今回の原発事故の原因が千年に一度の大津波であることを考えるとなぜこれほどまでに東京電力が一方的に攻撃されなければならないのか理解に苦しむ。
そもそも原発の建設にあたっては電力会社は国に対して設置許可,工事認可,官庁立会検査などによって重要な設計諸元を提出し,国の認可を受けて建設,運転しているのである。従って,それらの審査に合格している以上,その審査で合格の判定がなされた条件に関して,その条件を超える異常事態が出現したことによる事故に対しては,原則として免責とされるのが筋だと思う。
従って,今回の事故は明らかに異常に巨大な天災によるものであり,引当金以上の賠償を東電に要求するのはどうしても納得がゆかない。政府は監督官庁の責任を棚に上げて,第一義的に東電が賠償の責任を負うなどとしているが,全く無責任,非誠実だと思う。地元住民が東電に対して怒りの感情をもつことは理解できるが,法的な責任論議はそれとは無関係に行われるべきだと思う。
阪神大震災のとき,高速道路が寸断される事態が発生したが,国土交通省は賠償など行ったのか。自分たちがしなかったような賠償を民間会社である東電には事実上強制的にさせるのか。政府は現実の福島第一の設計は自らが承認したものであるという事実を隠し(少なくとも積極的に明らかにはしようとしていない),世論が東電に厳しいという状況に卑怯に便乗している。
やはり,立派に国の検査に合格している他の原発の運転再開も認めず,賠償範囲の線引きも勝手に行って,ツケだけを東電に回すような政府の対応は悪質そのものだと思うし,このような当たり前のことを指摘するメディアが1つもないということも,日本のメディアのレベルの低さを表すものである。
ただし,原発の耐震性,耐津波性の見直しはもちろんしなければならない。それは2011年3月11日以後は,現行の設計基準は不十分であることが明らかになったからである。3月10日以前は,不備を指摘する人がいたとしても,公式には建設時の設計基準が認められていたのであり,その基準を満たしていた原発の電力会社の責任追及を今なされているように行うと言うことはどう考えても行き過ぎである。
(高宮 滋)
コメント
高宮様が思われているようなことは、まさに東電の社員の代弁なのではないでしょうか。しかし、民意が納得できないのは、まさにそれが見え見えだからではないでしょうか。
当然、国民は東電が津波を起こしたのではないことは理解しています。しかし、①被災者への避難場所の提供が極めてく少ない。②事故への対応の説明が不親切。不明確。例えば特別に会見を開いての状況説明は初期段階でありませんでした。③社員の奥底にある国民からの避難への反発心がポロポロ出てきている(SNSなど) などから、全力で困難に手を尽くしているとは思えないのです。
東電バッシングは当然です。不自然なことではありません。もしこれで東電が退職金を最低でも半分カット、年収も平均で500万以下、企業年金を完全廃止して全部取り崩し。役員報酬も最低8割カット。これぐらいやっていたら俺も東電を擁護しますが、あまりにもぬるま湯の生ぬるいカットでは擁護はしません。あんな組織潰れたほうがいいとさえ思います。
独占であることをいいことに、自分達の報酬をどんどん増やしていったのですから、次はその逆回転をできうる限りやらない限りは納税者は納得しないでしょう。
そりゃ同情する部分はあります。原発を国策で押し付けられたとか、1000年に1度の想定外の大震災だったなど、全部東電の責任にする気はありません。しかし独占によって得られている高額報酬を可能な限りカットせずに国民の税金で何とかしようとするのなら潰れて当然。普通はそう思いますが違いますか?
