インターネットが学習にもたらしたもの:革命を起こすということ

松岡 祐紀

今、自分が20歳前後だと仮定して、英語を習得するために留学するだろうかとふと考えた。実際に自分が留学した19歳の頃は、英語の本を読みたければ専門店に行かないと買えなかったし、英会話を習いたければ、たいていは法外な値段を払って、7人、8人ぐらいの生徒とともに学習するのが当たり前だった。

しかし、今では海外の新聞がネットで無料で読めるし、発音がよく分からなければTTSエンジンにコピペすれば、綺麗な発音で読み上げてくれる。(ほかにもこちらや、こちらがあります)

またBBCなども英語学習者のために専門サイトを立ちあげているし、古くからの英語学習の友VOA(ヴォイス・オブ・アメリカ)も取っつきにくい英語だけのサイトではなく、日本語で丁寧に解説しているサイトも無料で存在している。

英会話にいたっては、オンライン英会話により一ヶ月5000円前後を払えば、マンツーマンで学べるようになった。となると留学することに意味はあるのだろうか?


英語学習のためには何千、何万ものサイトが存在し、いつでもどこでもアクセス出来る。10年も前なら、「英語を学びに留学する」という人たちに向かって怪訝な顔をすることはなかったが、今は違う。それだけのために海外に行く必要はない。

ただそれでも留学する意味はあると思う。違う文化圏の人たちと触れ合う生の体験はそれだけでも得難いものだからだ。しかし、ひとつだけ留学経験者としてアドバイスさせてもらうとしたら、「英語を舐めたらひどい目に遭う」ということだ。漠然と留学してから英語を勉強すれば、なんとかなると考えがちだが、たいていの場合、なんともならない。

海外の語学学校では「英語が話せない日本人」がうようよいる。そのなかの一員とならないためにも、日本にいてもこれだけの無料、あるいは安価なリソースが揃っているのだから、それを活用しない手はない。

また結局のところ、「成功した語学学習者」になるためには自律した学習者になる必要がある。そのためには明確な目的意識、自分自身に有効な学習計画などが必要となる。(アカデミックな用語で言うところのメタ認知が重要になるということです。拙ブログの「語学学習におけるメタ認知の重要性」で詳しく説明しています)

ソーシャルメディアやインターネットのおかげで我々は何か革命が起きたように錯覚しているが、本質的には何も変わっていない。ただ、それらをいかに使うかによって実際に自分自身に革命を起こすことは出来る。道具は揃った、あとどう使うかは自分自身にかかっている。

株式会社ワンズワード 松岡祐紀
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