「有機EL」で巻き返せ

アゴラ編集部

「有機EL」技術の研究開発といえば、日本の山形大が強いと言われています。白色の有機ELを発明した城戸淳二教授が陣頭指揮を執って「山形大学有機エレクトロニクス研究センター」という専門研究機関まで持っている。一時期、発光効率などの面から有機ELの限界がささやかれていたりしたんだが、テレビなどの大型ディスプレイに使われ始め、再び注目が集まっています。


この「有機EL」、汎用の照明機器で広く利用されつつあるLEDが無機物を使うのに対し、プラスチックなどの有機物を使った発光現象のことです。前述したように、有機ELは、テレビなどで従来の液晶ディスプレイに取って代わりつつある。また、面発光の大きな一般照明としても製品化が進められています。一方、LEDも点発光の利点を活かし、これから大型ディスプレイの分野でも使われてくるでしょう。

大型有機ELディスプレイの技術分野では、韓国系企業が実用化の面で一歩先を行く、と言われています。ここでも日本企業は後塵を拝してしまうんでしょうか。表題のリリースでは、九州大学の「最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)」が高効率の「青色発光有機EL」素子の開発に成功した、と発表しています。九大にも有機ELの研究機関があるんですね。

有機ELは、蛍光材料を使う第一世代からイリジウムなどを含んだリン材料を使う第二世代を経て、今では特殊な蛍光有機材料を使う第三世代に移行しつつあるようです。第二世代はイリジウムなどの稀少金属を使うため、資源面や安定性でデメリットが大きかった。九大は、安価で安定性の高い第三世代の「TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence)材料」「熱活性化遅延蛍光材料」と呼ばれる素材を開発したようです。

この研究には、内閣府のオープンイノベーションで民間13社が参画した産学リエゾン(内閣府最先端研究開発支援プログラムFIRST)が入っているそうです。これも2014年3月で終了。ただ、知財系はすべて九大が抑えているようで、13社に限らず今回の成果を製品化につなげていくらしい。

今回、ブルーで電子結合時に100%の高効率を実現したことで、光の三原色であるRGBを「熱活性化遅延蛍光材料」で発光させる可能性が高まりました。RGBについていえば、グリーンはすでに九大が100%のものを開発済み。レッドも近いうちに発表されるでしょう。色の再現性が問われる有機ELディスプレイで、日本発の画期的デバイスが登場するかもしれません。

九州大学
高効率青色熱活性化遅延蛍光有機EL素子の開発に成功


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アゴラ編集部:石田 雅彦