僕たちモディファイは、いわゆるソーシャルメディアマーケティング市場のプレイヤーとして活動しています。米国市場ではおよそ1000億円規模に成長していると思われますが、日本国内ではまだまだです。
米国の主要プレイヤーは軒並み、この数年以内に創業した新興ベンチャーなのですが、非常に多額の資金を集めており、この分野の事業構築に腰を据えて取り組んでいます。
彼らの調達額は
・Buddy Media $38M(≒30億円)
・Vitrue $33M (≒26億円)
・Involver $11M(≒8.8億円)
・Wildfire $4.1M(≒3.3億円)
といった具合です。
社員数は平均して100-200人、売上規模で言うと(未上場企業なので推定ですが)だいたい数億円から数十億円程度のようですが、今後市場規模が急拡大していることや資金が潤沢なこともあり、数年以内に数倍の規模にふくれあがってくることは間違いなかろうと思います。
日本国内では大きく二つの動きが広がっています。
一つは彼ら米国ベンチャーとの提携によってソーシャルメディアマーケティング市場への参入もしくは規模拡大を目指す。もう一つは自社テクノロジーによって類似サービスの提供を実現して彼らを迎え撃つ。
CCIがループスと提携して国内でのBuddy Mediaプロダクトの拡販を図ったり、トランス・コスモスがWildfireと組んだりというのは前者の例です。後者の例では僕たちモディファイはSM3というオリジナルのソーシャルメディアマーケティングプラットフォームを擁して大企業を中心に顧客を増やしていますし、アライドアーキテクツなども独自のFacebookページ構築用のソーシャルアプリの提供などで、気を吐いています。
どちらが良い戦略かは経営者判断でしょうが、起業家の気分で言えば、自分たちの技術で戦わずして、米国への逆上陸もあり得ないわけで、黒船サービスの襲来をはねのけてこそアイデンティティがあると思います。(言ってみれば海外勢との提携派は幕末に英米と組もうとした幕府型といえるし、独自派は攘夷型といえるかもしれません。正しいかどうかは別として坂本龍馬や高杉晋作でありたい、と思うほうがアントレプレナーの気分なんですけどね)
ただ、とにかく「ソーシャル化」はありとあらゆるマーケティング手法に影響を与えるし、広告や製品開発などもソーシャル化されていくことは間違いがなく、バイオなどの特殊領域に対する知識でもない限り、ベンチャーを目指すのであればソーシャルメディアマーケティング領域(今後はここにスマートフォンによる位置情報やWebPOSなどの消費者購買情報の掛け合わせが起きてきます。まさしく大爆発する領域です)に賭けることは正しい選択となるでしょう。
問題なのは米国ベンチャーたちの資金力にどう抗するか、です。
売上規模からすれば、まだまだ本気で怖れるほどのことはない、と僕は考えますが、世界的な知名度と成長の早さはやはり脅威です。
それを裏付けているのは彼らの資金力であり、今後もますます調達額を増やして成長を優先してくるでしょう。ソーシャルコマースあるいはフラッシュマーケティング的な市場においてGrouponは利益度外視で極端な急成長によって市場を制圧しようとしています。同じような事象がソーシャルメディアマーケティングの領域でも起きてくる、そう考えます。
ソーシャルメディアマーケティング市場を抑えると、その次はソーシャルメディア経由でネット上に広がっていくビッグデータ(個人や社会全体に広がる、非常に複雑で巨大なデータのこと)の解析や、モニタリング事業も具体化してきます。FacebookやTwitterらが消費者のソーシャル化を進めるなかで、米国のソーシャルメディアマーケティング企業群は一般企業(現在は特にナショナルブランド)のソーシャル化を狙い、その後はありとあらゆる企業がビッグデータをどう扱っていくかの思案に入るのです。
この巨大ビジネスへの足がかりをいち早く掴むのは果たして誰か。
日本のベンチャーは一刻も早くそれなりの資金を集めて対抗しなければ、あっというまに自分たちの庭と思っていた市場を海外勢に席巻されてしまうでしょう。