光の道の問題は、通信・放送の壁の崩壊から

真野 浩

 光の道に関する議論は、光か無線かという技術論や、中山間、離島での光の必要性、はたまた電子教科書、NTTの構造分離と、実に多岐に渡り発散気味だ。 
 しかし、これらの議論は、各分野の評論家諸兄にお任せして、そろそろ、比較的近い将来の現実問題について、有識者や経験者の多いアゴラで、建設的な議論が出来ないだろうか?
 


 既に、統計などで発表されているように、我が国のブロードバンドカバー率は100%で、光のカバー率は90%に達している。 もちろん、この数字の統計のしかたには、いささか問題もあるが、かなりの地域ではFTTHを希望すればサービスを受けられる環境が整っているのだ。 ところが、実際には、その利用率、世帯普及率はかなり低く、カバー率と利用率の乖離が甚だしい。
 これには、創造的なビジネスが生まれないとか、キラーアプリが無いという意見もあるし、それも確かに事実の一部だ。 しかし、中山間、離島を含めて、高齢者、幼年層もふくめて、TVというキラーコンテンツは健在なのだ。 いま、地デジ移行の最終年を迎えているが、放送の地域免許を光に限り廃止し、役務利用通信事業は、事業地域に関わらず放送ができるようにしてはどうだろうか? 地デジ移行しても、NHK2波+民放2波とか、地元局があるのでキー局の圏域外再送信は出来ないのが、放送の現実なのだ。
 FTTH+IPなら全国どこでも、どこの放送でも地域縛りなく提供できますよとすれば、水戸黄門が観たい高齢者だって、阪神タイガースが観たい在京阪神ファンだって、FTTHにするんじゃないだろうか?
  通信・放送の壁が崩壊すれば、光の道はおのずと開ける。