NTTが遂に土俵に乗ってくれた。 - 松本徹三

松本 徹三

「光の道」に関連してのNTTの見解が、「マイグレーションの考え方について」という表題で、NTT持ち株、NTT東・西の3社連名で8月31日に出されました。これでやっとまともな議論が出来るようになったので、私も大変喜んでいます。


これに関連して9月2日付けで池田先生のコメントも出ていますが、これについては論評しないことにします。当事者でありエキスパートでもあるNTTの具体的なコメントが出たからには、この各項目について具体的に論評し、議論していけばよいことになったので、この分野にあまり詳しくない方々の抽象的なコメントに対して、いちいち反論を繰り返すことは、もはや意味がなくなったからです。

国家政策としての「光の道」についても、それに関連するNTTの構造問題についても、当事者であるNTTが本気になって議論に参画してくれなければ、何も前に進まないのは当然です。普段は、はぐらかされるだけで終わってしまうのが常だったのですが、今回は総務大臣自らの提言であったのと、既に多くの人が興味を持って議論に参画し始めているので、遅ればせながら遂にNTTも土俵に乗ってきてくれたわけです。あとは、議論が密室に閉ざされず、国民環視の場でのなされるように注意していくことだけが必要だと思います。

NTTの見解は、ソフトバンクがこれまで行なってきた提言に対する反論でもあるので、これに対する具体的なコメントと質問は、ソフトバンクから追々正式になされると思います。従って、私も、アゴラの場では、今後もこれに対する個別の論評は行なわず、将来のソフトバンクのコメントを引用し、或いは補足するだけとします。今日の記事も、取り敢えずは気楽なコメントだけに留めますので、適当にお読み流しください。

NTTによれば、「ソフトバンクが算出している光回線の新設コストは低く見積もりすぎで、実際にはその2倍は必要」という事ですが、これには全く驚いていませんし、がっかりもしていません。

5年前に、現在行なわれている「携帯電話のMNP(Mobile Number Portability ? 番号を変えずに通信会社を変更できる制度)」が議論された時にも、当初NTTドコモは、「これをやる為には1,000億円程度のコストがかかるから、導入は困難」と主張していました。しかし、導入が決まり、携帯通信事業者各社が共同で具体的に検討してみると、結局コストはその10分の1の100億円程度で済むことが分かったのです。

これ以外にも、「NTTの当初の見積もりが高すぎる」というケースは枚挙に尽くせません。元々が独占企業だったので、今なお、その体質が身についてしまっているのでしょう。

競争の厳しい業界で仕事をしてこられた方々には釈迦に説法ですが、受注産業では、当初の「積み上げの見積り」が、「厳しい見直し」の結果として、半分以下に圧縮されること等はザラです。何故当初の見積もりが高くなるかと言えば、大略下記の理由によります。

1)各部署がそれぞれにContingency Factor(安全率)やOverhead(一般管理費)を十二分に入れてくる上、これが二重三重に加算されたものがトータルコストとして計算される。(本来は、各部署はそういうものを一切無視した「裸のコスト」で見積もり、最後に全体を通してのContingency FactorとOverheadを一発で加算するべきなのだが…。)

2)それぞれのセクションやファクターが、これまでの常識に基づいた一般的な基準によって見積もられ、特に工夫も凝らされないし、「この条件なら、ここはバッサリ削れる」といった大胆な発想も、通常は一切取り入れられない。(実際には、「抜本的な見直し」をすると、或る部分については、コストが一気に10分の1程度になることもしばしばあるのだが…。)

3)外注品や外注工事は、常日頃付き合っている業者が取りあえず気楽に見積もったものをベースとしているから、厳しい競争環境にさらされた業者が最終的に出してくる値段と比べると、相当高いものがベースになっている。

4)追い詰められるまでは、どんな企業でも、構造的な問題(例えば、「そもそも、そんな組織やプロセスを存続させて、全体のコスト構造の中に組み入れる必要があるのか?」といった疑問)には手をつけない。それ以外でも、当初の見積もりは、「苦痛を伴うことはやらない」という前提で作られるのが普通である。

技術的な問題についても同様のことが言えます。ソフトバンクがADSLをはじめる時、NTTは、「日本のメタル回線は米国等とは違う組成になっているので、技術的問題を生じる」「近接するISDNと干渉を起こす」「そもそも『IP電話』というものには信頼性がない」等々の理由で反対しましたが、結果はこのどれも当たりませんでした。

