人口減少を乗り越えるには規制緩和しかない

古川 賢太郎

杜父魚文庫ブログの「日本を作った人口の波 伊勢雅臣」という記事で思うことがあったので書いておく。


この記事では日本に起きた人口増加の”波”について4つの区分で説明している。

第1の波:縄文時代の温暖化による人口増加
第2の波:弥生時代以降の農業化による人口増加
第3の波:室町から江戸にかけての市場経済化による人口増加
第4の波:明治維新後の工業化による人口増加

そして、これから始まる「人口減少社会」への警句を発している。

これらの波の要因は、ここで上げられていることに加えて「人の移動」が必須であると思う。筆者も述べているように、第2の波、第3の波の停滞は荘園制度や幕藩体制強化によって人の移動が制限されることによってもたらされている。逆にいうと、いずれの波も契機は「人の移動」による。即ち、温暖化によって生活圏を広げ(北上し)る移動(第1の波)、農業化によって農作地への人口の集積(第2の波)、支配体制の弱体化によって領域内外への比較的自由な移動(第3の波)、幕藩体制の崩壊によって都市への人口移動(第4の波)である。

そう考えると、今の停滞は都市への人口の移動や集中が、各種の土地開発法規で制限されていたり、日本の内外への人口の移動が移民法令などによって制限されていることで人口のダイナミズムが欠けていることに一つの要因を求められるかもしれない。それは、過去の波の停滞期にも同じ様にあったことで、それを新たな人口移動が解決してきた。幸いなことに、日本は本格的な都市への人口集中がまだ行われておらず、資本も日本中に遍く散らばっている。更に、外国人を受け入れる移民制度を持たない。

であるならば、1)「日本列島改造論」以降の均質な国土開発の方針を放棄して、都市に投資を集中させて人口移動を促す(東京、首都圏、名古屋、近畿圏、広島、福岡、仙台、札幌のみ) 2)移民制度を整備して、人の流入と流出を促す 3)市場参加の条件や事務手続きを簡素化し、外資の参入を促す などを行うべきだ。「人口減少社会」は何も既定路線ではない。まだ、やっていないことは山ほどあるのだ。

古川賢太郎
ブログ:賢太郎の物書き修行