日本人の心に深く影を落としているものとは一体何であろうか?それは、将来に対する不安に他ならない。国債残高がこのまま膨張を続ければ、やがて日本経済は破綻する。そうなれば、無職、無一文となり野垂れ死にするしかない。そういう悲惨な状況を、漠然とではあるが危惧しているのに違いない。
それでは、重篤な債務問題解決の処方箋はあるのであろうか?
膨張を続ける社会保障費に大鉈を振るう事ではないか。
高齢者によって消費される、「年金」と「医療費」の仕組み自体を抜本から見直すのである。
飽く迄仮の試算であるが、「年金」と高額な「医療費」併せて高齢者一人当たり年間@300万円のコストが発生しており、対象者が2,000万人とすると、国家財政への負荷は、@300万円×2,000万人=60兆円と言う事になる。
仮に十分の一に圧縮出来れば、コストは6兆円と言う事になり、60兆円-6兆円=54兆円の歳出削減となる。
問題はどうやってこれを実現するかである。
そこで、昨日の記事生き方を少しだけ変えれば日本人は幸せになれる を参考に企画してみる。
結論を言えば、政府は高齢者に対し国内で「年金」を支給したり、高額な「医療費」を負担するのを止め、代って物価の安いベトナムに移住して貰うのである。
こういう事を主張すると、まるで「姥捨て山」、或いは「棄民」の如きネガな印象を持たれる方が多いと思う。しかしながら、私の考えは真逆である。
判り易く言えば、暮らしの拠点はクラブメッドを少し質素にした、「設備」と「サービス」と理解して貰えば良いのかもしれない。
ベトナムは何分物価も人件費も安い。上手に運営すれば、低いコストで高齢者が豊かな生活を送る事は可能と思う。
ベトナム側のメリットを心配される向きもあろうかと思う。当然の事である。
これも飽く迄私の試算であるが、ベトナム人の平均年収を@2,000ドル(約15万円)とすると、今回日本の高齢者が移住する事でベトナムで消費される事になる6兆円は、(6兆円÷@15万円=4千万人)となり、何とベトナム人4千万人の年収に匹敵する外貨獲得となる。
ベトナムはその歴史的経緯より、インフラ整備が著しく遅れている。
道路。橋梁。港湾。高速鉄道。原子力発電。上下水道。通信網。何れも日本が得意とする分野である。要請があれば応分の協力をする事で両国の関係強化に繋がる。
ベトナムが喉から手が出る程欲しくて堪らない産業は下記とこの専門書が指摘している。
一貫製鉄所。石油化学。セメント。肥料。
こう言っては、この分野にお勤めの方には大変失礼かも知れないが、21世紀の日本に左程重要な産業とは思えない。
日本に留まり、高い人件費、円高、電力料金の値上げ、意味不明な官僚による規制等に四苦八苦するより、場合によっては、この際政府が補助金を出すなどしてベトナムに移転しても良いのではと思う。
現政権には最早何も期待しない。
次期政権は是非この様に社会保障費に大鉈を振るって欲しい。次いで、公務員改革を基軸とする行政改革を断行し、更なる歳出削減に努めて貰いたい。
次いで、利権の温床と永らく言われ続けている、特別会計の闇にもメスを入れねばならない。
そういう意味で、日本人だから日本に住み続けるという従来の考えを改め、老後は南国でゆったり暮らすという様になれば、結果、社会保障費に大鉈を振るう事となり、これが後に続くであろう改革の一丁目一番地になると思うのである。
山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役