上智大学の「排外主義批判」声明こそ「排外主義」を煽っていないか

入管政策の厳格化は「排外主義」なのか

上智大学グローバル・コンサーン研究所(所長:権 香淑(クォン・ヒャンスク)准教授)が10月30日、日本政府の「排外主義的な政策」に抗議する声明を発表した。

難民申請中の強制送還、永住資格の取り消し、在留許可手数料の引き上げを批判し、政府の「むき出しの悪意」とまで断じている。

【参照リンク】日本政府の排外主義的な政策に対する抗議声明 上智大学グローバル・コンサーン研究所

上智大学グローバル・コンサーン研究所
グローバル化する社会で生じる貧困や暴力に関わる諸問題についての調査研究、講演会等を通じて学生や社会の意識化を図るとともに、世界のひとびとの尊厳と連帯の実現、またそれを脅かす様々な問題をグローバルな視点から研究することを目的としています。

しかし、この声明を読むと、むしろグローバルを掲げる大学が海外の移民政策をご存じないのかと首をかしげたくなる。

上智大学 同大学HPより

難民申請者が全員送還されるわけではない

2023年の入管法改正は、難民申請中なら誰でも送還できる制度ではない。原則として3回目以降の申請者などに対象を限定し、迫害のおそれがある場合には例外も設けている。

難民保護は当然必要だが、申請を繰り返せば送還を無期限に回避できる制度も問題だ。制度の濫用を防ぐことと、本当に保護すべき難民を守ることは両立しなければならない。

2024年改正の永住資格取り消しも、故意の税・社会保険料不払い、入管法上の義務違反、一定の犯罪などが対象だ。施行は2027年4月1日で、まだ始まっていない。

病気や失業による未納には配慮され、資格取り消しに代えて別の在留資格に変更する仕組みもある。納税義務を果たすよう求めることが、なぜ排外主義になるのだろうか。

手数料引き上げは「人頭税」なのか

声明は手数料引き上げを「差別的な人頭税」と呼ぶが、そもそも人頭税は人に一律に課す税だ。行政手続きの対価である手数料とは性質が違う。

しかも声明は引き上げを2025年の政策としているが、今回の改定は2026年10月1日施行だ。

永住許可手数料は20万円となったが、生活困窮者などへの減額措置もあり、対象者は2万円となる。ただし適用には条件がある。

豪州などでも高額なビザ申請料を徴収している。外国人受け入れには審査、行政、教育、地域社会への統合など様々な費用がかかる。これを誰が負担するのかという議論を抜きに、値上げを差別と決めつけるのは一面的だ。

「排外主義」のレッテルこそ分断を生む

移民政策は欧米でも難題だ。統合がうまく進まなければ地域社会の摩擦や政治的不安定を招くこともある。問題を放置すれば、むしろ外国人への不信感が強まりかねない。

もちろん入管行政には人権への配慮が必要だ。しかし、法秩序を守るための制度改革と、外国人への差別を同一視してはいけない。

上智大学グローバル・コンサーン研究所(所長:権 香淑(クォン・ヒャンスク)准教授)が、大学の研究機関なら、政策の費用と便益、海外の制度との比較を示して議論すべきではないか。

政府の政策を批判する自由はある。だが、異論を「排外主義」と決めつけるだけでは社会の分断を深める。こうした声明こそ、結果として排外主義を加速させてしまうのではないだろうか。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント