G7は終わったが・・・

前田 拓生

先日(10/5)の日銀金融政策決定会合で、政策目標金利(無担保翌日物金利)を「0‐0.1%」にすることに決定し、いわゆる「ゼロ金利政策」が復活しました。でも、米FRBも金融緩和を考慮中であり、昨日の雇用統計が予想よりも悪かったことから「さらに大きめの金融緩和になるのでは」との期待が高まり、為替レートは円高が加速し、81円/ドル台に突入しています。そのような中、G7が行われたわけですが、日本側からすれば、非公式でも単独介入の同意(または拒否しないという合意)を取りたいところだったと思います。

しかし、欧米諸国が日本の事情など考慮しないでしょうし、中国人民元との兼ね合いもあることから、言葉の上では「過剰な為替変動は問題」と言っても、日本の単独為替介入を認める(または、否定しない)ことはないでしょう。となれば、週明け一層の円高を招く可能性も否めません。

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そもそも「エコノミストによって(為替の)予測が違う理由」でも書いたように、金利(通貨量)、物価、景気、対外資産負債残高、カントリーリスクの各項目が為替レート決定の主因であり、各項目の対比における将来期待が「どうなのか」、また、それぞれの感応度が「どのくらいあるのか」がポイントになります。が、現状、どの項目も「円高を支援する状態」になっています。したがって、日銀によって金利(通貨量)ファクターだけを云々したところで、現状の経済ファンダメンタルズからみれば、円安に誘導するのは至難の業といえます。

といって、実弾による為替介入は「欧米各国が拒否するから」というだけでなく、本来、「最終兵器」なのであり、多用するものではありません(これは前回のコラム「「民意」は市場に反映される!」にも書きました)。

そういうことから、別途、何か考える必要があるのですが・・・

といって、有効な経済政策があるわけでありません。しかし、要は「円高は欧米諸国にとっても不利」ということを示唆するような行動を日本が取れば、欧米としても円高を阻止するように動くでしょう。例えば、小沢さんが代表選挙の時に話していた「資源輸入や資源開発(所有)」を具体化させるというのは一案だと思います(当然「環境」には配慮して)。この案は、民主党の最大の実力者が代表選で話したことなのだから、すでに準備はできているはず。それを具体化するのは、それほど難しい話ではないでしょう。当然、外交的な問題や予算的な問題など考えることが多いものの、ここは政治主導で決断すべき時だと思います。

そうはいっても・・・

現代社会においてグローバル経済からは逃れることはできません。輸出財は世界的な競争を避けて通れないので、輸出財産業の生産性は否応なく高まってきます。しかも、為替レートはこの輸出財価格によって決定されるため、日本が世界で勝ち抜いていく限り、長期的な円高傾向は続いていくでしょう。他方、国内産業は規制等に守られ、生産性も低い状態になっているため、輸入財が大挙して国内に入り込めば、大きなダメージを受けることになることは火をみるよりも明らかです(この点も以前コラム「購買力平価でみた日本経済の問題点」で書きました)。

「だから、国内産業を規制で守ろう」というのは流れを逆行させるだけであり、根本的な問題解決にはなりません。「円高は国益」とするには、「円で他国のモノを購入する」だけでは不十分であり、円高に対応できるように、内需産業の生産性を高めることがより大切になってきます。

したがって、上述のような「(小沢案のような)目先の円高対策」に加えて、長期的に「円高が国益」となるような規制緩和等を推し進めるなど、具体的に、また、早急に打ち出すべきだと思います。