なんで東電のOBを贅沢させるために電気料金が高いまま放置しているのか疑問に思わないのですか?なんで独占企業の東電社員の高い給料を維持するために税金を投入しなければならないんですか?理屈ではなく感情の問題です。
高速道路の寸断と原発事故は経済的損失の規模が極端に違うので比べるのも無理があります。
高宮さんの意見に同意します。東電は少なくとも福島県民に補償金を支払う必要はない。そもそも最初に原発を誘致したのは福島県である。東電は福島県民に職場を提供し固定資産税その他の地方税を支払い大いに地方経済に貢献した。原発という迷惑施設を受け入れる代償として国の過大な交付金や東電の寄付まで受け取っている。更に福島県は「核燃料税」を東電に課しており今年度は44億円に上る予定だった。
福島県は原発が危険であるという認識があったからこそ火力発電所では支払われることのない巨額の金を要求し、手に入れていたのである。ハイリターンではあるがハイリスクである商品先物取引に手を出した投資家が今まで充分儲けていたのに突然大損したから損失補填しろと言っているのに等しい。
福島の近くの自治体の住民で原発の恩恵を全く受けず、一貫して原発に反対してきた人々にとっては原発推進の福島県と県民は東電と共犯者で金に目がくらんだ加害者にさえみえるのだ。今度事故が起こったから被害者をよそうのは全くおかしいといえる。東電は福島県民に補償金を支払う必要はない。
東電とその周りの腐敗&癒着体質を直さないと駄目です。ちょっと改善したくらいでは5年後くらいにまた腐敗体質に戻って、また事故を起こします。
もんじゅナトリウム漏洩→福島原発ときて、その次はもっと酷い事故がおきるかもしれない。以前のもんじゅナトリウム漏洩の時にきちんと体質改善すればよかったんですけどね。全く腐敗体質が変わっていない。
原発のトラブルなどを見ても『検査をサボった』『データを捏造した』などというとんでもない事が起きている。どんなに素晴らしくて安全な機械であっても使う人が腐っていると事故は必ず起きる。
東電を生まれ変わらせるために可能なかぎり大きなバッシングをすべきだ。そうすれば東電は生まれ変われるし、それをしないなら5年後くらいにまた腐敗体質に逆戻りだ。
建造物はどんどん老朽化していくし、そんな中で『浜岡原発』なんかで事故なんか起こされたら・・・
ぞっとします。
そう、まさに、それこそが、東電の主張の根拠でしょうね。
全ての計画は、国の認可を受けて、国の定めた基準のもとに建設され管理してきたと。かてて加えて、この大災害、想定外の自然災害なのだから東電にはなんの責任も落ち度もないと。
でもね、極めて基本の根本原理、全電源喪失という前提を無いと決めつけてしまった失敗は、取り返しがつかない。
勿論、それも国が認めたと言い張るだろうが、それでも、全電源喪失すれば、今日の状況が表出するであろうことは公知の事実として認知されていたその上で、なんの対策も取らなかった責任は東電に向けられるしか方法がない。
それは、単なる法律論等ではなくて、技術論として、企業が立脚する基盤がないがしろにされていたことの何よりの証左なのです。だから、東電は、一方的責任を負うべきなのです。
高宮さんの論理は全く理解できません。
国の原発の設置基準は、東京電力が原発を作りたいと申請して、その申請を許可する条件を定めているのであって、国がこういう原発をつくりなさい、と東京電力に指示した訳ではありません。国の基準以上の安全性を確保してはいけない決まりはありません。
事故の責任は加害者にあります。一義的な加害者は東京電力です。国に対して、基準が甘かったという過失責任を問う余地はあるかもしれませんが、そのことで東京電力が免責されるわけではありません。
自動車事故を起こした人が、交通ルールを守っていれば免責されますか?
