プーチン大統領「武力行使必要なし」、1000億ドルの資金流出で譲歩か --- 安田 佐和子

アゴラ

プーチン露大統領「軍派遣は最終手段」─軍事演習は終了

ロシアのプーチン大統領は4日、記者会見でウクライナへの軍事派遣の必要性は現時点でないと明言し、軍事力の投入は「最終手段」と明言した。ただ、ウクライナの暫定政権は「合法ではない」と言及。5月25日予定のウクライナ大統領選挙も、認めない可能性を付け加えた。解任されたヤヌコビッチ前大統領こそ「正当な指導者」との見方を繰り返しつつ、「将来はない」とも付け加え、同大統領の権限復帰を求めていない姿勢を示唆した。

プーチン大統領はクリミア半島を「併合は検討していない」と発言した一方、支援要請があれば「あらゆる手段を講じ、市民を守る用意がある」と付け加えた。また同半島上陸後、砲弾は一発たりとも使用していないと説明した。ウクライナ東部での違法行為には介入する意思をみせ、「合法的かつ国際法の枠組みに基づき」実施するという。

米欧が検討中のロシアに対する制裁措置は「非生産的」と発言。さらに「双方が打撃を被る」と警告を発した。

記者会見前、同大統領府はウェブサイトにてプーチン大統領がロシア西部、ウクライナ国境付近での軍事演習の終了と7日までの配属地への帰還を命じたと発表。軍事演習は事前に決定したスケジュールに従い、国境付近の複数の地域で2月26~3月3日まで実施したと説明した。軍事演習には、プーチン大統領も視察に訪れていたという。

ウクライナをめぐる金融支援交渉は、進展中。ケリー米国務長官はキエフ入りしており、10億ドル支払う用意があると発言した。ウクライナ暫定政権が3日に要請した150億ドル支援に対し、国際通貨基金(IMF)は4日から視察入りを開始し2年間で実施するか検討に入っている。

本日のロシアマーケット動向は、以下の通り。

株式指数MICEX

micex

micex-2

個別株動向

micex-1

ルーブル動向

rub

ロシアの金融市場は3日、1)株式市場から584億ドル、2)介入資金で150億ドル──など巨額な資金流出に直面。一説では、たった1日で1000億ドル相当に及ぶとされていた。いわば外交路線での締め付けより、金融市場の強烈な一撃がプーチン大統領に「譲歩(climb down)」を迫ったとみられる。

ダウ、S&P500、NASDAQの先物動向は、以下の通り。

futures


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年3月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。