インフレを起こして経済をなんとかしろ、というリフレ派は、日銀を眼の敵にし、インフレターゲットの導入を迫ってきた。
彼らはほぼ衰退したから、もはや言及する必要もないが、事実関係のクラリファイは行っておきたい。
日本銀行はインフレターゲットを導入している。
それが日本の量的緩和のもう1つの意味だったのであり、画期的なことだったのだ。
先のエントリーで言及したように、消費者物価が安定的にゼロ%以上で上昇するようになるまで、量的緩和(またはゼロ金利)を続ける、と明言したのが2001年3月の量的緩和の重要な意味であった。
この時間軸効果により、長期金利は低下したが、同時にインフレターゲットは0より少し高いプラス、ということになり、それにコミットしたのである。
しかも、そのコミットはゼロ金利を続ける、という最終的な政策結果についてコミットしたのである。
これ以上のインフレターゲットがありうるであろうか。
その後、福井総裁時代に、審議委員達の妥当と考える消費者物価上昇率についても公表し、それは0から2%の間で、中心値は1%と公表した。このときも量的緩和の当初の枠組みは維持されていたから(さらにターゲット数量は5兆円から大幅に拡大していたが)、消費者物価1%のインフレターゲットを実行していたのである。
したがって、日銀にインフレターゲットを導入せよ!と叫ぶのは、それを法案として国会を通して実績としたい議員はともかく、エコノミストをはじめ有識者や市場関係者であれば、それは誤っているのである。