いよいよ始まった、復興カジノ論議 - 木曽 崇

アゴラ編集部

皆さんもすでに目に入れられているかと思いますが、先週金曜日の産経新聞一面にて「復興カジノ構想」が大きく報じられました。

仙台に「復興カジノを」収益は復興財源に、超党派議連で浮上 産経新聞 6月17日(金)2時18分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110617-00000503-san-pol

日本でのカジノ合法化を目指す超党派の「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」(古賀一成会長)が、東日本大震災の復興計画の一つとしてカジノの施行を位置づけ、収益金も復興財源とする方針であることが16日、分かった。従来は東京・お台場、沖縄県で開設する案が有力だったが、震災復興を優先して仙台市を候補地とする案も急浮上している。同議連は21日に震災後初の総会を開き、議員立法での法案提出を急ぐ。[…]


私がこの場を借りて震災復興カジノの提言をさせて頂いてから数ヶ月、やっと本格的に論議を行うことのできる所まで至った状態です。現在、仙台国際空港を抱える名取市が中心となって震災復興としてのカジノ導入論議を立ち上げており、周辺住民への説明会なども行われ始めています。では、今後実際にカジノ導入の要望が被災地側から挙がってきた時に、我々はそれにどのように対応をすべきなのか。そこが、このテーマに関する最初の論点となることと思います。

カジノ推進側の論点をまとめますと以下の通りです。

1)カジノは投資を呼び込む
国内資本、海外資本を問わず、我が国でカジノが合法とされるのならば、そこに投資を行いたいと表明している投資家は世の中に沢山存在します。この度の東日本大震災における被災総額は15~25兆円などとも言われていますが、その復興資金をすべて公金で賄うことは出来ません。国内外に存在するそのような民間資本を積極的に利用すべきです。

2)カジノは産業を生む
カジノの導入は開発段階では土木建設需要を、開業後には観光関連需要を生みます。海外における実績では、米国ハリケーンカトリーナによる被災後、カジノの本格導入によって2万5千人もの直接雇用を地域に生んだという例もあります。<参照>また、今後の三陸地方の産業再生にとって、旅客、物流の両方を担う空港機能の強化&回復は必須事項です。現在、名取市を中心として立ち上がっているカジノを利用した空港再生案は、中長期的な被災地における産業復興において非常に重要な役割を果たすでしょう。

3)カジノは税収を生む
カジノ導入施策のもうひとつの利点がカジノ事業から生まれる税収です。現在、発表されている試算値によれば仙台国際空港周辺にカジノを導入した場合、少なくとも900億円のカジノ市場が形成され、そこから250億円のカジノ税収が生まれると予測されています。(早稲田大学アミューズメント総合研究所・6月15日発表)

農業・漁業の復興、ITによる復興、再生可能エネルギーによる復興…世の中では様々な復興案が提示されており、私もそういった様々な案の可能性を否定しません。一方で、どのような復興案を描くにせよ、その実施のためには多額の公金の投入が必要です。その点で考えると、カジノによる地域再生案に関しては「カジノを合法とする」という政治的な決断さえ行えば、その先は民間資本を中心として自律的に投資が行われ、そこから新たな税財源も生まれます。生まれた新たな税収は、ぜひその他の優れた復興案の原資としましょう。カジノによる復興計画というものは、その他の様々な復興案を否定するものではなく、むしろそれをサポートする存在になり得ると考えています。

以上がカジノ賛成派による弁論となりますが、反対派には反対派なりの主張があるでしょう。ぜひ、このテーマに関して皆様なりのご意見を頂ければ幸いです。

(木曽 崇 国際カジノ研究所 所長)