気がつけば、あした(3月31日)はプロ野球の開幕日だ。WBCは残念ながら準決勝敗退に終わったが、レギュラーシーズンはこれから。球春到来のこの頃、きのう(29日)は、チバテレ(千葉テレビ)さんのお誘いで春の記者発表会に行ってきたのだが、里崎智也さんの本質をズバリ突くパ・リーグ順位予想を拝聴した。
発表会で本音の“里崎節”が炸裂
チバテレでは今年30試合の生中継を予定しており、里崎さんや倉持明さん(元AKB48、倉持明日香さんのパパ)らロッテOBの名物解説者の濃い〜トークが今季も地元のロッテファンを楽しませてくれそうだ。記者発表そのものの詳しい模様は、日刊スポーツの速報記事に譲りたいが、発表会では里崎さんの本音トークが炸裂して場内爆笑。
というのも、「お定まり」が一切ない。政治家で言えばポリコレはガン無視して(笑)、有権者に本質をズバズバ問いかけていくタイプなのだ。
今年はWBC後に迎えるシーズンということで、侍ジャパンに選出された他球団の選手の調整ぶりも含めて各チームのスタートに影響するか、メディアはそんな「定説」を思い浮かべてしまう。私もついついそんなイメージから、会見で質問したが、「正直、あまり影響はない」と里崎さん。すかさずWBCの前回大会の後だった2013年シーズンを引き合いに出した。この年、田中将大投手(当時楽天)が負けなしの24勝を挙げ、バレンティン選手(ヤクルト、オランダ代表)が日本新記録のシーズン60本塁打をマークしている。調整が難しいとの見方に対しては、「WBCがあっても頑張っている人はいるわけで、言い訳はするな、と僕は心の中で思っている」と、まさに“正論”。
プロ野球のシーズン直前は、解説者たちの順位予想も見所だが、ここでも里崎さんは、ファクトに目をつぶって周囲の空気に流されるようなことは言わない。先日は大阪のテレビ番組で阪神を5位に予想して驚かれたという。さすがだ(笑)。
ロッテがオープン戦で25年ぶりに首位に立った今年は、チバテレもつい期待を込めてしまうところだが、里崎さんは「ソフトバンク優勝でしょ」とズバリ言って会場は爆笑の渦に。実際、25年前はシーズンで最下位に沈んだこともあり、里崎さんが「オープン戦の順位は関係ない」と指摘する通りだ。ちなみに、里崎さんが、ロッテが優勝すると思った人に挙手するように試しに促したら、会場では誰もいなかった(泣)。
発表会の会場は後述する理由で銀座のカラオケ館。登壇後の個別取材は控え室に使っていたカラオケボックスでサシという展開に、私も里崎さんも苦笑してしまったが、里崎流の順位予想はどのようにやっているのか聞いてみた。「僕の順位予想は、各選手が普通に頑張ったらどれだけの成績を残すか、横並びした上で、去年からの上積みをする」のがベースという。
去年の里崎さんのパの予想は
①ソフトバンク②日本ハム③ロッテ④西武⑤オリックス⑥楽天
実際の順位は、
①日本ハム②ソフトバンク③ロッテ④西武⑤楽天⑥オリックス
そして今年(写真)は
①ソフトバンク②日本ハム③ロッテ④楽天⑤西武⑥オリックス
なぜ前年の順位がこうだったのか
結果的には日本ハムが11.5ゲーム差をひっくり返しての歴史的大逆転となったわけだが、「ソフトバンクが優勝できなかったのは、ここ一番で和田、バンデンハーク、柳田がケガをしてしまったが、それがなければ、ぶっちぎりで優勝だった」。主力の故障という“マイナス要因”と、昨年の広島の鈴木誠也選手のように急ブレイク(鈴木選手は本塁打が5→29本)する“プラス要因”は、どのプロの解説者も見極めが困難だが、少なくともパの予想に関しては、優勝争い、3位争い、下位の戦力グルーピングは正確に見積もっていたことになる。
「なぜ前年の順位がこうだったのか。アクシデントが起きたからか、起きなかった場合はどうだったか。もしくは、目一杯やってその結果だったのかを見て、戦力のプラスマイナスを判断する。去年のソフトバンクはマイナスがあっての2位」。今年は、ロッテからデスパイネ選手を獲得したことで2年前に李大浩選手が抜けてできた打線の穴が埋まったことを見ても、やはりソフトバンクの戦力は盤石だ。
さて、私も気になる、里崎さんの古巣マリーンズの展望だが、里崎さんは3年連続で3位に予想した。「鈴木大地、角中はタイトルを取れるかは別にして一軍のレギュラーとしての活躍はできる。投手陣は石川、涌井が2桁は勝てる」という基本線は見積もった上で、「新外国人のダフィーとバラデスは未知数だが、2人で40本塁打」「清田がおととし並みの活躍(打率.317)」「ショートのレギュラーに平沢か中村のどちらかが定着」….などなど、やはり伸ばさねばならない余地が大きいようだ。しかし、かつての里崎さんのように「弱いチームを常勝軍団にしていくことが面白い」のも確かだ。ロッテファンとしては強くなっていくストーリーがあるものだと期待したい。
野球ファンのビジネス的順位予想の楽しみ方
里崎さんの順位予想を聞くうちに、なんとなく似たような感覚を覚えたのだが、私も選挙関係の仕事をしている際には、得票の予測も、まさに過去の戦力(得票データ)を指標にしつつ、新しい動き(新たな候補者や党派の実力)を見極める難しさにいつも悩まされる。市場動向をにらむ業務をしているビジネスパーソンであれば、誰でも同じような経験はしているはず。野球ファンのビジネスパーソンなら、市場分析や予測のあり方という視点から、自分で順位予想をしてみたり、解説者たちの順位予想を参考にしてみたりすると、野球の新たな楽しみを得られるかもしれない。
なお、里崎さんは最近、「エリートの倒し方」(飛鳥新社)を出版。昨年アゴラでも個人のキャリア形成の視点からインタビューをして興味深い話をたくさん聞かせてもらったが(当時の記事の前編・後編)、すでに購入していたので、この週末、読んでみたいと思う。
P.S カラオケ館が会場になった理由。それは千葉で近年、話題沸騰の“千葉の伝説”こと、ロックミュージシャン、ジャガーさんが発表会のトリを務め、生歌を披露するため。写真も下記にドーン。ネットでも話題のジャガーさん、初めて生で拝見して存在感に圧倒されましたが、チバテレの終身名誉応援団長に今年就任。5月からは「おやすみジャガー」と題し、1日の放送終了時の天気予報番組が始まるようで、またネットでバズるかもです。