石原都知事が新党構想に言及することを一時中断していましたが5月16日の日経電子版によると「今の政治は見ていられないので、政界再編の引き金となる第三極は必要だ」として、新党の意義を強調すると共に「既存議員を集めても第三極にはなりえない」と述べ、国政経験のない人材の結集を図る考えを明言したようです。
日経の趣旨はむしろ「小沢一郎民主党元代表と手を組むのは死んでも嫌だ」ということを書きたかったようですが、それは週刊誌ネタであって、石原氏の新党構想がどんなものであるか知るほうが100倍興味深いものです。
今日の日本の政治家でもっとも票を集められるのは石原都知事でしょう。特に尖閣購入計画をめぐり東京都が募っている寄付は寄附口座を開設して5月16日で僅か20日しか経たないのに既に約7億円集まっています。この勢いは更に増す感じがしておりますが、日本人が本当は不満に思っていたことを石原都知事は気持ちよく言ってのけ、それに純粋な賛同を示しているということかと思います。
さて、石原新党の構想はまったく新しいアプローチを試み、既成事実や発想が凝り固まっていない新たしい視点からのアプローチということでしょうか。
今の政治を大所高所から見れば自民党時代が終わり、苦戦する民主党を野党が苛めるという構図でしかないかと思います。自民党時代が終わったのは高度成長期時代にマッチした主義主張がこの20年ですっかり変質化したにもかかわらず、自民党は昔の自民党でありたいという姿勢を崩さなかったことに時代遅れのイメージがついたのが原因かと思います。特に近年においては野党自民党として与党奪取が生命線であるが如く、国民よりも政党生命にプライオリティを置いているように見えることがむしろいやらしく見えるのであります。
一方、民主党は与党になったときから反自民党の空気を出しすぎました。日本が低成長時代を迎えたことにより自民とか反自民といった尺度ではなく、新しい日本に必要なプログラムを作り出す、という姿勢が重要でした。が、それはほとんど機能することなく今日に至っています。
石原都知事はそれを理解したうえで第三極という構想を持っているのだろうと推測します。
一方で都知事は年齢的な問題もあるでしょうから新党立ち上げ後も自分が前線に出るより駒を動かす役に徹するような気もいたします。それは都知事も何時までも元気ではないわけですから自分のブラッドを伝承し人を育てる、ということを考えているのではないでしょうか?
集めてくる集団にもよりますが、その一人一人が一定分野に於いてある程度著名でそれなりの主義主張を持っている人が出てくれば選挙で勝ち抜く公算は大いにありえます。日本や世界の選挙状況を見ても既成政党から新しい政党へと大きくその方向を変えてきています。
新民主主義を提言し、山積する問題を論理的に且、わかりやすく説明し、解決していくエリート集団的なチームが出来れば日本の政治は面白くなると思います。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年5月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。