シリア情勢:「出来レース」に見えすぎる米露の対立

池内 恵

Russia Sends Drones to Deir ez-Zor Where ‘Coalition Strike’ Caused Chemical Leak

ティラーソンが来る前は「テロの大部分はCIAの陰謀」「シリア各地で米国は毒ガス攻撃自作自演の準備をしていた」とありったけの情報発信をしていたロシアが、ティラーソンが来て、会わないふりをしていたプーチンとも会った後は、米国に歩み寄る。

アサド政権が「米軍の攻撃で「イスラーム国」の化学兵器貯蔵庫を爆破して死者が出た」という主張に対して、ロシアは「ドローンを飛ばして、アサド政権の主張する米主導の攻撃の結果として起こったとされる、アサド政権の主張する化学兵器の漏出について調査するよ」と、自らのプロパガンダメディアで発表。

“alleged chemical leak of a result of an alleged US-led coalition strike”と二度もしつこくalleged(=アサド政権の主張によればあったとされる)を付けて、すごく嫌味っぽい。

まあ結局は「その可能性はあるので、もっと調査しましょう、そのためには米露協力必要ね」という方向に持っていくのではないかな。

米露の対立が出来レースに見えすぎて、「本当はプーチン・トランプが裏で繋がっている」説が、特に米政界では飛び交うのだろう。

これをトランプが好きな「プロレス」と表現すると、プロレス界の人にお叱りを受けるのだろうが・・・


編集部より:この記事は、池内恵氏のFacebook投稿 2017年4月14日の記事を転載させていただきました。転載を快諾された池内氏に御礼申し上げます。