ソフトバンクがあのような思い切った価格革命を引き起こすとは、その時にはまだ誰も予想していなかった筈ですから、NTTは、その時は別に「ソフトバンクだから意地悪をしよう」としたのではなく、本当にそう思っていたのでしょう。米国のベルサウス等と並び、世界で最も先進的な光通信の信奉者であったNTTが、ADSLが大嫌いだったのはよく知られていた事実で、機器メーカーの間では、「NTTの前でADSLのことを一言でも言ったら、即刻担当から外されるぞ」という話が、まことしやかに囁かれていた程です。

以前にも一度申し上げたことがあるかと思いますが、私も光通信の信奉者であることは人後に落ちず、その理由もNTTの方々と大体同じで、「技術の流れは押し止めることは出来ない。全ての交換網がやがてはIP網に変わるように、また、全てのアナログTVがやがてはデジタルTVに変わるように、全てのメタル回線はやがては光回線に変わる」と思っていたからです。

ですから、2001年に、ソフトバンクが「過渡的な技術に過ぎない」ADSLに賭けて勝負に出た時には、当時はまだ孫さんをあまり存じ上げなかったにも関わらず、「10年間もつかなあ?」と密かに心配した程でした。

私の光通信信奉は1993年頃に遡ります。当時の私は、伊藤忠の通信事業部長として、タイムワーナー、USウエスト、東芝と合弁で、後にJACOMと合併することになるTITUSという日本第2位のケーブルTV会社の立ち上げに奔走していました。

また、当時の私は、一方では「直接衛星放送」のコンセプトにも夢中で、後のスカパーのビジネスモデルを一人で考えていたところでしたから、「ケーブルTVが衛星に対抗する為には、双方向でなければならず、電話やインターネットを包含した『トリプルプレイ』を狙わなければ駄目だ」と考えていました。従って、「NTTが電話回線を光回線に張り変えてきたら、とても太刀打ちできない」とも考え、本気でそれを恐れていました。

ケーブルTV事業は、都市部では「難視聴対策」に、地方部では「地域外再送信」に助けられましたが、決して容易な仕事ではなく、特にマンションへの売り込みには苦労していました。建物の中にケーブルを引き込み、各戸までくまなく配線するためには、理事会にお願いして、住民の何割かの賛成を取ってもらわなければならなかったからです。

これに対して、全てのマンションに電話線を敷設済みのNTTなら、「現在の銅線を新しい光回線に張り変えます。今の電話機のままでよい人は何も変わりません。新しい映像サービスなどを希望される方は、追加料金で色々なサービスが受けられます」と言って営業すれば、「古くなった水道の鉄管を新しい素材の管に変えます」と言うのと同じで、誰も反対しないでしょう。また、実際の工事に当たっては、既存の管路をそのまま使い、新しい光ケーブルでこれまでの銅線を押し出していくだけでよいので、全てが簡単かつ安価に出来ます。

実際には、その頃には、光ファイバーのコストも未だ高かったこともあり、また、NTTは放送事業分野に手を出すことを固く禁じられていましたから、私の心配は杞憂に過ぎませんでした。しかし、今は事情が少し違うでしょう。

一方で、光通信システムのコスト問題についても、私は独自の考えを持っていました。光ファイバー自体のコストは、当時でも既に相当下がっていたのですが、世界的に生産規模は未だ小さく、それよりも、光信号を電気信号に変換するチップが、まだ相当に高くついていましたから、私は、「そこにメスを入れなければ、光通信の普及は早まらないだろう」と考えていたのです。

ちょうど今から10年以上も前の、1998年頃の事だったと思いますが、当時の郵政省の金沢政策局長(その後NTTの副社長に転出)のご発案で、米国で急成長している情報通信技術関連会社(マイクロソフト、インテル、HP、オラクル、サンマイクロ、クアルコム等8社)と郵政省の情報交換を兼ねた朝食会が定期的に開かれていました。

マイクロソフトの古河さんとオラクルの佐野さんが、居並ぶ郵政省の高官の前で大激論をするなど、それはそれで面白く有意義だったのですが、二年近く続いたこの会が終りに近づいた頃、郵政省の方から、「皆さんは外資系にお勤めですが、日本の国際競争力を上げる為に、何か国としてやるべきことがあるとすれば、それは何かをアドバイスして頂けませんか」というご下問がありました。

その時、クアルコムの日本法人の社長だった私は、自分の仕事には全く関係のないことではありましたが、下記のように自分の持論を申し述べたことを憶えています。

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日本の通信技術と製品で、今からでもなお世界のトップを走れる可能性があると思われるのは、「光通信」分野しかないように思う。

NTTが、今、思い切って、2001年頃から2006年頃までの5年間で、2000万回線程度の光のアクセス回線を一気に敷設することを発表し、入札にかけたらどうだろうか? 

