東電のスマートメーターに対するソフトバンクのパブコメが面白いと評判なので、早速読んでみた。流石に白い犬のコマーシャルを放送している企業だけあって、面白いし、第一判り易い。
東電のスマートメーター問題への理解は多分これだけで充分と思うが、折角の良い機会なので問題の背景に就いて少し書いてみたい。
先ず最初は、新たに光ファイバーに依る専用ネットワークを構築するのではなく、市場で実証済みの「無線通信インフラ」を活用すべきとの提言である。本当にその通りと思う。電力会社はずっと「地域独占」でやって来れたので、コストを下げて競合に打ち勝つという「市場主義経済」の原則が理解出来ていないのであろう。
そんな事(コスト削減)よりも、オーバービルディングであろうが、今後の煩雑な技術検証や実証テストが必要であろうが、兎にも角にも「地域独占」にプラスかどうかが全ての気がする。
以前のアゴラ記事、何故「天下り」を許してはいけないのか?で東電の行く末を危惧したが、正に予想的中と言う所ではないか?今後も東電に対し、国民は厳しい監視の目を光らさねばならない。
第二は、半世紀以上以前に新幹線の如き超高速鉄道を世に送り出した技術大国日本が、何故、使用電力の検針如きでかくも四苦八苦せねばならないのかと言う、根本的な疑問である。
長野の諏訪にある地元ケーブルテレビ局のLCVは1986年に国内CATV事業者として初の第一種電気通信事業免許を取得し、以来自社のネットワークを活用して、「電気」、「ガス」、「水道」の自動検針サービスを行っている。
そもそも、何故、26年も前に長野の諏訪で出来ているワンストップサービスが2012年に首都圏で出来ないのか?
電気のみの検針に限定せず、ガス、水道も併せやった方が利用者の利便性は遥かに高くなる。麦茶をガスコンロで弱火で煮出していて、そのまま外出してしまうとか、或いは、庭で花と芝生に水をやっていたら電話があり、結果、頼まれた資料をメールしている間に庭が大洪水とか、結構ありがちな話ではないだろうか?こう言う場合に携帯端末にアラームが来れば便利である。
最後は、「個人情報保護法」の取り扱い問題である。この法律以降、これに寄生し、これで飯を食っている人間も多い。こういう人達が、正に針小棒大、大騒ぎする訳である。しかしながら、少し冷静になって考えれば直ぐ分る。別に一か月の電気代やガス代が、外に漏れたからといって何か問題がある訳ではない。
日経新聞のこの記事が紹介する様に、アメリカは最早「消費者プライバシー」を将来の国の米櫃にすべく動いている。一方、翻って日本は、露骨に言ってしまえば「個人情報保護法」に依り自縄自縛状態ではないか?
このまま政府が指を咥え傍観しておれば、必ずGoogleの様な企業がやって来て「クラウド検針サービス」とかのネーミングで商売の一切合財を持って行くに違いない。危機的な状況と思うが、政府に危機感は多分皆無であろう。
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役