菅首相は7日の衆議院本会議で、労働者派遣法の改正案を今国会で成立させる方針を明らかにした。これは登録型派遣の禁止、製造業業務への派遣の禁止などを含む労働者派遣業への全面的な規制である。すでに昨年、政府の規制強化の方針の影響で派遣労働者は24%減っており、この法案が成立したら派遣業界は壊滅的な打撃を受けるだろう。この改正は誰のために行なうのだろうか?
では、それは誰のためか。国民新党の亀井静香代表が正直に語っている。「派遣法の改正は社民党の最優先の要求。民主党が安定多数を取り戻すためには社民党の協力が不可欠だ」。国民新党は民主党と連立を組んでいると同時に社民党と政策協定を結んでおり、民主―国民新―社民の「ブリッジ協定」を組めば衆議院で2/3を超えるので、参議院で否決された法案を衆議院で再可決でき、ねじれ国会を乗り切れる。
要するに派遣法の改正は、派遣労働者のために行なうのではなく、社民党をまた連立に引き入れて国会運営を楽にするための政治的駆け引きの道具なのだ。民主党にとっては、ねじれの苦しみから逃れるためなら、派遣労働者が数十万人、職を失うことなんて何でもないのだろう。こういうご都合主義的マキャベリズムだけは、与党になって身につけたようだ。
コメント
派遣労働に関して私が思うことは、「派遣」という労働形態は働く形態の一つであり、それ自体があるではないと思っています。
グットウィルなどといった「派遣」という労働形態を利用し悪事を働こうとする業者があるのは確かですが、派遣というシステムによって仕事に従事する機会を得る人も少なくはないと思われます。
グットウイルのことや秋葉原の事件を契機に「派遣」自体がマスコミで大きな悪のようにもてはやされましたが、政治的な糸が大きく本当に働きたい人の労働の機会を阻害しているように思えてなりません。
まるでジンバブエのハイパーなんちゃらの経緯ですね
ワクワクします。
愚主と愚民が世間を占めれば、きちんと国家とて終わる
その方程式を証明していただきたい。
派遣労働を経営者が導入した時、10年、20年後
にしっかり元をとるように、最初はとてもソフトな
導入でした。つまり、正社員以上の高給を払う制
度なんだ、だから実力がある人はむしろ派遣を選
ぶ、派遣なら正社員と違いサービス残業はない。。
等々。経営者に依頼された提灯記事が大量に流
され、それに乗っかってしまった派遣労働という流
れという構図があります。同じ給与でどれだけ労働
密度を上げるか、どれだけ沢山働いてもらうか。
何時の時代もそれが根底にある限り、今後も、
新しい手口は開発され、多くの人はそれに乗って、10年後に気づいて後悔し、騒ぐ。。ただそ
の繰り返しになるように思います。
派遣が本当に規制されたか国内に雇用は残ら
ないと思いますよ。
公的機関の「職業訓練」の案内チラシを見たら、
製造業現場の技能職講習ばっかりだった。
しかも、工業高校の授業とおなじような内容らしいw
派遣労働を禁止する方向性は、指摘の通りの問題があります。しかし、派遣業を適正化するための規制は必要です。
例えば、
現在の登録型派遣は、単なる職業紹介に過ぎないのが実態です。なのに、高率の中間搾取をしていること疑問を感じます。しかし、登録型派遣を自体を禁じるのではなく、登録型は専ら派遣先を紹介することを業務として、派遣開始時に紹介手数料のみを徴収して、中間搾取を禁じればよいのです。
普通の派遣業においても、派遣先企業から派遣会社が得られる収入と派遣労働者に支払われる給料をオープンにする透明化が必要です。具体例を挙げれば、派遣労働者に渡される給与明細書に、「派遣先からの支払額35万円、給料25万円」と記載して本人に労働対価を公開すべきです。
更に、見落とされていると思う点ですが、短期労働者が派遣を利用できなくなると、転職する度に、「身元保証人」が求められます。政策で正社員へ転換を求めても、同じ問題に直面するでしょう。派遣労働の問題は、身元保証人の問題とも関連しているのです。
>なのに、高率の中間搾取をしていること疑問を感じます。
きちんとした市場原理が働いているなら、高率の中間搾取をしない別の会社が出てくるはずではないですか?
市場原理が働いていないように見えるのは、余計な規制があるからそういう会社が出てこないのか、あるいは傍目で見るほど人材派遣業は楽ではなく、高率の中間搾取をしなければやっていけないのか、どちらか(あるいは両方)なのではないでしょうか。