この巨大な発注を独占出来る可能性があることを知ったら、世界の半導体メーカーは思い切った開発資金を投入して、関連チップを現在の10分の1に近い値段で納入できる体制をつくり、そういう値段で入札してくるだろう。(チップの値段は、大雑把に言えば、開発費を数量で割ったもの。)

その中で、地元企業である日本メーカーは優位に立てる可能性があるし、これをバネにして、一気に世界のトップメーカーに躍り出ることも出来るだろう。一方、NTTは、これを機に、ATM交換機をバイパスして一気にネットワークのIP化を推進すれば、これまた世界の通信事業者のリーダーになれるだろう。

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当然のことながら、こういう話は、みんな面白がって聞いてくれ、頷いてもくれますが、誰も実行しようとはしてくれません。従って、光通信の世界では、実際には、「びっくりするような事」は何も起こりませんでした。

インターネットの利活用が着実に拡大していく中で、「10年以上も唯ひたすらに『光』を待ち続けて、『ISDN』で我慢してくれるような人」は誰もいませんから、結局は、NTTの思惑とも、私のこの「夢の提案」とも裏腹に、日本でもADSLが極めて重要な「過渡的な役割」を果たすことになり、社運を賭けてこれにチャレンジした孫さんは、日本を世界有数のインターネット大国に押し上げることに大きく貢献しました。

その後、孫さんは、これを梃子にモバイル通信に進出、巡り巡って、私も孫さんの会社に勤めることになりました。そして今、孫さんは国家プロジェクトとしての「光の道」の実現に夢を膨らませ、私はその手助けをしています。その一方で、あれだけ「光最終兵器論」を唱えていたNTTが、何故か消極的な姿勢に終始しています。何とも不思議な「世の中の変遷」と言うしかありません。

余談ですが、今から5年前の或る日、クアルコムのポール・ジェイコブス(CEO)は、孫さんとのミーティングの後で、「お前の考え方は孫さんに似ているが、彼は日本を代表する大事業家になり、お前はシガないクアルコムジャパンの社長。どうして?」と言って、私を冷やかしました。

この厳しい突っ込みに、私は、「長い間サラリーマンをやりすぎた。ガッツがなかった。そして、今は既に年老い、所詮は傍観者に近い立場。理論には隙がないので、見通しはよく当たる方だけどね」と言って、苦笑するしかありませんでした。

<追記>

今回は、「昔話」をご披露しましたので、「これからは高速無線技術の時代で、光通信網などに拘るのは時代遅れ」等と言っている「技術的素養に乏しく、計算に弱い人達」が、また何か言うのではないかと懸念し、何度も同じ事の繰り返しになりますが、もう一度「有線と無線の関係」を解説しておきます。

1)世の中の通信システムは、衛星通信を除き、全て有線と無線の組み合わせ。
2)大セル方式のモバイル無線システム(3G 、4G、WiMAX等)は、「移動体」等のあらゆる環境に対応し、広域をカバーするシームレス通信には最適だが、技術的には既に「シャノンの法則」の飽和点に近づいており、「大容量データ通信のニーズ」のこれからの飛躍的な増大には応えられない。
3)従って、大容量のデータ通信需要に応える為には、セルを小さくし、無線部分も「ハンドオーバーより高速性を重視した方式」を採用すべき。(データ通信の場合は、ハンドオーバーがうまくいかなくても、セッションをキープしておいて繋ぎ直せば、ユーザーには殆ど迷惑はかけない。これに最も適しているのはWiFi。)
4)セルを小さくしていくという事は、有線部分が多くなる事を意味する。余程の過疎地でない限りは、各戸までは有線できて、最後の10-20メートル程度を無線で繋ぐのが望ましい。
5)次世代WiFiのスピードをサポートする為には、ADSLでは無理で、ここ数十年を考える限りは、「光通信システム」しか考えられない。
6)白紙から光通信網を建設するならともかく、既に存在しているメタル回線の管路をそのまま利用して、単純に「メタルを光に張り替える」だけなら、コストは無線システムより相当安くつくと思われる。
7)大きなセルの中に住民が数人といった全くの過疎地なら、モバイル用に建設された無線システムを活用することでも何とかニーズに応えられるだろうし、その方が安く出来るだろうから、その場合は光への張替えを敢えて行なわないでもよいかもしれない。しかし、少しでもメタル回線が「まだら模様」で残ると、二つのシステムを並行して保守することが必要となり、結局保守コストが高くなると思われる。要するに全てを計算して、安くつくほうを選べばよいというだけのこと。
8)最先端のモバイル通信システムでは、基地局間で常時データを高速で交換していることが望ましく、基地局間を結ぶ光回線は、この観点からも必須。

