正味の総所得が拡大する政府 一般政府の第1次所得バランス(純)国際比較

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この記事では、政府の第1次所得バランス(純)について国際比較した結果をご紹介します。

1. 日本政府の第1次所得バランス(純)

私たちの経済活動を体系的に整理したSNA(System of National Accouts)では、部門別にも総所得や再分配、可処分所得などが集計されています。

生産によって生み出された付加価値は、生産に寄与した主体(家計や企業、政府)に分配されます。その後、財産所得の差引を経て、再分配前の総所得である第1次所得バランスが計算されます。

第1次所得バランスは、固定資産の維持費用と言える固定資本減耗を含む(総)と、差し引いた(純)について計算されています。

図1 第1次所得の配分勘定 日本 一般政府
国民経済計算を基に作成

図1が日本政府の第1次所得の配分勘定を可視化したものです。

GDPの分配となる、生産・輸入品に課される税と固定資本減耗から補助金を差引き、財産所得の受取が足され、支払が引かれたものが第1次所得バランス(総)となっています。

さらに、そこから固定資産の維持費用とも言える固定資本減耗を差し引いたのが、第1次所得バランス(純)です。

日本政府は、財産所得の支払が目減りし、生産・輸入品に課される税が増えてきた事もあり、第1次所得バランスは拡大傾向が続いています。

ここから、再分配が行われ、消費、投資へと続き、最後にストック面と繋がる資金過不足が計算されていく事になります。

日本全体や、日本の家計の第1次所得バランスが停滞してきた一方で、政府は拡大傾向だったことが確認できます。

2. 1人あたりの推移

ここからは、政府の第1次所得バランス(純)について、国際比較していきたいと思います。

図2 第1次所得バランス(純) 一般政府 1人あたり
OECD Data Explorerを基に作成

図2は政府の第1次所得バランス(純)について、人口1人あたりの為替レート換算値です。

日本は拡大傾向が続いてきましたが、他の主要先進国は更に高い水準が続いてきました。

相対的に見れば、日本の政府の総所得はやや少ない方になります。

一方で、様々な指標で圧倒的な水準のアメリカは、日本よりも低いのが印象的ですね。

アメリカは「小さな政府」と言われますが、総所得で見てもそれが良く表れているようです。

一方で、福祉の充実している欧州諸国は軒並み高い水準となっています。

3. 1人あたりの国際比較

続いて、最新値での国際比較をしてみましょう。

図3 第1次所得バランス(純) 一般政府 1人あたり 2024年
OECD Data Explorerを基に作成

図3が2024年の政府の第1次所得バランス(純)の国際比較です。

日本は2,733ドルで、OECD32か国中26位とかなり少ない救い順となっています。

ルクセンブルク、オランダなどの高所得国や、北欧諸国が軒並み高い水準で、フランス、カナダ、ドイツなどもそれに続きます。

4. 対GDP比の推移

続いて、政府の第1次所得バランス(純)の対GDP比についても見ていきましょう。

図4 第1次所得バランス(純) 一般政府 対GDP比
OECD Data Explorerを基に作成

図4が政府の第1次所得バランス(純)の対GDP比の推移です。

日本は相対的に低い状態から徐々に上昇が続き、近年ではドイツやイギリスと同程度となっています。

フランスは非常に高い水準が続き、反対にアメリカは低水準が継続しています。

特に政府に関する指標ではフランスとアメリカが正反対の傾向となる事が多いですね。

5. 対GDP比の国際比較

最後に、対GDP比の国際比較です。

図5 第1次所得バランス(純) 一般政府 対GDP比 2024年
OECD Data Explorerを基に作成

図5が政府の第1次所得バランス(純)対GDP比について、2024年の国際比較です。

日本は8.1%で先進国の中でもかなり低い水準となっています。

ただし、ドイツ、イギリスとはかなり近い状況で、フランス以外の主要先進国はいずれも低位となっています。

アメリカが2.1%と圧倒的に低い水準です。

一方で、北欧諸国、ギリシャ、フランス、ポーランドなど多くの欧州諸国で非常に高い水準となっているようです。

6. 政府の第1次所得バランス(純)の特徴

この記事では、政府の第1次所得バランス(純)について、国際比較をご紹介しました。

第1次所得バランス(純)は、再分配前の総所得と言えます。

この後の第2次所得の分配勘定で、政府は更に税や社会保険料を受け取り、社会保障給付として再分配する事になります。

再分配前の原資として、主に生産・輸入品に課される税と、財産所得の純受取を計算したのが第1次所得バランス(純)という立ち位置です。

日本政府の第1所得バランス(純)は少しずつ拡大傾向が続いてきましたが、金額水準で見ればまだ少なく、対GDP比でもやっとドイツやイギリスに追いついた程度となります。

北欧が代表的ではありますが、欧州諸国の多くは高い税率で、その分政府の所得が多く、その分が再分配で給付として還元されています。

日本は、政府の役割が小さい方ではありますが、徐々に欧州型に近づいているのかもしれませんね。

大変興味深い傾向です。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年10月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

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