在中国の邦人の間で、話題になっていることは、外国人も中国国内の社会保険に加入しなければならくなった。
『中国国内で就業する外国人の社会保険加入暫定弁法』という法律が2011年10月15日に施行された。
内容を読んでみると、中国国内で就労する外国人で就業許可を取得している人を対象に社会保険の加入が義務付けられた。ここで言う外国人就労者とは、「外国人就業証」「外国人専門家証」「外国常駐記者証」等の就業証明書や外国人居留証を取得している者、あるいは、「外国人永住居留証」を有する合法的に就業する非中国国籍の人員を指すと規定されている。
中国で、中国Zビザ(就労ビザ)を持って働いている外国人を対象に中国国内の社会保険の加入を義務付けられたということである。
加入する保険の種類は、5種類あり、「養老保険」「医療保険」「労災保険」「失業保険」「生育保険」となっている。
外国人が中国の国内企業で就業する場合には、就業後30日以内に、社会保険の加入が義務付けられ、30日が過ぎても保険を加入しない場合には、罰則がある。滞納した金額の3倍の保険料の支払を命じられるということだ。
しかし、ここで問題になっているのが、日本人の場合、日本国内でも社会保険を支払っていることが多く、中国と日本で、二重に社会保険を支払うことになる。しかし、現時点の中国の規定では、韓国とドイツ以外は、社会保険の免除申請が出来ないため、日本人は、社会保険を二重に支払うことなる。このことに関しても、日本政府と中国政府の間で社会保険の免除に関する話し合いがもたれれば、日本人の免除対処になるかもしれないと10月25日付けの中国のネット新聞『人民网』で掲載されていた。今回の外国人の社会保険の加入の義務化によって、在中国の外国人 約23万人が社会保険の支払対象になる。
中国の社会保険は、5種類あることは、前に述べたが、会社負担率と自己負担率に関しては、会社負担率は、37%、自己負担率は、11%である。
内訳は、会社負担37%(養老保険22%、医療保険12%、労災保険0.5%、生育保険0.8%、失業保険1.7%)である。
自己負担11%の内訳(養老保険8%、医療保険2%、失業保険1%)だ。
実に、給料の額面に対して、48%が社会保険費になる。
現在、日系企業では、日本人の駐在員、現地採用の雇用を行っているが、例えば、日本人の人件費が、月額、日本円で30万円だとすれば、会社負担が11万1千円で、自己負担額が3万3千円になる。企業にとって、この負担増をどう考えるかがこれからの課題になる。社会保険に関する支払比率は、中国人と外国人は、同等である。
社会保険の満期は、15年以上となっており、女性の退職年齢は、満55歳、男性は、満60歳と規定されており、通常支給の場合は、定年時から養老保険を受給できると規定されている。受給時期に関しては、最短で50歳からでも受給できるということである。外国人にとってこの社会保険制度でいくつか心配事項がある。例えば、失業保険に関して言えば、中国国内で就労していて、失業してしまえば、就労ビザをなくすことになる。就労ビザがなければ、中国に滞在することができず、どうやって受給したらいいのかという問題がある。養老保険に関しても、満期になる前に中国から出国することがあれば、その掛け金は、どうなるかという疑問もあるが、そのことに関しては、社会保険の番号で口座管理されており、再度、中国に戻った際に、継続で社会保険を加入することができると規定される。若しくは、途中で解約する場合にも、一括で社会保険料を返金するとなっている。それを聞いてひとまず安心があるが、何しろ、今まで経験のないことで、突然始まった制度であるので、私を含め、中国で働く外国人にとって、不安があるのは事実である。また、外国企業を誘致してきた中国であるが、外国人の人件費の負担増を推し進めることは、中国へ進出する企業にとって、これから先、人員配置をどうするか再考する必要が生じるであろう。今後の動きに注目したい。