韓国人のビジネスを見て思うこと --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

何人かいる韓国人の友人の一人で長くお付き合いしている某氏。サムスン出身でバンクーバーで2007年ごろ起業したあと、瞬く間に会社を大きくしていきました。その彼からの久々の電話で何かと思ったら本業とは違う駐車場システム機器の売り込み。ちょうど当社のシステムを刷新しなくてはいけない時期にあり、うまいタイミングだと思い彼と会うとそこには彼の技術パートナー。その彼もサムスン出身で駐車場システムの立ち上げを韓国企業と行ったとのこと。

提示されたオファーはかなり興味深いもので双方、継続審議することとなりました。


実はこの駐車場システム。カナダには多分1社ぐらいしかなく、アメリカにもメンテナンスを含めて検討できるところはそう多くはありません。日本にも主要どころが数社あります。私はシステム刷新のため、ある日本のメーカーに問い合わせのメールをしたところ、完全に無視されました。ウェブサイトの「お問い合わせ」からアクセスしてまともな返事が返って来る可能性は私の経験では半々程度であります。ある意味、ここで連絡が取れていたら数百万円のビジネスに繋がった可能性はあったのに結局、一番身近で痒いところに手が届くようなサービスをしてくれる韓国系の友人の会社と取引をすることになるかもしれません。

韓国人の彼と付き合っていて思うのはアグレッシブでビジネスに対して非常に熱いものを持っています。彼の会社の社員達はそれこそ寝る時間も惜しんで仕事をする代わりにゴルフも毎週行っているようですし、飲みに行けば韓国焼酎を数本は空ける日々だとのことです。話を聞いていて私達の1980年代の姿が重なってきました。

私もあの頃、若造の社員だったにもかかわらず、週半分以上は旨いものを食べ、飲みに行き、タクシーで午前様帰宅が当たり前でした。それでも会社には部内で一番早く出勤し、目一杯働き、正月は1月1日に休めるだけでした。(ちなみに当時、私は不動産開発の特命係でした。)まさに「良く働き、良く遊ぶ」ということだったと思います。

当然ながら会社の業績もよかったわけで前向きの回転が効いていたわけです。

ところが90年代に入り、交際費を削り、ゴルフ接待を禁止し、中元歳暮を削減し、会社の保養所を売却しました。結果として会社と社員の関係は冷えたものになったと思います。

時たま、韓国人の働き振りを見て「あぁ、そうだったな」と思い起こすのは自分がこじんまりしてしまったということかもしれません。今更交際費復活を、とは言いませんが、働くものに夢と希望があり、会社が明るい雰囲気で満ちていることがとても重要な気がいたします。

日本のオフィスにいけば物音がせず、電話もならず、話し声はひそひそと聞こえるだけというのは私には耐えられない職場環境です。そのストレスが高じて消費に走る日本人女性がよく話題になりますが、そうだとすれば日本の消費は不健全な消費です。

管理されすぎるのもむしろ逆効果を生むことが出てくるかもしれませんね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年5月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。