政府の年金給付抑制法案は、これまでの「マクロ経済スライド」に加えて賃金も勘案し、年金支給額の爆発的な増加を抑制する法案だ。その効果は限定的で、やらないよりましという程度だが、安倍首相が世代間の公平に言及したのは一歩前進だ。
ところが民進党の玉木雄一郎氏は、この法案に「年金カット法案」というレッテルを貼って何の対案も出さない。年金給付を抑制する法案なのだから、支給がカットされるのは自明だ。それを批判するなら、民進党は対案を出すべきだ。
先月も鈴木亘氏が言っていたように、日本の年金債務は今後30年で1600兆円もある。これは社会保険料を除いた純債務で、毎年50兆円も一般会計などから穴埋めしている。これは今後激増し、遠からず日本は国家予算の半分以上が社会保障の赤字補填という「破綻国家」になる。
そんなことは財務省にいた玉木氏は知っているはずなのに、代表選挙では「子ども国債100兆円」などというバラマキを提案し、今度は「年金カット」を攻撃する。あいかわずの万年野党のポピュリズムだ。年金の抑制に反対するなら、支給をカットしないで1600兆円の年金債務を返済する財源を示せ。対案なしでは、建設的な国会論議にならない。