引当金をいくら積んでいるかも東京電力の内部事情であって、被害額にはなんの関係もありません。
巨大な天災による事故で過失がないというなら、東京電力は堂々と裁判で争えばよいと思います。
第1にもしこの筆者が
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902082643415630
http://www.j-tokkyo.com/1994/F01D/JP06257406.shtml
で特許を取得されている方ならば、まずあらかじめご自分もしくはご自分の所属する企業が東京電力の原子力推進と密接な利害関係を有することを明確にしてからこのような擁護論を述べるべきものと思われる。
第2にもしこの業界にいられる方ならば東京電力という企業がいかに甘い基準で得るために、各界に影響力を行使してきたか知らないわけではないと思う。
今回の事件では原子力利用を推進する立場にある経産省の許認可を得ていたから免罪されると考える関係者が本当にいるとしたらそれこそ驚きだと思う。
はじめまして。
同感です。
ことが起こってから、あれこれというのがマスコミのスタイルですが、そこまで言うのならば危険性を察知した時点で具体的な提言をすべきです。
何も起こらない時点で、そういった提言をすると狂人扱いされるというのがおそらくは事実なのです。だから、無理な批判はしない方がよいと思いますね。 卑怯です。
「想定外」という言葉をマスコミは好んで責めるようですが、自らが「想定内」と感じていたのであれば、先にその根拠を書いて警鐘を鳴らすべきだったのです。
後から、批判するのはたやすいことです。
管首相が「東電が賠償すべき」とコメントしていますが、横暴以外の何物でもありません。
その理由としては、この記事に書かれていることだけでも十分足りると感じます。
>阪神大震災のとき,高速道路が寸断される事態が発生したが,国土交通省は賠償など行ったのか。
まさにそのとおりです。
あの震災で阪神高速道路が分断され、橋脚が倒れたことは想定外だったと、彼らはいかなる根拠を示して話せるのでしょうか。
本日の参議院予算委員会の福島原発事故集中審議、菅首相の初動の指揮のあやまりとする野党の議論にはうんざりする。野党の説明によると、菅首相の初動の指揮のあやまりが、ドライベントの時期を遅らせ、それが今回の重大事故の原因であるとしている。はたしてそうであるのか。非常用電源の喪失が総ての原因であると、菅首相は予算委員会の答弁で述べたが、それはまったく正しい。 非常用電源の喪失がなければ冷温停止状態に保たれ、原子炉の安全性は今回のような話題に成らなかっただろう。 故に今回の事故は原子炉の事故でなく、非常用電源のジーゼル発電機の立地問題となる。しかし何故、東電の非常用電源の喪失を重大事項として議論されないのだろう。GE設計の米国の湖や河川の岸部に建設するマーク1型原子炉福島DAICHIの建設にかんしては、当初から危惧する意見が多い。 しかしながら、原子炉建設不可には成らなかつた。多分に良識は毎年、新しい時代の知見や新技術的で補いながらその危険性を排除する事を期待したのであろうが、しかしながら殆んど改良はされず、みすみす津波の危険を認識しながら、非常用電源のジーゼル発電機の山側への移設もされなかった。 故に今回の事故は原子炉の事故でなく安全を怠った東電の内部的な問題である。JR東海はリニアー新幹線を計画している、福島DAICHIは齢40年になるが、どこに40年前の0型車両が新幹線で走っているのであろうか。 どうして東電は改良もせずさらに10年の延命を本気でかんがえるのであろうか。どうもこの答えは東電の清水社長の答弁で想像できる。ドライベントの開始時期が8時間遅れた理由を電源喪失と線量の問題というが、意味不明に時間が掛り過ぎる。 30分あればバルブの開放は可能であろう。 これは40年間なにも改良されず、原子炉を可動させた東電の言い訳とも聞こえる。
原発の設計上の問題に関して東電に落ち度があったかどうか?ということに関しては、そもそもそれが基準に違反していたのかどうか?ということがまず問われるべき部分なわけで、その意味では過失は無さそう。ただ、私企業として起こったことの一々の結果に関して、一定の責任をもたなければならないということは当然のことであり、東電が一義的に賠償の責を負うという事実認識に関しては、まあ常識的に納得できます。
しかしその責任範囲を拡張して、設計上の手落ち云々となるとかなり微妙ですね。事故後の余震の際の周辺原発についての報道を見るかぎりも、他社の原発も一様に非常用電源の用意に関して危うい部分を露呈していたわけですから、東電がその部分に関して特別に脆弱だったとも言えないと思いますし。
