銀行借入には資金調達以外のメリットがある

横浜の京浜東北線沿線(写真)に気になる物件があったので、早速視察に行ってきました。一棟ものは良いと思う物件を見つけたら、フットワーク軽く動くのが鉄則。今回も物件をネット上で見つけてから、24時間以内に現地に到着しました。

駅から歩いて数分の立地。利便性もよく、利回りは9%を超える高い水準。建物はかなり老朽化していましたが、周辺環境は悪くない物件でした。

しかし、私は横浜には全く土地勘がありません。周囲をぐるっと歩いてみましたが、果たして長期的な賃貸ニーズがあるのか。東京とは随分勝手が違い、現地を見ただけでは何とも判断がつきませんでした。

モヤモヤした気持ちで、融資についての感触を聞いてみようと、帰り道に横浜が地盤の銀行の担当者に早速問い合わせてみました。借入金額がどの程度まで伸びるのかを聞くのが目的でしたが、現地の地理にとても詳しい担当者の方が周辺エリアの環境について教えてくれました。

駅の北口と南口では、同じ距離でも賃貸環境が随分違うこと、また将来的な駅前の開発計画があることもわかりました。話を聞いているうちに、現地を視察するだけでは見えてこないリスクが少しずつ明らかになってきました。大きく化ける可能性もありますが、逆に公共施設の移転などによって、街自体が地盤沈下する懸念もあるということです。

特に一棟ものの不動産というのは、物件の立地やサイズがマチマチで、クオリティに大きな差があります。だからこそ、丹念に物件を探すことによって掘り出し物が見つかったりするのですが、逆にガラクタを掴んでしまうリスクも大きくなります。そんなリスクを回避するためには、自分が現地を視察することは必須ですが、さらに地元の地理に精通した人のセカンドオピニオンをとることも重要になります。

その機能を最も良く果たしてくれるのが、物件に融資をしてくれる銀行です。物件を担保に資金提供する訳ですから、借り手である不動産投資家とある意味「同じ船に乗る」ことになります。特に、一回きりの融資ではなく、継続的に取引を拡大していきたい場合、銀行は丁寧に融資物件を審査し、有益なコメントを出してくれます。

銀行は単に資金を融通する「キャッシュマシーン」ではなく、物件の価値を別の目線でチェックし、セカンドオピニオンを無料で出してくれる有益な存在でもあるのです。

不動産はスピードが勝負ですが、同時に慎重さも求められます。「大胆かつ慎重に」と言う矛盾した2つの要素をバランスさせることが求められます。

見つけてからスピードを重視で横浜まで駆けつけた物件でしたが、銀行の融資担当者の情報で随分冷静になることができました。さらに融資条件もも参考にしながら、最終判断をするつもりです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年4月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。