関西の空港を関空に一本化すべきか?NO!

三好 千景

このような、ご質問を頂きました。

維新の会代表・橋下市長が、関西の空港を関空に一本化すべきと提唱されていますが、どのように思いますか?三好さんでも、航空産業に精通した方でも、誰でもいいので教えてください。

ご質問ありがとうございます。三好です。

何分、橋下氏の政治活動の事等を詳しく理解していないためと、橋下氏がどのような根拠とデータで、その政策を論じていらっしゃるかも厳密に調べていないので、外から、勝手に個人的な見解を申し上げます。

データを使用して、きちんと説明したいのですが、制限された紙面ではなかなかうまく伝えることができないのが残念です。大まかな個人的見解だけ申し上げます。


日本の空港法で、関西空港は、会社管理空港、伊丹は、国管理空港、そして神戸は地方空港になっています。そこで、以下のわたくしの案は、そういう現在の管理体制と空港を管理している当事者の関係を鑑みると、「とんでもない提案」になります。どうぞお許しください。

私自身には、伊丹と神戸空港を廃港にすることは考えられません。わたくしは、3空港とも維持し、一組織で経営すべきだと思います。そして、3空港とも国際線も国内線も使用するべきです。滑走路の長さと運用時間、騒音規制の関係で、関空は、LCC と長距離国際線と貨物も含みます。伊丹は、都心に近いため、リージョナル機を使用したハイイールド路線、神戸は、LCCも含むナローボディ(単一通路航空機)の国際線と国内線とビジネス機になるでしょう。

3空港の背景にある市場(キャッチメントエリアといいます、人口、産業、GDP等)を考えれば、5本の滑走路がある、マルチハブとして捉えるべきです。

今まで、需要がなかったのは、自由化と空港システムの整備が出来てなかったため、運賃が高く需要を喚起できなかったからです。これから、自由化を迎え、需要は増えるでしょう。アジア太平洋地域は、この10年20年先、年間10%以上の成長率で延びるといわれている市場です。北京は、9本もある世界一のハブ空港を5年後には完成させます。イーチョンも拡大していきます。

距離的には、ロンドンヒースローとアムステルダム、パリと同様な距離です。それ以上の成長市場で、滑走路を増やそうとしている地域で、3本も閉鎖しようとする理由がわかりません。大阪だけでなく、日本を見るのであれば、外に視野を広げてみなければいけません。日本の人口がこのまま減り、産業も経済も沈下していき続けるのであれば、閉鎖することもあるでしょう。そのままで、いいのでしょうか?

空港の収益があがらないのであれば、3空港を一括で経営し(どの空港が国際線をするとかけんかしないで、3空港全体とその背後市場の利益を優先し、LCCと経営努力(コスト削減、少なくともオーバーヘッドコストは、3分の一になる)で実績を上げ、出てきたら、外資に一部を売却して、今までの投資を還元し、そして、さらにもっと厳しい経営をするべきです。

小さいところで縄張り争いをするようなことでなく、もっと建設的に全体をみた、長期的な観点で航空政策を考えるべきでだと思います。

以上、外からとても勝手なことを申し上げました。申し訳ありません。

英国 クランフィールド大学大学院レクチャラー 三好千景

Disclaimer: 全ての文責は、著者にあります。