また最近の報道では、緊急時の対応手順の規定にも、そもそもの運用上の無理があるとかで、事故がここまで深刻になるに至った経緯に関しても、東電があまりにもコンプライアンスを重視した結果のことであるという側面の見方も出てきていますし。もしそれらの基準自体がそもそも間違っていたのだとしたら、国の責任は東電の責任以上に追求されなければならないわけで、東電だけが叩かれるのはアンフェアだというのは充分に納得出来る意見です。
また現状を見渡すと、すでに東電は一企業としてありえないほどの責任を負わされている状況になっているようにも見えますし。良きにつけ悪しきにつけ一企業の責任範囲を超えた対応を現在に到るまでしてきているとすら見えます。この上、事故に関する責任という観点から東電を叩いている方々が、この会社にこれ以上なにを期待しているのか?というのが、むしろ私などにはわからないところです。
東電を潰すなんてもってのほかです。給料もそっくりそのままでかまいません。その代わり早期退職や自主都合退職は厳禁とします。むしろ会長さんのようにOBの復職も強制的に行うべきです。何しろ、来たるべき「人海戦術」の時に、OBも総動員してFUKUSHIMAの現場作業に当たってもらわねばならないのですから。
「謝罪しろ」、「給与が高い」等々の(特に社員に対する)「バッシング」の話と、補償責任の話をごっちゃにしないようにしましょう。
法律論はよく知りませんが、やはり東電は補償責任があると思います。審査で合格したから、合格させた国が責任を持つというのは、運転免許証試験に合格した人が交通事故を起こしたら、合格と判定した人が被害者に補償しろというようなものです。
従って、このエントリの趣旨と思われる「設計基準を満たしていた原発の電力会社の責任追及は不適」という点には断固反対です。(正直ちょっと酷い議論と思える)
但し、事象発生後の国の関与、国による避難範囲の設定、風評被害等々、責任の全てを東電につけるのは無理というのは理解できます。
東電の役員の大半が自民党に献金をしていれば、東電が都合の良いお願いを自民党政権にしていた可能性も否定できなくなる。
それに事故後の対応の悪さの方が、むしろバッシングにつながったのだと思う。
政府のせい。つまり、議員を選んだ国民の責任。さらにいえば、高宮さん自身の責任でもある、ということですね。わかります。
> JR東海はリニアー新幹線を計画している、福島DAICHIは齢40年になるが、どこに40年前の0型車両が新幹線で走っているのであろうか。
新幹線の0型車両は20年以上もつかわれた、 どこに20年前のPCが使われているのであろうか。 JR東海はケシカランということですか?
新幹線車両一台の制作費は3億円位で、 原子力発電所の建設費は3000億円もする。 つまり、 1000倍ぐらい複雑だという事です。 また、 鉄とコンクリートで固めたものを簡単には改造できません。
PODIAですか。 なつかしい。 PODIAにどのくらい使われているか知りませんが、 38年前にCOPOSの基本設計をしたのは私です。 コーディングも1/4ぐらいしました。 このプロジェクトでは、 死ぬほど苦労しました。
PODIAの概念のもとになっているGEのNuclenetのプロジェクトを学ぶためにGEに6ヶ月ほど出張もしました。 このプロジェクトが失敗するだろうという出張報告書をどんどん日本に送ったら、 おこられました。 しかし、 後からGEのエンジニアに訊くと、 当初のプロジェクトはやはりうまくいかなかったとのことでした。
このときのGEでの上司が、 その2年後にGEの原発の設計を批判してGEを退社して、 反原発運動に加わった3人のうちのひとり Greg Minor 氏です。
いろいろ苦労も多いとおもいますので、 お体を大切して、 精神的にもまいらないようにしてください。
わたしは、 のんべんだらりと暮らしておりますが、 皆様によろしく。
バッシングは,東電「だけ」では,もちろんありません.
首相交代やらで,政府批判をかわしているのかと勘繰りたくもなります.
これまでの原発反対派のあり方も,言いたいことがあります.
が,それはそれ.
東電さんに「も」責任はある.
経産省のやり方に問題があったなら,安全を預かる身として,そう声を上げるべきでした.
規制緩和しろー TTPやめろー と注文を付けるように.
およそ,企業の社会的責任が論点でしょう.
JR西日本の尼崎脱線事故も,もつれていますよね.
叩かれることに関しては,受けきるのが得策だと思います.
河野太郎氏、東電は「札びらでメディアの横っ面を張り倒している」
↑こんなことせずに.
ところで,私自身,始めは東電の一般社員さんに同情を感じておりました.
が,最近は,その自己愛の強さに,ちょっと見方が変わってきております.
『自己愛人間』小此木啓吾著.一読をオススメします.
