沖縄には独立していただいてはどうか? --- 純丘曜彰博士

アゴラ編集部

テレビに映る沖縄の県知事室には、漢字だらけの屏風が見える。これは、もともと首里城の正殿前にあった鐘の銘。なにが書いてあるか、というと、琉球国は、南海の地の利、半島の人の利を得て、中国や日本と「唇歯輔車(しんしほしゃ、対等の相互依存、出『春秋左氏伝』)」の関係にある、という話。今の時代に、こんなものを一地方自治体の長の部屋に置き、わざわざやってきた中央政府の来客との面談にさえ用いる、とは、なかなか不遜な威嚇挑発。それがわからぬほど学のない大臣ばかりなのが、幸いなのかどうか。


それにしても、次から次に変な大臣、変な官僚が乗り込み、勝手なこと、失礼なことを言い散らし、沖縄の人々の気持ちを逆なでにしてばかりいるのを見聞きするにつけ、たんなる本土の一庶民としてさえ、まことに恥ずかしく、心苦しい。

だが、あの屏風を見るにつけ、先に福島で某大臣が県知事に「上下関係を重んじろ」など言ったとか言わなかったとかいうバカな話とはレベルが違う面倒な問題であることが、よくわかる。内閣総理大臣に任命された政府の国務大臣と、選挙による地方自治体の首長である県知事となら、まあ、行政管轄範囲の違いだが、沖縄、いや、琉球国の場合、いまだに日本とは、支配/被支配の関係にあるらしい。

歴史的経緯を振り返ってみよう。1609年、突然に薩摩藩が琉球国に攻め入って、その従属国とした。だが、この時点でも、従属しているとはいえ、ひとつの別の国だ。実際、1854年の黒船来航でも、米国は日本とは別に琉球国と修好条約を締結している。ところが、明治政府は、かってに琉球国を鹿児島県の一部とし、一時的には琉球藩を復活させるも、1874年の台湾出兵に勝って中国に日本の琉球国の領有を認めさせ、1879年の琉球処分で沖縄県にして、中央で任命した県令を派遣することにしてしまった。こりゃ、どう見たって「侵略」でゲソっ。そして、沖縄が日本の最前線として戦争でひどい目に遭った後、むしろ米国は、琉球国を日本とは別の存在として認め、軍政下ながらも琉球政府を創らせた。ところが、1972年、日本は米国から3億2000万ドルで琉球国を買い、その政府を潰して、またも沖縄県として日本の領土に組み入れてしまった。

つまり、日本は、「琉球処分」と「沖縄返還」と二度も琉球国を「強姦」し、「妾」の立場に貶めたことになる。南洋の漁場だとか、貿易の利権だとか、沖縄がおいしいのもわかるが、いまどき、米中両大国との談合や、こういう損得勘定で、かってに小国の侵略支配を続けるのは、国際社会の道義に反するんじゃなイカ? こんなことやっているから、周辺の国々から、いまだに、日本がまた攻めて来るかもしらん、なんて、邪推される。

というわけで、沖縄の人々の不満も、溜まりに溜まってものすごいようだから、日本は、これまでの非礼の数々を詫びて、もとどおりちゃんと独立していただいてはどうなのだろう? 米軍の基地のこと等々は、琉球国の方で直接に米国と話して、好きに決められればよろしかろう。防衛も、経済も、日本は与り知らぬこと。中国や半島、台湾との外交も、ぜんぶ御自分でどうぞ。むしろ莫大な財貨を落とす米軍の基地などについては、前の大阪府知事の言うように、関空の方でも、より有利な条件で御誘致させていただき、今後は国際社会の商売敵としてフェアに競い合せていただきたい。

震災と放射能で、もう日本には、沖縄の面倒な「支配」を続ける余裕など無い。なんなら、ついでに蝦夷国にも独立していただいてもかまわない、とも思うのだが。

純丘曜彰博士
大阪芸術大学芸術計画学科教授/元テレビ朝日報道局報道制作部『朝まで生テレビ!』ブレーン