2016年の年始は「文春砲」が大炸裂、「まさか」のあの人まで不倫報道が続きました。この影響は4月にはTVドラマで不倫ドラマが咲き乱れるという現象を引き起こし、これまで不倫を扱うことを敬遠してきた学者たちも「不倫学」を学術的に考えはじめ、多数出版されました。2016年はまさに「不倫学元年」だったのです。
このシリーズ「大人の恋愛不倫学」では「人」という生物の構造として誰もが陥り得る不倫に向かわせるメカニズムを紹介します。そして、「生物としての人」を上手に操り、自分も周りの人も幸せにできる生き方を提案します。
①超最低のクーリッジ効果不倫
多くの女性にとって意中の男性を落とすことは、それが一時的なものであれば全く難しいことではありません。なぜなら、男には「クーリッジ効果」というメカニズムが備わっているからです。まずは以下の逸話をご覧ください。
第30代アメリカ合衆国大統領のクーリッジはあるとき妻と農場の見学に行きました。そこの鶏小屋にはたくさんのメス鶏と一羽のオス鶏が飼われていました。クーリッジ大統領の妻は農場主になぜオス鶏は一羽なのかと尋ねました。すると農場主は「オス鶏は何度でも交尾できるので、一羽いれば全てのメス鶏を孕ませることができる。一羽で十分だ。」と答えました。大統領夫人は「その話を夫によく聞かせておいて！」と農場主に頼みました。
話を聞かされたクーリッジ大統領は農場主に、オス鶏は同じメス鶏でも何度も交尾をするのか尋ねました。農場主は「何度も交尾できるのはメス鶏が交代したときだけだ。」と答えました。大統領は「その話を妻によく聞かせておいて！」と農場主に頼みました。
さて、この大統領のエピソードが本当だったかどうかは定かではありませんが、メス鶏が交代することでオス鶏が何度でも交尾できる現象は本当です。この現象はラットを使った実験でも確認されています。適切な間隔で交尾相手のメスが交代するとオスは最長で8時間交尾を続けたそうです。メスが交代しなかった場合は約1時間で性的飽和状態に陥ってしまったので、メス交代による効果は8倍です。ラットの寿命は２，３年なので、ラットの8時間は人類のそれよりも体感的には長いはずです。残念ながら人類を使った実験は私の知る限り科学論文には見当たりませんでしたが、健康な若い男性で実験すれば24時間か48時間か、はたまた240時間か、驚異的な数字を叩き出すことでしょう。
このメスが交代することでオスがエンドレスに交尾可能になる現象はクーリッジ大統領にちなんで「クーリッジ効果」と呼ばれています。鶏のように人類よりもずっとシンプルな生物でも確認できる現象なので、非常に原初的（primitive）でパワフルな生物学的システムに支えられているといえます。言い換えれば、人類が意志を獲得する前から備わっている強力な仕組みなので、男性はこの効果の発動を抑える術がほとんどありません。魅力的な女性に迫られると、どんな男性でもその意志にかかわらず体が自然に反応してしまうのです。なので、女性としての魅力をアピールすれば、一時的にはどんな男性でも落とすことができるのです。
問題はその後です。クーリッジ効果で関係を持っただけだと、男性はすぐに女性への興味を失い、関係を維持しようとは思いません。女性は深い喪失感に陥ることでしょう。
不倫にもいろいろとありますが、男性はこのようなクーリッジ効果不倫だけはするべきではありません。不倫は「人の道に非ず」という意味ですが、一夫一婦制は無理のある婚姻制度なので、現代社会には必然的に不倫が発生してしまいます。しかし、人の道は外しても人の心は外すべきではありません。人の心とは人を尊重できる心です。
クーリッジ効果だけで女性と関係をもつような男性には、女性に対する敬意が欠けています。男性は相手の女性が結果的にハッピーにならないような不倫は決してやってはいけないのです。女性をハッピーにする気持ちがないのなら、クーリッジ効果が発動しそうなシチュエーションを避けるのも大人の男性のたしなみと言えるでしょう。
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