因みに、私は、世界の無線通信技術開発の最高峰と目されるクアルコムで、1996年から2006年まで、10年近く仕事をしました。1999年頃から、上記の考えをベースに「光 + WiFi」の必要性を訴え、Athelos等のWiFiチップ会社を買収することを提案してきましたが、理解は得られませんでした。しかし、最近では、この事は殆どの人達の間で常識になっています。

コメント

  1. takaakikauffman より:

    だいたい私がイメージしていた感じのお話で、大変よく理解出来ました。今後の推移を見守りたいです。

  2. shuu0522 より:

    要約するとこういうことですか。

    ・NTTが反論してきたので素人の池田さんとは議論しない。
    ・ソフトバンクがASDLを推進したのは自分には関係ない。
    ・元々自分は光推進派だ
    ・自分はエキスパートだ。反論してくる者は「技術的素養に乏しく、計算に弱い人達」だ

    ソフトバンクの副社長でありながら、ソフトバンクのメタル回線推進を他人事扱い。
    反論してくる者は「技術的素養に乏しく、計算に弱い人達」だとレッテルを張る。

    クラウド程度の技術を理解できてない松本さんがエキスパートだとはとても思えませんが、優れた経営者の一人だと思っています。論理的に破綻していても経営のために時には無理を押し通すこともあるでしょう。ですが、議論から真摯に学ぶ姿勢は忘れないでください。

    反論には理論的に返答していただきたい。
    出来ないならときに非を認めるのもよいかと思います。

  3. https://me.yahoo.co.jp/a/WgyH7r5lYpJYyaTL3MZeuKW_sU65rTE-#fc85b より:

    技術オタクになるとスペックフェチになりがちだが、普通のそこら辺の人達は必ずしもスーパーカー(光回線)を必要とはしない。遅くても経済的なコンパクトカー(ADSL)やかなり遅いが抜群に小回りのきく原付(無線回線)が欲しい人はたくさんいる。

    そもそも日本では安く買え(世界有数の月額料金)、手に入りやすい(人口カバー率90%)スーパーカー(光回線)はあこがれでも何でもなく、欲しければ買える”現実”である。

    欲しくもない人達に安いから、これからの時代必要だからと誘ってスーパーカー(光回線)を押し付けるやり方はどこかのモデム商法そのものである。どこかの我田引水のために他所に各世帯メタルを光ファイバー化させるとは実に素晴らしい悪知恵。駅前で「今日、光持ち帰れまーす!」と絶叫する姿が浮かび、ゾッとする。孫氏が生活に役立って月1500円で安いと押し付けても、固定回線すらいらない人もいる時代いらない人はいらない。

    孫氏とあなたはやたら無線推進派を『「これからは高速無線技術の時代で、光通信網などに拘るのは時代遅れ」等と言っている「技術的素養に乏しく、計算に弱い人達」』と無線推進派の主張に基づかないレッテル張りを繰り返しているが、私から言わせればあなた方は「NTT光回線タダ乗りボロ儲け目的で素人騙しの技術論を振りかざす、卑怯な人達」でしかない。天下国家のためと嘯くのは止めて欲しい。不愉快だ。

    もし孫氏やあなたの描く未来が現実化すると思うのなら堂々とリスクを取って自社で光を引けばいい。頑固なNTTや総務省を相手にするよりよほど早く、儲けも嫌いなNTTと分け合う必要もなく独り占めだ。健全な技術競争が生まれ、消費者のメリットにもなる。

  4. worldcomw より:

    追記7)があるので、NTTとSBの相違点はコストと実施時期だけと言ってもよいですね。引き続きその2点に対するプレッシャーを掛け続けてくれることを期待します。

    ・IP化で固定電話基本料を月額1000円以下に、接続料微減、ユニバーサル料廃止
    ・メタル撤去の際は、BB不要世帯に月額780円で固定式携帯電話を提供

    今後NTTが上記のような具体案を出してくれると評価出来るのですが、流石にムリでしょうね。

  5. wan0601 より:

