神の住む場所へ。紅葉の神居古潭に眠る旧函館本線を訪ねて


旭川駅に来ました。

旭川駅は北側に表口があるのですが、南口側はこんな公園になっていて、その先にはすぐ忠別川が流れています。大きな駅のすぐそばに川が流れている駅ってそうないのではないでしょうか。わたし、この駅前が結構好きです。

さて、旭川駅は道北の鉄道の拠点であり、函館本線の札幌ー旭川間はライラック、カムイなどの特急が多くは走るJR北海道一の鉄道の幹線でもあります。

そんな函館本線の終着、旭川駅に至る線路はかつて石狩川沿いを走っていましたが、山がちな地形で速度が出せなかったことから、昭和44年に同線が電化されるにあたりルートが変更されることとなりました。その際廃止にされた駅が現在も残っているので、今回はこちらを訪ねることにします。

その駅の名は神居古潭(かむいこたん)。「神が住む場所」という意味のアイヌの言葉を由来としており、アイヌの住む北海道にはこの名がつく場所がほかにもあるのですが、特にこの地域はアイヌにとって水上交通の難所であり、無事に通過できるよう神に祈ったことから「カムイコタン」と呼ばれるようになったとされています。

神居古潭は廃駅もあるのですが、風光明媚な場所でもあります。国道12号線の脇、石狩川沿いに駐車スペースがあり、そこから川の向こうに渡れる神居古潭大橋が架かっていて、この季節は紅葉を見に観光客が訪れます。

神居古潭大橋から眺める石狩川の光景は秋一色。10月初旬で本州ではまだ紅葉は早い時期ですが、ひと足早く紅葉の景色を楽しみます。

橋を渡った先に駅舎はありました。これが旧神居古潭駅。現在はサイクリングコースの途中の休憩スポットとして使われています(現在サイクリングコースは落石の危険があるため運用休止となっています)。かつては集落があったとされ、それがコタンと言われる由縁となっていますが、かなり急峻な崖の近くに建つ駅で石狩川が近くに迫り、川の向こうも国道が通りばかりで集落はありません。

明治34年、旭川駅まで函館本線が延伸された3年後に開業しましたが、先に記した理由から電化の際に廃止、68年の歴史に幕を下ろしました。今はその歴史を駅舎や古いホームが静かに伝えるだけです。

駅舎の脇にはSLが静態保存されています。9600形SLは大正時代から製造された初の国産の本格的な貨物列車牽引用の蒸気機関車で、四国を除く全国で活躍しました。函館や苗穂などに所属し、昭和43年に引退しています。ちょうど神居古潭駅と時同じくして引退しており、ここで保存するのにちょうどいいパートナーだったのではないでしょうか。

旧神居古潭駅では他にも同じく函館本線で活躍したC57 201などの生体保存もされています。

かつてSLが走った神の住む場所、神居古潭。駅はなくなりましたが風光明媚な秋の景色は今も健在です。そろそろ冬支度を始める北海道ですが、今年最後の秋の残り香を感じにぜひ訪ねてみてください。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年10月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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