Siriを知っていますか。
SiriはiPhone4Sに搭載された新しいアプリケーションですが、元々はAppleが2010年に買収したSiri社が開発した音声秘書プログラムであり、音声認識技術と会話による操作というインターフェイスを備えています。
iOSデバイス(iPhone / iPad / iPod touch)は、指先による操作というNUI(ナチュラルユーザーインターフェイス)をサポートしたガジェットです。NUIとは、指先だけでなく、音声や視線、脳波など、人間の自然な行為によるユーザーインターフェイスのことです。
僕はこのNUIがGUIを時代遅れにしていくと常々指摘していますが、この流れを加速させているのがiOSであり、さらにSiriが一気に流れを社会的なものにしていくと考えています。
今後、例えば自動車のカーナビは視線と音声と指先の動きの組み合わせによる操作が一般的になるかもしれません。
音声で指示した行く先を画面が表示し、それが正しいかどうかを目視で確認する。さらに画面を軽くタッチすることでさらに詳しい目的地をポインティングし、再び音声で確定させる。
このようなユーザーインターフェイスは、技術的には今すぐどころか、10年前から本当は開発可能でした。実際に製品に落として、商業的に市場にリリースする勇気を持つ企業が現れなかっただけです。
Appleはこの先鞭をつけました。
iOSとiPhone4Sによって。
Appleはハードウェアとソフトウェアの統合による、高度に管理された統制のとれた世界観を崩さない会社です。だからAppleが自動車や家電、家屋、社会インフラすべてのNUI化を制するとは思いません。それをおこなうのはGoogleかMicrosoftかもしれません。しかし、トーン&マナーとしての(例えばタイピングにおけるQWERTYのような)インターフェイスの普遍的な在り方を規定するのは、Appleだといえるでしょう。予言的中の確率は70%、というところです。ジョブズがあと10年長生きしていたとすれば、この予言は間違いのないものになったと思います。