一方的なバッシングが過度であることは確かですね。
「東電悪い」と言えばそれが「正義」のような印象で、批判すればイイ、という「横並び」「便乗」的な行動は目に余るとは思います。
ただ、1000年に一度の災害だからといって免責されるほど、扱ってる「モノ」の重要性は軽くないと言う事はあるのでしゃないでしょうか??実際に「国とグル」で決めた事に違いはなく、責任が一手にあるワケでもないが、実際に40年も使い続けた事をはじめ、問題がある状況だったのも事実です。
そういった問題点に対して積極的に手を打ってきたと思えないからこその批判でしょう。こうなる事は覚悟しておかなければならなかったと言う事です。
「まぁう大津波なんて早々来ないだろう」
という甘い認識でなかった、と言い切れるのなら良いですが。
多少の行き過ぎ、便乗的なものはあっても批判にされるに足るし、保障のために料金値上げとなるのならそこについても当然同じ事です。ナニを言われても潰れる事はないだろうし、料金はあげるのでしょうからね。
高宮さんの論理はよく理解できます。極めて同意。
日本人は、法治主義ということも理解できていない。
福島の原発の放射能の土を、東電本社の敷地に埋めたら・・・少なくとも理不尽な、放射能に恐怖を感じている仙台在住の私は思う。しかも受益者負担・・何故、福島に「トウキョウ電力」なんだろう・・放射能だらけの水もマホウの機械で無害にしてトウキョウの浄水池に送れば・・
東京電力なんてつぶれて当然、東北電力にトウキョウも任せればよい。
ぐだぐだいわさず、川崎、横須賀あたりに原発を10基位建設させればよい。
確かに感情的なバッシングはいただけませんね。
でも、それと補償問題は別です。「原子力損害の賠償に関する法律」で「原子力事業者」に義務づけられているわけですから。もちろん、今回の震災がこの法に定められている免責ケースにあたるかどうかは、まだ争いがあるのでしょうが。
阪神大震災の際の高速道路の分断とは全く違う話で、あまりに酷い理論ですね。そもそも当時の日本道路公団やら阪神高速道路公団(あのとき倒壊したのはココの道路でしたよね?)が「どんな災害があっても道路の通行は絶対に確保されます」というようなことを明言してはいなかったはずですし、通行止め等による損害を賠償しなければいけない法的根拠もなかったと思うのですが、原子力災害のような賠償規定とかがあったんでしょうか?
ほとんどの場合、危機管理とは被害者でもある当事者が問題にどう対応するかということなのだ。トヨタのリコールだってソニーの情報漏えいだって、よく教材で出てくるジョンソン&ジョンソンのタイレノール事件だって、みんな当事者は同時に被害者でもある。ここで気をつけなければならないのは、問題が発生した時、最も重要なのは論理的な正しさではないということだ。
いくら論理的に正しくても、いくら科学的事実に基づいていても、人は理性で感情を完全には制御できない。だから人々からの要求は理不尽なものになることが多い。そういった理不尽をどう管理していくか、それが危機管理を考える上で重要な視点になる。論理の正しさだけではなく感情に訴えることも必要。理不尽極まりない感情的な問題だが、危機管理というのはそういうものであり、逆に対応に成功すれば感情的な支持を得ることができる。ピンチとチャンスは裏表の関係なのだ。
この社会は、感情的な生き物である人間が築いている人間社会である。これは避けて通れない現実だ。
そういう意識を当事者が持っていたのか。もちろん政府は全く持っていないから、せっかくの信頼を得る機会を失った。では東電は?
高宮さん
昨日、 福島第一原発所長のインアビューにもとずいたビデオをみましたが、 現状はまだまだ厳しいようです。
Web上では、 不正確な情報が飛びかっていますが、 これも保安院によって発表された時系列情報が充分でないことも原因です。
私は次のようなことが知りたいです。
1) ベントについては、 ベント実施とあるだけですが、 それぞれのベントが圧力容器からなのか格納容器からなのかの区別とベントの経路。
2) 現在の冷却水の注入経路。
3) 圧力容器、 格納容器、 配管、 補機、 電気系もいろいろ損傷をうけているようですがその詳細。
4) 既存の配電盤(メタクラ)は使用不能と理解しているのですが、 いかがですか?
