アップルiTVの衝撃!

山口 巌

噂を肴に楽しむのも偶には良いのではないだろうか。この記事が伝える所では、アップルはキャリアーと具体的な交渉入りをしている様である。


Best Buy情報と言うのも早速ネットに出ている。

42インチ 1080 LEDディスプレイ
iOSを搭載
App Storeを搭載(アプリを利用可能?)
iCloudに対応し、音楽、テレビ番組、映画、写真、ビデオを利用可能
AirPlayを使ってiPhoneやiPadから写真や映像を映し出すことが可能
FaceTimeカメラや音声入力デバイスを搭載(Siriが利用可能?)
NetflixでのDVDレンタルやYouTube、Flickrをサポート
1499ドルで販売

「iCloud対応」対応と言う事であるから、大雑把なイメージとしてはiPadが42インチ 1080 LEDディスプレイを搭載して自宅のリビングにやって来ると理解して良いのではないか?

「NetflixでのDVDレンタルやYouTube、Flickrをサポート」だからとても使い勝手が良さそうである。家族で、或いは仲の良い友人達と旅行に出かけ、撮影写真を皆で集まってワイン飲みながら鑑賞するとか、実に楽しそうである。

Siriが利用可能で「寅さん」とか言ったら、早速寅さんが画面に登場して「生まれは柴又葛飾。。。」のシーンとか。会社で指示しても呑み込みが悪く、間違ってばかりの不出来な部下を持ったお父さんに取っては、自宅リビングが癒しの空間化しそうである。

それでは、一体アップルのiTVは日本市場に如何なる衝撃を与えるのであろうか?

巨大隕石の落下に相当するであろう、大きな衝撃であるに違いない。

そして、影響は、「テレビ端末」に留まらず、「地上波放送」、伝送路を担当する「キャリアー」、地上波放送に雁行する「スカパー(衛星放送)・ケーブルテレビ」、パッケージメデイア商流の代表格「DVDレンタル」、最後にはメデイアを飯のタネにする「広告代理店」に迄及ぶ筈である。

先ず、「テレビ端末」である。「スマホ」が売れて「ガラケイ」が売れなくなった様に、「iTV」が売れて「通常のテレビ」が売れなくなる。それだけの話である。

次に、「地上波放送」である。仮にiCloud経由の配信となればローカル局は不要となる。従って、ローカル局は域内免許を盾に猛烈に抵抗する筈である。

総務省は域内免許の如き20世紀のレガシーに拘泥する事無く,21世紀の利用者の利便性に配慮した免許制度に移行すべきである。

ついでに、地デジ化に伴う過去の失敗を猛省すると共に、電波帯域ありきの、今後の計画は凍結すべきである。

地デジ対策に投入される国費はなんと総額9344億円!!!との事である。そして、2014年度までに更に2,000億円の投入を総務省は予定しているらしい。一兆円弱の公共事業を行った訳であるから、既に多くの外郭団体を設立し、天下りの受け皿にした事であろう。その財源の確保を規定事実化しようとしているのだと思う

iTVが普及すればデータマイニングが容易になる。多分自動的に行われる筈である。

従って、現在広告代理店が担当しているメデイアプラン等は、このマイニングデータ解析結果に従い自動的にネットがやってくれるので、多分広告代理店は絶滅すると思う。

NHKの在り方も抜本的に議論すべきである。マイニングデータ解析迄自動的に行われる時代に、流石に、電波出したので「受信料」支払ってね!は無いだろう。

月額制の「視聴料金」若しくは視聴番組毎の「都度課金」に変更すべきである。

そもそも、現在施行の「放送法」は1950に作れたものと聞いている。1950には無論「光ファイバー」もこれを使った「インターネット」も無かった。本来、「放送法」は改正されるべきものなのだが、国会議員が無能なのか、或いは怠惰なのかで放置され続けているのだと思う。

スカパー(衛星放送)・ケーブルテレビは、即死は免れるものの、衰弱死に至るのではないか?

多チャンネルサービスを構成する個々のコンテンツに就いて言うと、強いコンテンツはiTVで強さを見せつけ、弱いコンテンツは弱さを曝け出す事になる。

優勝劣敗が明確になり、弱いコンテンツは結果淘汰される運命である。

DVDレンタルに就いていうと、そもそも私の予測では、昨年で既に終焉に向かう筈であった。iTVがトドメを刺す事になると思う。生き残りを願うのであれば、昨年中にNetflixモデルである程度の実績を構築すべきであったと思う。

最後はキャリアーに就いて述べる。

「光の道」は行き止まりでは?でも説明しているが、私は従来から「光ファイバーはニッチな贅沢品」と考えて来た。

しかしながら、iTVが今後テレビの標準となると話は180度変わる。

視聴者の多くはハリウッド映画を含め、動画を高画質で楽しみたいと思う筈である。従って、この欲求に安定して応えるためには、光ファイバーが切り札になると思う。

2年前の「光の道」支持者が、これを理解しておられたとしたら正に「慧眼」という他はなく、脱帽して敬意を表したい。

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役