自動車産業再編から探る新たなシナジー効果 --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

GMがいすゞに復縁を申し込みをしているようです。珍しいケースだと思いますが、GMとしてはトラックなどで強みのあるいすゞがやはり魅力的だった様です。

やり直しを求められるとはいすゞもモテモテの会社だと思います。その昔は山崎豊子の「不毛地帯」でフォークと千代田自動車という名前の下の提携交渉が話のストーリーにありましたが千代田自動車とはいすゞであります。そのときのいすゞはもてない会社という役柄でしたが。


さて、自動車産業は世界で5つぐらいのグループに再編されるだろうといわれて続けています。シェアで見る限りトップからGM、フォッルクスワーゲン、トヨタとなっておりますが、日産が肉薄している状態です。この中でGM、VW、日産は提携に次ぐ提携で地球規模でくまなく市場をカバーする戦略をとっています。一方、トヨタは国内のダイハツや富士重工などとの関係はありますが、基本的には自力で世界中にトヨタとしての看板を掲げています。

マツダはフォードとまだやや薄い関係を維持していますが、ホンダはいまだに独立独歩戦略をとっています。また、離縁を申し入れているVWに愛されて続けて困っているスズキという構図もあります。

成熟産業となってしまった中で先進国では市場が大きくならずパイの奪い合い、新興国では現地自動車会社との戦いとなれば巨大な部品組み立て産業である自動車業界は提携関係に舵を切るのは納得できます。

飛行機会社も自社では世界中に飛ばさず、コードシェアで相手国ではその国の提携先の機材で飛ばしてもらうことが普通になりました。これもある意味、国境を越えたビジネスでは重要な意味を持つわけです。例えば私のマイレージは訳あって英国航空で貯めているのですが、それがカナダと日本の間のJAL便で使えるので便利なわけです。

北米のホテル、独立系は本当に少なくなりました。大手チェーングループとモーテルなどのチェーンに二分化された理由はリザベーションシステムに頼るところも大きいといわれています。そして知らない町の知らないホテルに泊まるのに評判が分からなければ勝手の分かっているチェーンの名前に飛びつくのは当然の流れです。

これらは如何に連携関係(アライアンス)を結び顧客を囲い込むか、ということかと思います。

我々レベルで更に一歩踏み込みたいのがアライアンスは同じ業種でなくてはいけないか、という疑問です。いわゆる展開型アライアンスでホテルと飛行機や自動車と保険など切っても切れない関係のビジネスを連携させることで相乗効果を得ることも重要な戦略です。

この展開型のアライアンスは我々小規模ビジネスをやっているものでも十分出来るのではないでしょうか?ワインとチーズといった具合です。ビジネスは単独で構える時代ではなくなったということかもしれませんね。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年5月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。