    NTTは考えられる最大のコスト、SBは最小のコストで見積もってるでしょう。
    その差が2倍程度ですか。意外と小さいですね。
    両社のコストは今後精査されるとして、この話、(意図的に?)発散しますが、

    1.以下の条件が満たされるなら、無条件で光の道促進
     ・すべての人にADSLより安い価格で光を提供
     ・税金を一切必要とせず、かつインフラ会社は黒字

    この場合IP化が先とか利用促進が云々とかの議論は不要のはず。

    2.1の条件が満たされない場合
    (例)インフラ会社の黒字が怪しいとか、今のADSLより高くなるとか

    多大なコストかけてまで光の道が必要か?の議論からスタート
    ここではIP化が先とかコンテンツが云々等の話が出てくるはず。

    となるはずだと思いますが、今反対している方々の大半が1を飛ばしているのは
    意図的なのかな? それとも単なる勘違い?

    >>3
    スーパーカーとコンパクトカーであれば、御説ごもっとも。
    価格だけでなく、それぞれ用途に適した使い方がありますからね。
    (引越しにスーパーカーは使わんでしょう)

    だけど、光の道実現後は今のADSLの価格より安い価格で光を提供するといっているので、
     ・早くて経済的な光
     ・遅くて高価なADSL
    どちらを選びますか? という案のはずですよ。

  6. 松本徹三 より:

    2番のShuuさんと子供のけんかをしてもしかたがありませんが、あまりにひどいので少しだけ。もうこれで最後にします。

    1)私の文章をよく読んでいただきたいのですが、「ADSLは過渡的な技術である」ということと、「光の普及に『思い切った(常識外の)手』が打たれなかったからには、ADSLは必要だったのであり、これを『思い切った手』を打って普及させえた孫さんは立派だった」ということとは、何ら矛盾していませんし、私はそのように書いています。その頃はソフトバンクは私にとっては「他人」でしたが、ソフトバンクの価格政策については、「敬意に近い驚き」と「破綻するのではないかという心配」の入り混じった気持ちで見ていました。

    2)私は昨今の無線技術の進歩には人並み以上に注目していますが、「無線技術が進歩した今となっては光通信は時代遅れ」等という頓珍漢なことを白昼堂々と言っている人がいるのには本当に驚いています。もしshuuさんに「技術的素養」があるのなら、私の追記8項目のそれぞれのどこが間違っているかを指摘してください。

    3)shuuさんは、私が「電子教科書も将来はクラウドにつながる」と言った(前回の池田先生の記事に対する私のコメント)のに対し、「クラウド技術を理解していない」と決めつけておられますが、それでは、「何故電子教科書はクラウドと何時までも無関係でいられるのか」をご説明下さい。昨年カリフォルニアで行われたIT業界のオピニオンリーダーの集まりで、クラウドの将来像が集中的に議論されましたが、その冒頭で私は「Cloud is our destiny. No one can escape from it.」と言って、大変受けました。

  7. 松本徹三 より:

    3番の方は昔からよほどソフトバンクが嫌いだった方なのでしょうが、折角みんなが日本の将来の為に知恵を集めようとしているのに、こういう議論のやり方しか出来ない人がいるのは、本当に悲しいことです。

    新規参入者が普通に競争できる分野については、どんどん自分でやれば良いのですから、誰も好き好んでこんな議論はしません。しかし、各戸まで引き込まれた管路をどこか(NTTや電力会社)が既に持っている場合は、新規参入者にはまともな競争は不可能で、自然独占に近い形になります。だからこそ、国に介入してもらうしかないということで、こういう議論をしているのです。

    アゴラはかなりレベルの高いサイトであると思っていますので、議論をされるからには、先ずはベースとなる記事をご熟読頂き、論点を整理して議論していただけると助かります。

    それから、「素人騙しの技術論」というのは、やはり聞き捨てなりません。名誉毀損にも近いですね。私の言っていることが「素人騙し」と言うのなら、玄人の方から具体的に反論してください。私は「光通信が時代遅れ等と言っている人は技術的素養がない」と言っていますが、これは名誉毀損には当たりません。事実ですから、何度でも申し上げます。これに異論のある方は、「何故時代遅れか」をきちんと論理だてて説明し、技術的素養があることを示してください。

  8. webvolunteer より:

    松本様

    <<新規参入者にはまともな競争は不可能で、自然独占に近い形になります。だからこそ、国に介入してもらうしかない>>

    ということを論点に貴社が議論をはじめなかったために、今があるのではありませんか?
    建設的な議論を達成できない問題は、貴社にあるのではありませんか?
    (NTT社のコメント「空中戦のような議論をする意味はない」は、まさにそれを述べているのではありませんか?)

