トランプVSクリントン、運命の女神はどちらに微笑む?

安田 佐和子

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再びeメール問題が民主党のクリントン候補を直撃し、勝負の行方が分からなくなってきました。米連邦捜査局(FBI)のコミー長官が再調査の意向を明らかにした10月28日を含む世論調査でも、クリントン候補のリードが1ポイントまで縮小。はたして、eメール問題再燃は今後どのような影響を与えるのでしょうか。

そもそも、初期反応としてツイッター動向をみるとトランプ候補ほどの世間をにぎわせたかは疑問が残ります。また1992年から6回の米大統領選で全て民主党候補を選出した州は選挙人を合計すると242人、6回連続で共和党候補を選出した州では102人にとどまり、選挙人でみた動向は民主党に有利な状況です。

支持層別にみてみましょう。両者の違いをみると、クリントン候補は1)白人以外、2)女性、3)18~34歳と35~49歳で顕著にリードしています。

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(作成:My Big Apple NY)

2012年の投票者・年齢別シェアでは、45~64歳が39.1%で首位。18~24歳、25~44歳層の合計も38.5%に及び比較的、若い層が選挙結果のカギを握るというわけです。この層の投票率が高くトランプ候補への鞍替えがなければ、基本的にクリントン候補が優勢な状況は変わりません。

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(作成:My Big Apple NY)

気になる投票率も、接戦州の一角では高水準が期待されます。カリフォルニア州をはじめメイン州、マサチューセッツ州のほか、激戦州のアリゾナ州やネバダ州でマリファナ合法化をめぐる州民投票が行われるためです。ここで若い層の投票率を押し上げれば、クリントン候補に追い風が吹く公算。ただしネバダ州はラスベガスを擁しカジノ産業との結びつきが強いため、トランプ候補に傾く可能性は決して低くはないでしょう。

そもそも、隠れトランプ・ファンが本選で本領発揮するシナリオがあり得ます。

例えば、こちらをご覧下さい。「男性が男性らしい行動で罰せられている」という質問に「完全に賛成」、「概して賛成」との回答はトランプ候補支持者の間で高いことは言うまでもありません。しかし有権者の間で32%と、共和党の41%を下回るとはえ、決して無視できない水準でした。

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同じ質問の支持政党別でも、共和党が43%に対し無党派層は38%とわずか5ポイント差しかありません。民主党の26%からは、10ポイント以上の距離を開けます。

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(作成:Atlanticの世論調査を基にMy Big Apple NY作成)

こうした数字は、ポリティカリー・コレクトつまり世間的に正しい姿勢に辟易した方々が少なからず存在すること表し、トランプ候補に勝利をもたらし得ます。男性が感じる社会への閉塞感は、日本でも男尊女卑ならぬ女尊男卑が登場する通りで共通するものがありますね。さらにウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の世論調査では、まだ投票する候補を決めていないとの回答のうち約30%が「共和党支持」で、「民主党支持」の21%を上回っていました

最後に、男性と女性の投票動向を確認していきましょう。

1980年以降の米大統領選では、1984年から投票に占める割合で女性が男性を逆転しました。ところが、第3候補が健闘した1992年と2000年を除き、共和党候補に投票した男性の割合、あるいは民主党候補に投票した女性の割合どちらも55%という数字が勝利を決める分水嶺であることが分かります。

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(作成:My Big Apple NY)

運命の女神はどちらに微笑むのか。BREXIT劇が再演されるのか、サプライズを回避するのか。筆者は決戦の日をNYで見守り、現地から情報をお伝えします!

(カバー写真:hjl/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年10月31日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。