私奉公なんてしたくない
というきわめて合理的な判断だと思います。
そう、望むと望まざるとにかかわらず既に社会は流動化しはじめており、その中で人も組織も前を向いて進みだしているんですね。
ちょっと想像してみてください。日本企業というお城があって、既に外堀はあらかた埋められています。
ベテランたちはただ籠もっていても先はないから打って出ると言い、会社もそれを応援し、若者は最初から期待なんかせず深入りしない程度の距離感を維持しようとしている。
そんな中、一群の中高年が「俺たちは最後までしがみつくぞ!だってここに籠もってさえいれば安全だからだ!エイエイオー!」ってやってたらどう思いますか?
君らさあ、20年遅れてるんじゃないの?そんなんで大丈夫?と心配になるのは筆者だけではないでしょう。
■
以降、
筆者が、今からしがみつき続けることを絶対におススメしないわけ
老後の絶望を回避する方法
Q:「資格はどこまで職歴を補強できますか?」
→A:「資格はあくまでも実際の経歴あってのものですね」
Q:「懲戒処分されても自己都合退職なら転職時にバレない??」
→A:「聞かれなきゃ言う必要はないですが……」
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