    市場経済で技術的に優れた製品やサービスが必ずしも事業的に成功するとは限らない事は、ご承知の事と存じます。

    技術である「光」、製品やサービスである「教育や医療」、これらは論点ではありませんよね?

    松本様はエキスパートと専門家という言葉を用い、通信技術の有識者を表現なされています。本件の論点を語る上でのエキスパートと専門家とは、通信技術の有識者のみに限られるのでしょうか?
    (松本様と同じく池田信夫氏は情報通信政策フォーラムの役員であり、また、市場経済に深い知識を有しており、そもそも、論点について意見を述べられており、松本様の意見には違和感を覚えます。)

    貴社が国民に広く問うたのです。国民から様々な意見が返される事について、寛容な態度が求められるのではないでしょうか?

    国民に問うのであれば、民主主義システムを暴力機関として利用なされないことを望みます。

  9. https://me.yahoo.co.jp/a/WgyH7r5lYpJYyaTL3MZeuKW_sU65rTE-#fc85b より:

    そもそも日本の場合NTT以外にもガスや電力、鉄道等公益企業やCATVや有線放送がせっせと光ファイバー網を整備してくれたおかげで、自社光ファイバー網を使ったサービスを提供する業者が複数存在し、全国区でなくともそれぞれの営業地域で光ファイバー網を張り巡らせてNTTと競争している。光ファイバー網がまさしく一社独占の国やこれから国土に光ファイバー網を張り巡らせようとしている国とは前提条件が全く違う。

    もし国がSBの提案通りにアクセス会社を設立した場合、政治主導のダンピング価格で提供されるアクセス会社の回線を借りる新規参入業者が、自社光ファイバー網でサービス提供する業者からシェアを奪って窮地に追い込む。アクセス会社から安い回線を仕入れる回線小売業者主導で安売り競争は進む。しかし自社光ファイバー網でサービスを提供する業者の撤退が相次ぎ、生き残った業者に新技術導入のインセンティブも資金もなくなり、利用者は時代遅れ技術の遅い光回線を長い間使わされるハメになる。

    そこまで犠牲を払ってもアクセス会社は光化対象回線中9割という無茶苦茶なシェアをたった5年で取れなければ計画は頓挫する。強力な営業力を持つNTTですら約2000万回線中約7割しか達成出来ていないシェアをSBら新規参入組を束にしても9割とは相当イカれている。そもそも5年間毎年840万世帯も光化させようという計画自体マンパワーやリソースをまともに考えてない机上の空論だ。

    仮に奇跡的にシェア獲得に成功しても国が結構な割合の株式を握り、大きなシェアを握ることで官の統制を強く受ける運命のアクセス会社は卸売価格の値上げもままならず、低収益体質・自転車操業を続け、設備更新や新技術開発・導入余力が生まれるはずもない。

    このウルトラハイリスクノーリターンが日本のため?何処が自由競争?日本中の光回線までどこかのADSLやケータイの様な低質化は勘弁して欲しい。

  10. hmpanther より:

    「無線技術が進歩した今となっては光通信は時代遅れ」ではなく、「無線技術が進歩した今となっては光通信だけを唱えるのは時代遅れ」では?

    メタルしか通っていない山間部に、使うかどうかわからないような光ファイバを敷設しなおすよりも、”必要な地域に”マイクロ波通信などの無線通信を敷設すればよいのでは?(コストを算定したわけではないですが)

    基幹通信にも無線は使えますし、(パソリンクにも代表されるように)日々高速化しています。

    新興国の基幹通信では、マイクロ波通信が使われているのをご存じないわけではないでしょう。

    ちなみに、

    > 「近接するISDNと干渉を起こす」・・・
    > ・・・結果はこのどれも当たりませんでした。

    は嘘ですね。
    ISDNユーザの友人は、Annex.Aに干渉されてひどい目にあっていました。
    「そんな個別の事例を言われても」と言うのなら、「メタルしかない地域」も個別ですね。

    あと、自説に適わないからといって他社を愚弄するが如く言説は、控えられたほうがよろしいかと。