iPadの登場で、通信の主流は無線ブロードバンドに変わろうとしていますが、そのインフラとなる周波数が足りません。今後5年で無線通信量は100倍になるともいわれ、このままでは日本の通信インフラはパンクするおそれがあります。他方で、テレビ局は必要なチャンネルの5倍近い周波数をおさえたままで、電波の90%以上は使われていません。
電波がいかに浪費されているかを具体的なデータで明らかにし、IT産業が立ち直るための条件を考えた本書。2012年、改訂版としてアップデートされました。今までのバージョンの電子版をお持ちの読者は無料でバージョンアップした電子版を読めます。同時にamazon.co.jpでペーパーバック版(プリントオンデマンド本)でも発売されます!
【内容紹介】
第1章 浪費される電波
電波とは何か
「電波社会主義」が浪費をまねく
アナログ放送の「跡地」はどうなるか
テレビ局がふさぐ電波
ガラパゴス化する周波数
居坐るテレビ局
天下りのための業務用無線
第2章 テレビ局をおおう田中角栄の影
正力松太郎とCIA
三種の神器
田中角栄の「一本化調整」
全国ネットの拡大と系列化
テレビ局と新聞社の系列化
「電波料」による赤字補填
テレビ業界という格差社会
第3章 電波を浪費するデジタル放送
帯域をふさぐ技術
締め出された携帯電話
見殺しにされたハイビジョン
なぜアナログ放送を止めるのか
政府主導の赤字プロジェクト
第4章 インターネットに抵抗するテレビ局
IP放送は放送ではない?
問題は地方民放
すべてがIPを経由する
情報の自由を阻む「電波封建制」
B-CASは独禁法違反の疑い
宙に浮いた「ダビング10」
第5章 迷えるNHK
政治家の圧力に弱い経営陣
島体制とその崩壊
島会長の功罪
海老沢時代の安定と停滞
「NHKオンデマンド」の失敗
NHKを「著作権特区」に
第6章 ガラパゴス化した携帯電話
携帯電話の誕生
政治的妥協が生み出したNTTドコモ
第3世代の成功と失敗
iモードの奇蹟
ガラパゴス化はなぜ起こったのか
第7章 無線インターネット革命
無線LANの登場
無線インターネットの可能性
ホワイトスペース
次世代技術
第8章 電波開放への道
見送られた周波数オークション
周波数オークションについての誤解
全米ブロードバンド計画
電波の水平分離
電波ビッグバン
電波の政治からの解放を
第9章 テレビの終焉
第2のメディアになったインターネット
ローコスト・メディアの台頭
メディアの水平分離
メディアの変化に対応する規制改革を
おわりに
単行本:140ページ