というわけでこのニュース。
CNETのお題にもなっているので。
大事なことは三つ。
- 負けたのはMicrosoft
- Yahoo! Japan は Yahoo! でなくてソフトバンクの子会社
- もはやPCは「現場」にあらず
1. 負けたのはMicrosoft
Googleが検索市場でトップの座にないのは、日本と中国ぐらいだった。「中南海八分」にされた中国はとにかく、日本市場は Yahoo! Japan の牙城。そのまま行けば米Yahoo!と同じように、そのままBingがされるかと思いきや、このニュース。Microsoftには痛恨の一撃だったはずなのだが、そのような緊迫感が今のMicrosoftには決定的に欠けている。
決め手となったのは、ソーシャルストリームとスマートフォン。BingはPC上検索に関してはGoogleにひけを取らないところまで来ているように見えるのだが、twitterのつぶやきを検索してみると、Googleの方が圧倒的に速くインデックスされているのがわかる。
スマートフォンともなるとその差はさらに広がる。iOS 4 には Google, Yahoo に加え Bing が検査のオプションとして加わったが、あくまで加わっただけでデフォルトはGoogleのままである。それよりも大きいのはアプリで、Bingには何もないのに対し、GoogleにはすでにMobile Appがある。しかもこれ、PCのWebブラウザーではまだサポートされていない音声検索まであるのだ。
今やGoogleの「敵」でもあるAppleの製品にしてからこれである。Android がどうであるかは言うまでもない。そして Windows Phone 7 はまだ市場に一切出ていない。
2. Yahoo! Japan は Yahoo! でなくてソフトバンク
BingがGoogleに遅れを取っていることは上記のとおりであるが、それではYahoo! JapanはなぜあっさりBing、いやYSTを捨てることが出来たのか?
Yahoo! Japan は Yahoo! ではないからである。
Yahoo!JAPANのGoogle採用、「AMDからIntelに変わったようなもの」と孫社長 – ITmedia News
Yahoo!JAPANの検索サービスはこれまで何度か検索エンジンを変更しており、米Yahoo!やGoogle、goo(NTTレゾナント)など他社からエンジンの提供を受けてきた。孫社長は検索サービスのエンジン変更を、「(CPUが)AMD製からIntel製に変わったに過ぎない」と、PCのCPUに例えて説明する。
Yahoo! Japan はあくまでソフトバンクの支配下にあるのであって、米Yahoo!が支配していたわけではないということだ。確かに筆頭株主はソフトバンクであるし、サービス上の違いも大きい。オークションでは米Yahoo!はeBayに完敗したが、日本ではeBayはヤフオクに完敗している。iOSアプリを見ても、米Yahoo!よりYahoo! Japanの方がずっと熱心に取り組んでいるように見える。
Microsoft はこのことにもっと留意するべきではなかったのか?
3. もはやPCは「現場」にあらず
なぜMicrosoftが負けたのか。なぜYahoo! JapanはGoogleを選んだのか。結局のところ、これにつきる。検索はPC上で起こってるんじゃない、「手元」で起こっているんだ、ということである。その手元とは、ケータイであり、スマートフォンであり、iPadのことである。
これらの「手元」は、文字入力がおっくうな場である一方、音声やGPSなど、PCでは入力できないデータを簡単に入手できる場でもある。「最寄りのレストラン」を検索するには、PCでは「最寄り」を具体的な住所にユーザーが変換しなければならないが、スマートフォンであればスマートフォン自身が知っている。
そしてこの点に関しては、実はGoogleとて「1番」ではないのだ。
iPhoneでtwitterにアクセスするのに、Safariでやる人は滅多にいない。私を含めほとんどの人はアプリを通してアクセスしているはずである。その方がずっと使いやすいからだ。そしてアプリ経由のWebアクセスにアクセスできていないというのはGoogleも同様なのだ。
今回のディールでGoogleは日本の検索市場の95%を抑えたそうだが、それは「現場」の95%では決してないのだ。
Dan the Searcher