就活必勝法はあるのか?

山口 巌

明後日12月1日に愈々就職戦線が開幕する。大学3年生で就職希望の方は、大きな不安と少しばかりの希望を胸に就活をスタートされる事になると思う。


さて、テーマの就活必勝法はあるのか?であるが、結論を言えばそんなものはない。あれば誰も苦労しない。

寧ろ、円高や電力の供給不安から製造業の海外移転が今後加速する事は確実で、雇用は減少し就職は更に厳しくなるはずである。

今日のBBC News記事でも日本国内の失業率が先月の4.1%から4.5%に上昇した事を報じている。企業は確実に人減らしに舵を切っている。

職を求める大学生が理解すべきは、大学生に取っての就活が、企業に取っては恨まれず如何に断るかの儀式であると言う冷徹な事実である。露骨に言ってしまえば大多数の大学生に取って、就活は時間と金の無駄以外の何物でもない。

今年の1月に日本を代表する企業数社の中堅幹部から直接聞いたので間違いない。詳しくはこの記事を参照して欲しい。在学中の大学名と所属する学部で合否は決まっているのである。

ここで登場するのが、就活の失敗を危惧する2流以下の大学の学生を狙った一種の貧困ビジネスである。

勿論全てではないが、先ず、就活を失敗する不安、恐怖を煽りに煽り、トコトン追い詰めた揚句高額なセミナーに誘導する。セミナーでは適当な話でお茶を濁し「就活必勝法」の如き出鱈目な本を紹介し会場出口で販売する。

冷静に考えてみれば良い。大学名で既に足切りをされている学生が、一流企業の内定を取り付ける為には、人事担当者に余程刺さる何かがなければならない。それが、皆が出席するセミナーで聞いた話や、セミナーで紹介された本に載っている内容である訳がない。

私は就活は何も悪い事だけではないと思っている。中学から高校、高校から大学とまるでトコロテンの如く、主体的に何も考える事なく無為に生きて来た若者の真贋を問う裁判であると思うからである。

逆に言えば、企業の採用担当者は学生がどの様なを持ち、の実現の為に自社を選択し、入社後どの様な事を手掛けたがっているかに興味が集中するはずである。そして学生が、の実現の為に惜しみなく行っている努力に共感出来るか否かが鍵になると思う。

就活とは自分を希望する就職先に売り込む営業行為である。ある程度の営業経験がある人間なら実感として体験していると思うが、それなりの企業の購買のプロに売り込みをする場合、成功するか否かの要因は95%が製品の品質と価格であり、営業の巧拙は残り5%程度に過ぎない。

強調したいのは人物を磨く事。そして売り物となる特技を持つ事。

現下の経済情勢を鑑みれば,就活は一流大学学生に取っても決して甘くない。況や、二流以下の大学学生に取っては上手く行かないのが当たり前であり、好ましからざる結果となっても決して落ち込む必要はない。鬱病などになるのはもってのほかである。

違う人生の道を探せば良いだけと思う。

私事で恐縮であるが、私には二人の子供がいて長女は国立大学理系の4年生で来春は大学院に進学する。まずまず、順調という所であろう。

しかしながら、高1の長男が素晴らしく勉強が出来ない。殊に理数系が苦手で数学などはまるでお手上げの様である。このままではしょうがないと言う事で、長男と話した結果日本の大学には進学せず直接アメリカのカレッジに進学する事とした。

たまたまクリスチャンでケイタリング会社を経営する友人が、自分が副業で経営するCafeで日曜日毎にアメリカ人の神父を呼び英語で行っている勉強会に長男を招待してくれた。そしてこれも偶然なのだが、この勉強会を補佐しているアメリカ人女性が留学斡旋組織の責任者である事が判り、必要な資料を提供してくれたり、貴重なアドバイスを長男にしてくれている。

長男も初めは英会話が厳しく出席に腰が重かったが、最近は私が怒鳴らなくても自発的に行くようになった。長男は長男なりに少しづつであるが、自分の将来を考え、TOEFL対策英語を勉強したり,その他の科目の勉強もする様になった様で、好ましい変化と喜んでいる。

最後に長男に言い聞かせている事は;

○健康第一
○夢を持ち、やりたい事をやる事
○野垂れ死にが嫌なら生き残る為の努力をする事
○日本に職場は無くなるので、アメリカで英語を学びアジアで働け

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役