先週総務省より、「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」報告書の公表及び「ホワイトスペース特区」先行モデル決定という報道発表があった。
この発表をみると、わざわざ有識者の皆様で、欧米と異なる手法を出す事で日本独自の方向を打ち出したようだ。 しかし、VHFのマルチメディア放送もあり、このホワイトスペースでもワンセグ型による放送がほとんどいうのは、いったいどういう事だろう。
結局のところ、放送バンドは、いつまでたっても放送系が主導で、解放されないということではないだろうか。 それのどこがホワイトスペースなんだろう。
以前にも、アゴラに投稿したが、FCCのR&Oは、最低限のルールのみを策定し、そのうえでのアプリケーションや実装には踏み込まないで、民間による自由な参加と規格の策定を促している。 これに対して、今度の発表は、電波資源をどう共用化するか、多重化するか、有効利用するかという点の議論が充分に無いまま、またしても誰が,何処で,何をという垂直統合型提案のオンパレードで、それを裁量行政により採択するという根本的手法を一切変えていない。
また、国際標準化にしても、このスライドには実装をして、それを適時国際標準化へ提案するというレベルで、現在のフォーラム型国際標準のように、はじめから国際協調して土俵をつくり、そのうえで自由に実装標準の競争をするといスタイルに対する認知が皆無だ。
つまり、日本方式をつくって、それを他の国に提案して行くという、W-CDMAや地デジと同じ手法なのだ。 現在の標準化は、標準を何処でつくるかというのが重要で、そのためには世界の標準でどのレイヤーは、どの標準化団体が競争力があるかを見極めて、そこに参加することが圧倒的に優位なのだ。 そういう意味では、ヒアリグ対象者なども含めて、そういう現場に情報収集に来ている人はいても、活動している人はいないし、提案企業や団体は、完全にガラパゴスで生き残っている稀少個体という感じだ。
地デジ移行後の周波数再編も、このホワイトスペースも、結局は従来の電波政策の延長でしかないのは、とても残念だ。 国際競争力やイノベーション力を育成する土壌を、こういう報告をつくる方々が阻害しているのではないだろか。
コメント
全くその通りですね。私も少し驚きました。まだまだ放送業界の縄張り意識が残っていて、それを総務省も受容しているようです。
「小規模の地域ワンセグ」という使い方は、全くないわけではないとは思いますが、あまりに需要が少なく、恐らく商業ベースには乗らないでしょう。つまり、こういうものに用途を絞ってしまうと、結局使われない事になり、何のために開放したのかが分からなくなってしまいます。
現在のテレビ受像機の作り方では、ホワイトスペースを利用して強い電波を出すと、隣接チャンネルで受信抑圧を起こすようなので、弱い電波しか出せない事になりそうです。そうなると、やはりWiFiに使うのが一番有効でしょう。
WiFiはこれから殆どの機器に内蔵されることになるでしょうから、現在の周波数帯だけでは輻輳が必至で、新しい周波数の開放は望まれるところです。世界的な動きでもあるので、標準化の心配をすることもありません。
松本さん
早速のコメントありがとうございます。
>現在のテレビ受像機の作り方では、ホワイトスペースを利用して強い電波を出すと、隣接チャンネルで受信抑圧を起こすようなので、弱い電波しか出せない事になりそうです。
これは、どなたかが、きちとんした論理や検証により、どこかで発表されたのでしょうか? 参考のために、もしあれば教えてください。
私の勉強不足かもしれませんが、こんな理屈は、私にはまったく理解できないので、どこかでこんな理屈で,ホワイトスペースをワンセグ主体に誘導した人がこの記事を読んだなら、以下の疑問に応えるとともに、きちんと論拠を示して欲しいとろこです。
FCCは、実験などを行なった上で、4ワット局の基地局型を設定しました。 日本の地デジ方式がが米国の地デジと比較して特段隣接チャンネルによる感度抑圧が大きいということはないと思います。(もしあるとしたら、地デジの設計に問題がありますよ。)
こういう、曖昧な前提条件(弱い電波/強い電波なんていう表現や、与干渉条件、伝搬条件なども不明)のもとに、ネガティブな風評を流す輩が多いのも、裁量主義で議決や公開議論をしない日本のガラパゴス社会の特異性かもしれません。
“隣接チャンネル感度抑圧”なんていう言葉を使って、多くの人に「ホワイトスペースの利用は大変らしい」という印象だけを与えることが目的ではなでしょうか?
ガラパゴスって、技術や制度じゃなくて、有識者、学識者、ビジネスマンがガラパゴスなのが一番の要因かもしれませんね。
ま、USとJPのお国柄の違いが極端にでているようなところなので、ものの決め方自体は、なかなか変わらないのでは。
日本は、なんにつけ、権威主義なんだが、権威主義なんてものは、こういう分野には、あってないと思う。それに、権威主義の観点からいっても、これのWGのメンバーの、ほとんどの人は、既に賞味期間が過ぎたような人ばかりで、こういう達ばかりで、審議しているてのも、なんだか、である。decision makingなら、半分でいいだろう。
別のメンバーで、技術審議やるWGがあるならいいが。
しかし、ホワイトスペースの中味の使い方までも、総務省のお役人が、考えてくれるのですか。。。。。
エリア限定ワンセグのオンパレードてのもね。冗談みたいな話だが。。。。