もちろん、 損傷の詳細はいまだ不明の点も多いとおもいますが、 よろしくお願いします。
それから、 東電は機器等の施設に関しては顧客ですから、メーカーより技術力が無いのもいたし方ないし、 政府機関はさらにないとおもいます。 これを逆にいえば、 責任の一端は原発の設計・施工者にあるということです。
> そういった理不尽をどう管理していくか、それが危機管理を考える上で重要な視点になる。論理の正しさだけではなく感情に訴えることも必要。
このために、 東電は次のようなことができるとおもいます。
1) 原発事故の避難者にたいした宿泊施設を提供する。
2) 現在の経営陣の経費以外の報酬をゼロにする。
3) 原発建設以来の経営者の退職金の相当な額の返還を求める。
4) 現在の東電社員で給与の内生活費以上の額を一時的にカットする。
5) 過去の安全性についての誤った広告に関して謝罪する。
6) 今の段階で、 免責かどうかという議論をもちださない。
とにかく、 尋常な対応では東電バッシングは収まらないでしょう。
外部性によるもの…1000年に一度の天災であろうと、潰れるのが民間企業です。
現に、この震災で発生した各民間企業の経済的損害、部品工場壊滅によって製品未完成のための販売機会喪失など、政府によって保証されていません。
それとは別にまた、東電は事故前まで散々、どんな事態が起きようと原発は安全だと自ら宣伝してきており、今回の事故においてその宣伝が「言質」の役割を果たしています。つまり、この東電バッシングは、東電自身の宣伝戦略の副作用です。ここでもまた事故を想定外としていたための戦略の誤りが露呈しているのです。
今まで若い社員と思われる人がブログやmixiで炎上したのも、そういった原子力隠蔽体質を知らずに単純に津波のせいだと思ったからです。
今まで度重なる警告が各方面からされていたにも関わらず、それを無視し、危険性のデータを隠蔽し、コストに合う数字に改竄してきた東電、そのために十分な安全対策がとられず今回の自体になったことを考えれば、責められて当然なのです。
メディアを広告漬けにしてきた効果で、このブログの筆者のように東電の隠蔽改竄体質をいまだに知らない人がいるのは不幸なことです。
「福島第1原発事故を踏まえ、新潟県の柏崎刈羽原発で、津波により全号機の電源を失ったとの想定で緊急訓練を行った。写真は電源車と接続するため、6号機原子炉建屋にケーブルを敷設する作業員」
というニュースがありましたが、 これはめくらましのような気がします。 もし、 ケーブルの敷設が緊急時に必要なら、 前もって敷設しておけばよいとおもいます。 また、 福島の現状では、 電源は復旧していますが、 ECCSの稼動はできていません。
問題は電源だけではないとおもいます。 どうなっているのでしょうか?
メキシコ湾で昨年大規模な原油の流出事故をおこしたBPは、 法律上の補償額の上限は60億円ほどでしたが、 1.6兆円の保証をすることに合意しました。
例えば、証券マンが元本保証でない金融商品を「絶対に儲かります」といって販売したらこれは違反になりますよね。
原発建設はコレに近いハッタリを言いまくって建設にこぎつけているわけですね。東電に限らず、電力各社と政府は一緒になって原発絶対安全神話を国民に振りまきました。
これは、証券販売に例えれば、証券会社と金融監督庁が元本保証でない商品をグルになって元本保証の商品です、といって一大キャンペーンを張るなものでしょう。
元々不安視される代物だった原発を、納得してもらう為にハッタリをかましていたという点で、阪神大震災における高速道路倒壊とは意味合いが違ってきますね。
リスク商品は、消費者にそのリスクを正確に開示し、メリットデメリットを量った上で消費者の納得の上で販売しなければなりません。原発を認めた消費者=国民は、原発のリスクに関して、十分納得せずに購入した(建設を認めた)事になり、それで売った側である東電を責めている、こういった構図だと思います。半ば騙された自分を責めるようにね。
次の文書は福島の原発に関する東電の現況報告です。
http://www.tepco.co.jp.cache.yimg.jp/nu/fukushima-np/f1/images/f12np-gaiyou.pdf
この文書には、 ベントの経路の略図等の今までにない情報もはいっています。
しかし、 炉心の破損状況とか非常用電源が回復してもECCSが動かない理由のような肝心な情報は開示されていません。
また、 ベント経路の略図によると、 ベントは排気塔を通して大気に直接されたことになっています。 そうすれば、 この過程で水素が原子炉建屋内に漏れなければ、 水素爆発は起きなっかたはずです。
もっと詳しい情報開示がのぞまれます。