日本で一番かっこいいハゲ:孫正義氏と「楽」について考える

松岡 祐紀

時々、人はなんのために努力をするのだろうと考える。


個人的なことを言えば、「楽をするため」ということに尽きる。今、努力をしないと、あとあと苦労すると分かっているので、このブエノスアイレスでは必須であるスペイン語を毎日勉強しているし、手遅れにならないうちに色々と仕事をこなしている。

努力は嫌いだし、なるべくなら勉強なんてこともしたくはない。今、楽が出来るのであれば、今すぐにでも楽をしたいと思うが、今楽をすると後々取り返しがつかないことになるので、今努力をしている。

将来は不安だらけだ。オンライン英会話スクールという競争が激しい業界で何年やっていけるか不安だし、そもそも何か新しいイノベーションが生まれたら、オンライン英会話スクール自体がまた形を変えるかもしれない。

だから僕は自分を信用していないし、自分の未来も全く信用していない。そうして、毎日せっせと情報収集し、新しいビジネスモデルを日々考え、つらつらとブログやコラムを書いている。

今年だけでもいくつかのビジネスプランを実行に移そうとしたが、どれも結局はうまくいかず、頓挫している。(途中で頓挫しただけで幸運だと思う。まだ一円もかからない段階だったので)そうして漠然とした不安を糧に、毎日働いている。将来、楽をするために働いている。

ただひとつ言えることはそういう状態が好きだということだ。毎日、頭を悩まされているスペイン語の勉強をする必要がなくなったら、きっとまたどこか違う土地へといって違う苦労を自分に強いるかもしれないし、仕事に関しても不安がないと努力はしない。

人間、努力なんて必要に迫られないとしないものだ。誰もが村上春樹みたいに自主的に日の出とともに起きて、毎日10キロジョギングして、気の利いたフレーズがいっぱいのイカした小説を10ページほど書き進めることは出来ない。

あと20,30年かけて、アウトプットしたものがせめて少しは後の世代の役に立てれば、幸運だと思うが、具体的にどのように落とし込めばいいのか、まだまだ見えていない。ただ見えていないからこそ、こうして毎日どうにかしようと努力はする。

大事なのは「何もかもうまくいっている人生ほどつまらないものはない」という自覚かもしれない。人間にとって多少の不安、なんらかの形而上学的な問題がないと、人生やってられないのだろう。

例えば、孫さんみたいな人は多くの人にとってみれば、「お金も名声もすべて手に入れた人」だが、彼はそんなことに満足せずに、一円の得にもならないエネルギー政策に躍起になって取り掛かっている。
(詳細はこちらで確認出来ます)

漢(おとこ)だなと思う。

一円の得にもならないことにあの孫正義が取り組むわけないと思ってる人はどうやら多いようだが、結局は彼も楽をしようとしているに過ぎない。それは彼自身のためだけの楽ではなく、何世代にも渡ってこの日本を楽にさせたいのだ。そういう観点から言うと、彼が原発というものをどうしても後世に残したくない理由もよく分かる。

「こんな地震が多い国にあんなリスクの高い建物置いて死ねるか!」ということだろう。

そうして、考えてみるとまずは楽をするということを考えるということは、とても重要なことだとよく分かる。人間は金銭的な利得でうごくわけではなく、感情に制御され、結局は感情により決定するのだろう。

彼のように男気溢れるおっさんになれるのならば、ハゲでも悪くないと思う。

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