山田錦に依存する「日本酒ブーム」は危うい

アゴラ編集部

バブル後の一時期に、日本酒の良さが再認識されたことがありました。しかし、日本酒の需要は全アルコール飲料の7%。若い世代を中心に日本酒離れが進んでいます。最近、そんな「右肩下がり」の日本酒消費量が増えたらしい。これについては、被災地に蔵元が多いため、東日本大震災の復興支援も影響しているようです。また、日本食の広まりと同時に、海外で日本酒にちょっとした「ブーム」が起きている。輸出量が少しずつ多くなっていることを受け、政府も国家戦略として「ENJOY JAPANESE KOKUSHU(國酒を楽しもう)」プロジェクトを立ち上げ、官民が一緒になって後押しを始めています。


そんな状況なのに日本酒用の米「山田錦」が足りないそうです。表題記事によると、「主食米と酒米が同じ扱い」という農政が主な原因とのこと。しかし、日本酒用の山田錦は、酒造メーカーに安く買い叩かれるので農家は敬遠してあまり作りたがらず、さらに山田錦は栽培が難しいので以前から技術を持った限られた農家しか作ることができなかった、というのが真相です。つまり、農家が望んでこうした制度を作った、補助金で釣る制度の弊害、という側面が強い。

そもそも第二次世界大戦の敗戦直後、山田錦まで食べてしまい、日本酒用の米が不足したことも遠因です。当時の大蔵省は酒税確保のため、ナショナルリカーである日本酒へ醸造用アルコールの添加を認めてしまい、以後それが当然のようにして純米酒以外の日本酒が一般的になってしまう。大手日本酒メーカーは、日本酒用の米を調達せずとも醸造用アルコールがあればなんとかなってきた。醸造用アルコール添加した日本酒は悪酔いするし、味も良くない。それが日本酒離れを加速させてきた大きな原因です。もちろん、米と米麹だけで作られた日本酒は美味しい。「ワインなどより日本人の遺伝子にずっと合っている」という声もよく聴きます。

旧大蔵省と農水省の縄張り争いが影響しているのか、こうしたことを背景に、主食には適さない山田錦などの「酒米(酒造好適米)」を十把一絡げに「飯米」にずっと含んできたわけです。今の日本酒ブームは「純米酒ブーム」であり、日本酒用の米をまかなえるほど生産量はありません。しかし、酒造好適米は山田錦だけじゃない。山形や宮城などの「美山錦」や新潟や富山などの「五百万石」でも美味い日本酒を作っています。さらに言えば、あきたこまち、こしひかりのように山田錦以外の米でも日本酒はできますね。山田錦にばかり頼っていると「ブーム」は去ってしまいかねません。

WEDGE Infinity
日本酒ブームなのに酒米・山田錦が足りない


ソーシャルネットワーク上で最も影響力のある感情は「怒り」
GIGAZINE
これはよくわかる。最後の最後に煮詰まって出すのは「怒り」だったりします。日本語が通じなくても怒りの感情は万国共通です。本当に怒ってなくても「怒ってるフリ」をするだけでもいい。相手に自分が今どんな感情なのかを伝えるのに、怒りは最も効果的な表現方法です。この記事では、SNSやネットでも怒りは伝播しやすい、と書いている。怒ってるフリだったのが、いつの間にか、ナショナリズムと結託させられ、排外主義や敵愾心に利用される、なんてことにならないように要注意です。

子どもはなぜ「替え唄」を歌うのか?
Kousyoublog
子どもに限らず、替え歌が好きな人は意外に多いです。このブログで紹介されている本から、替え歌のパターンやモチーフ、内容などについて考えています。かなり前にタモリが出した『タモリ3「戦後日本歌謡史」』なるアナログアルバムがあるんだが、並木路子の『リンゴの唄』が『サンゴの唄』に、西郷輝彦の『星のフラメンコ』が『肉のフラメンコ』に、ザ・カーナビーツの『好きさ好きさ好きさ』は『フキさネギさイモさ』に、田原俊彦の『哀愁でいと』が『来週デート』と、ハチャメチャでかなりおもしろい。興味ある方はYouTubeにもあるので探してみてください。著作権配慮で微妙にメロディを変えている。大マジメに替え歌を作る快挙は当作品にとどめを刺す。このころのタモリの「裏芸・宴会芸」は秀逸ですな。これ、CDかネット音源で再発しないかね。

ギネスが認めた! 火を噴く世界最大のロボット・ドラゴン
KOTAKU
こういうのは「ココロ」に代表されるように日本人のオハコなんだが、ドイツ人も負けてません。どうせハリボテだろうと思いきや、骨格は立派なロボットです。アニメ『ヒックとドラゴン』では、少年とドラゴンが仲良くなります。ヨーロッパ人にとってのドラゴンは、ゲルマン神話やギリシャ神話、キリスト教などと関係があり、大天使ミカエルや聖ゲオルギウスが退治したのもドラゴン。旧約聖書に出てくるヘビに通じるものがあるんでしょう。日本における「龍」が龍神なのと違って、ヨーロッパのドラゴンは日本における「鬼」のような存在ですな。

The Big Bang May Not Have Spawned The Universe After All
POPSCI
ビッグバン仮説に疑問、という記事です。ビッグバンはあったのかもしれないが、それは宇宙を作ったのではない、という話。ブラックホールの存在は、ビッグバンと矛盾する。じゃ、どうやって「この」宇宙ができたのか、と問われてビッグバン以外の理屈で答えられる人はまだいません。この記事では「もっともらしい理屈」なので、長くそれにこだわってきた、とビッグバン仮説を扱き下ろしています。


アゴラ編集部:石田 雅彦