リフレ派とインタゲ そしてFRB

小幡 績

たまには少し下品な口調で、ただし中身は誠実に書いてみよう。

リフレ派という人々は、まともな世界には生息していないが、世の中の多くの領域はまともではないので、彼らについて、言及することも必要な場面がある。とりわけ政治の世界(といっても日本だけだが)に残存している以上、無視は出来ない。

リフレ派の大好きなリフレとインタゲについて、今日は説明しよう。

ちなみに、リフレもインタゲも、その言葉自体が、その使用者の素性の悪さを表している。

まともな世界の人々は、そのような汚い言葉は使わないし、リフレに至ってはその概念もない。

さて、誠実な部分に移ろう。

今回のFRBのFOMC声明文である。


これをリフレだという人は、頭がおかしいか、英語というより言語を理解できない人々だ。

声明文ではしつこく、dual mandateと繰り返している。

そしてわざわざdual mandateを誤解の無いよう明言している。

foster maximum employment and price stability

ということだ。

Price stabilityとはインフレを起こさない、ということだ。

そして、その後で、目安となるインフレ率が2%だということを示唆した。

よく声明文を理解しない場合に誤解する可能性があるのは、この目安を短期的にも強い制約条件とは市内可能性がある。dual mandateのもう一つの達成のために。そのバランスをとる。と言っている。

これは長期の目標に縛られすぎず、短期には柔軟にやる可能性がある、と言っている。

これは、確かに、タカ派とハト派という区分で見れば、マネーの価値を維持することを厳しく追及する側からは、軟弱である。ややインフレに対する許容度が高すぎる、という意見もある。

しかし、これがインフレを起こそうとしている、インフレをプラスと捉える、という解釈をするのは100%誤り、いや180度誤りだから、200%ぐらい誤りだ。試験ならば零点ではなく、マイナスの点がつくところだ。

インフレは好いことではないが、短期的にはそのコストを払っても雇用を優先させることを選ぶ可能性がある、ということを言っているのだ。

わかりやすく言うと、ベストな状態の順に

1.インフレ率が安定して低く、かつ雇用が十分にある
2.多少インフレ率が高いが、安定してないとまでは言えず、需要の回復に伴い過少となっている雇用が回復してきている
3.インフレ率は低く安定しているが、雇用が極端に少なく、また回復の見込みもない
4.インフレ率が高く、安定性に対する懸念も生じているが、雇用は回復する見込みがない
5.インフレをコントロールできず、インフレにより、実体経済も投資が出来なくなり、雇用は停滞もしくは更に悪化する見通し

ということだ。

そして、3にいるぐらいなら1を目指しつつ、短期的には2となっても仕方が無い、ということを述べている。

多少のインフレ率の上昇は、コストであり、良くないことだが、仕方が無いコストの場合もあり、今後は、そう言う状況になる可能性もある、ということを述べているのだ。

くどいが、あくまで、インフレは良くないこと、マイナス要因なのだが、需要を喚起した場合の副作用として出てきたときに、許容できるレベルの副作用のこともある、と言っているに過ぎない。

インフレを起こして需要を喚起するとは誰も(まともな世界の住人の中では)言っていないし、インフレが需要喚起をもたらすなどと言うことは間違っており、将来に対する投資を手控えさせて、実体経済にもマイナスなのは、基本中の基本だ。

まともな世界の皆様、読んでいただいた場合には、当たり前すぎて申し訳ありません。無駄な時間と紙面を頂戴いたしました。