福島・東北旅行にいってきました。その2

藤沢 数希

前回の記事で、筆者が福島県を最近訪れたときの様子を紹介した。それから筆者は、福島県内のいくつかの温泉旅館をはしごして、新幹線で仙台に向かった。仙台ですこし時間を過ごし、日本三景のひとつである陸前松島に滞在した。津波が直撃したところでもある。今回の記事でも、筆者が撮影した写真と共に、旅行者から見た「今」の福島県と東北の様子を伝えよう。


皇室に献上される福島県会津名物のみしらず柿。自らの枝を折ってしまうほど、身の程知らずにたくさんの実をつけることから「みしらず柿」と呼ばれるようになった。(筆者撮影)



筆者が泊まった福島県の温泉旅館。福島県磐梯熱海温泉。(筆者撮影)


福島県産黒毛和牛のしゃぶしゃぶを食す。たいへん美味であった。(筆者撮影)

福島県では、数件の温泉旅館に泊まった。筆者は残念ながら、牛肉の味から産地を当てるほど繊細な舌を持っているわけではないが、福島牛は非常に美味しかった。霜降りだが、神戸牛や松坂牛などに比べて脂っこくなく、筆者の好みであった。この旅で訪れた福島の旅館は、心なしか空いているように感じられたが、どこも平常通り営業していた。何より、温泉が空いているのは大変ありがたい。朝風呂などはほぼ貸し切り状態であった。

テレビやネットの情報ばかり見ていると、福島県=原発事故というイメージなのだが、実際に訪れてみると、原発事故の形跡は何もなかった。観光客が減ってしまったこと以外は。誰もが普段通りの生活を送っていた。少なくとも観光客が立ち寄るような場所で、原発事故の影響は何も残っていないように思えた。

次に筆者が向かったのは仙台である。仙台に来たのは、これで2回目である。1回目がずいぶんと昔で、ほとんど記憶にない。仙台駅に着いてまず筆者が驚いたことは、仙台というのは大都市だということである。雰囲気的には、渋谷や新宿と変わりない。そしてここでも筆者は、東日本大震災の形跡を何ひとつみつけることができなかった。それどころか、仙台の街は多くの人で賑わい活気に満ちあふれていたのである。


仙台駅の地下の食品売り場。大勢の人でごった返していた。(筆者撮影)


仙台名物の牛タン焼きを食す。牛タン屋は行列ができている店と、客があまり入っていない店で両極端だった。筆者は行列に並んでみた。(筆者撮影)

仙台からJR仙石線で陸前松島まで行った。大小様々な島々が浮かぶ、日本三景のひとつである。仙石線は、その一部がまだ復旧しておらず、その区間は臨時バスが運行している。とはいっても、仙台から陸前松島までは通常通り運行しているのだが。このあたりの海岸はもちろん津波に襲われたのだが、観光旅館が集中している地域は、松島の島々が津波のエネルギーを分散させ、致命的な被害は防げたとのことである。


温泉旅館で、松島名物の牡蠣ご飯をいただいた。このあたりは完全に復旧しており、平常通り営業していた。(筆者撮影)


筆者が泊まった温泉旅館の窓から見えた朝日。右に見えるスピーカーが津波警報を鳴らしたのだ。(筆者撮影)


朝日を浴びながらの露天風呂。(筆者撮影)

今回の福島、そして東北旅行はたいへんよかった。特に福島は、メディアによる原発事故の報道もあって観光客が減っているので、温泉もレストランもタクシーも空いていてとても快適だった。読者の方も、次の休みは福島や東北を旅行してみてはどうだろうか。


東北新幹線はやぶさの特等席(グランクラス)。ちょうど飛行機のビジネスクラスと同じようにワインや軽食が振る舞われる。(筆者撮影)